196日目 魔法造成実習:休講(おひるねステラ先生マジプリティ!)
196日目
風の友陣片を発見。予想通りで普通過ぎる。ギル味が足りない。こいつも調子悪いのだろうか?
朝食のデザートに健康にいいと噂のアルジーロオレンジのゼリーをチョイス。果肉が贅沢にたっぷりとつかわれていてめっちゃフルーティ。ぷるぷる感も最高。フレッシュ具合も完璧。ちゃっぴぃとはんぶんこして食べた。
そうそう、ロザリィちゃんはハートフルピーチのゼリーをチョイスしていた。やっぱりなんだかんだでハートフルピーチが好きらしい。ちゃっぴぃのやつ、ロザリィちゃんのも『あーん♪』ってしてもらって食っていた。何とも羨ましい限りだ。
ギル? あいつはすっかり元気に『うめえうめえ!』ってジャガイモの山を平らげていたよ。やっぱ心配するだけ無駄だったみたいだ。
今日は女神ステラ先生の魔法造成実習……だったんだけど、ステラ先生も風邪気味っぽい。『けふんけふんっ!』ってくしゃみする姿がマーベラスプリティ。熱っぽいのか、いつもより赤くとろんとした表情も最高。なんかすっげぇ色っぽくてどきどきした。
さて、今日から早速新しいところに行くはずだったんだけど、ステラ先生、くしゃみする俺たちを見て、『……今日は授業おやすみにしちゃう?』と何とも女神な提案をしてくれる。杖をコンコンしながら出席だけはとったけど、もちろんみんなの答えは決まっていた。
『もちろんそうしたいですけど、いいんですか?』って聞くと、『なんか学校中に風邪が流行ってるし、こないだキート先生も倒れたから無理せず現場の判断で休講にしていいって通達が来たの』とのこと。『ホントはダメだから、ほかのクラスには内緒だよ?』って悪戯っぽく笑い、パチッとウィンクしながら『しーっ!』ってやるステラ先生が最高すぎた。
さて、せっかく休講になったので、今日は先生とともにみんなでクラスルームでダラダラすることに。みんな思い思いにフェイバリットポジションにつき、フェイバリットクッションを用意し、秘蔵のお菓子を持ち出してくつろぎ始めた。
またとないチャンスだったため、『一緒に座ってみませんか?』と先生を悪夢椅子に誘う。先生、最初は遠慮したものの『じゃあ、ちょっとだけ……』とお気にのブランケットをもって俺の隣に座ってくれた。
ステラ先生のにおいがすぐ近く。若干汗ばんでいるのか、いつも以上にくらくらする。さらさらヘアが首筋にあたってくすぐったい。天国はここにあった。
『わ、思った以上に快適!』とご機嫌なステラ先生。おちゃめに足をプラプラしまくってゆらゆらしまくる。
そのたびに感じるやわらかな感覚。ずっと俺の肘にあたっている。つーか、匠ジオルドの完璧な設計のなせる業か超密着状態&きつくはないという自然な仕上がり。なぜか当のジオルドは容赦ない舌打ちをしまくっていたけど、風邪でイライラしていたのだろうか?
さて、なんだかんだでステラ先生と悪夢椅子を楽しんでいたら、やがて隣から小さな寝息が。慎重に振り向くと、そこに美女神の……じゃない、ステラ先生のエクセレントプリティな寝顔があった。
どうやらそれなりに体力を消耗していたらしい。元気に振る舞ってはいたものの疲れていたのだろう。あまりにも心地よさそうに寝ていたため、起こさないように慎重にブランケットをかけたら──
──こてんっ! って俺の肩にもたれかかってきてくれたぁぁぁ! やわらかい感覚と感じる重さ、あと髪の毛がほっぺをくすぐって超幸せ! すんげえいいにおい! あとさっき以上にステラ先生の顔がキュート!
もうね、なんだろうね、あのドキドキ。みなくても素晴らしい何かがそこにあるって感じられるの。先生の吐息をすぐ近くに感じるの。つーか腕に感じるの。幸せってレベルじゃない。
しかも、『ううん……』と幸せそうに俺の手をぎゅって握ってくる。子供っぽくふにゃって笑うところとか、全俺が癒されまくった。女神&聖母なステラ先生の、小さな子供みたいな無邪気過ぎる笑顔に心を撃ち抜かれる。
俺、生きてて本当に良かった。小さいころの俺に『こんな幸せが待ってるぜ!』って伝えに行きたいくらい。今まであったすべての出来事は、あの瞬間のためにあったのだと確信した。
なお、クラス全員が先生に聞こえないように舌打ちするという高等技能を見せつける。『先生がいなかったらてめえマジでぶっ飛ばしてんぞ』、『私、浮気性の男って許せないのよ』、『殴っていいよな? いや、黙って殴らせろ』、『先生のためなら呪ってもいいよね』と散々に言われる。
ちゃっぴぃに至っては、『ふーッ!』とガチ威嚇を俺にしてくる始末。ついでに手をガジガジと噛まれまくる。マジ痛い。使い魔からのあんまりな扱いに泣きそう。
でも、ロザリィちゃんだけは『ステラ先生だし、今日くらいはしょうがない……かな?』って笑顔で俺の頭をポンポンしてくれた。やっぱりロザリィちゃんは最高だ。
しかも、『でも、埋め合わせは必ず……ね♪』って耳元でそっと囁いてくれた。なんかもう声に痺れて体の力が抜けるレベル。俺、ロザリィちゃんが最上級の悪魔だったとしても、喜んでその手を握ると思う。だってステキすぎるんだもん。
結局、ステラ先生が目覚めたのは夕方ごろ。起きた途端、『ふぁぁっ!?』って真っ赤になるところが最高にかわいかった。『可愛い寝顔でしたよ』って微笑んだら、『ば、ばかぁ……っ! ──くんのいじわるぅ……っ!』ってブランケットにくるまってしまった。
さらに、俺の手をぎゅって握りっぱなしだったことにここで気づき、『お昼寝するときは誰かの手を握るのが癖になっちゃってるの! ホントなの!』って弁明するところとかもう言葉で表せられない。何でステラ先生ってこんなにも魅力的なんだろう?
夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。雑談中のカードゲームではちょっとした仕返しのつもりか、容赦なくステラ先生にケツの毛を毟られた。
『小さいころ、ピアナ先生とずっとお昼寝していて癖がついたって、先生この前言ったよね?』とちょっとツンツンした感じに言われてしまったけど、俺には何の後悔もない。
ギルは今日も大きなイビキをかいている。今日は最高の一日だった……んだけど、なぜか寝る間際になってちゃっぴぃが『きゅーっ!』って俺の布団にもぐりこんできた。こいつの考えることはイマイチわからん。
しょうがないので、ギルの鼻には沈音石を詰め、全体に多重結界&魔導封印を施しておいた。ついでに俺たちの周りにも連鎖反応結界を張り、ちゃっぴぃにカミシノ製の耳栓を付けてやる。
今まで以上にサイレント。静寂感が半端ない。あと、最近少しずつ涼しくなってきたのでちゃっぴぃをしっかり抱き寄せ、腹を冷やさないように布団をしっかりかけて抱き締めておいた。
ちゃっぴぃのやつ、なぜか無性に嬉しそう。すっげぇ頬ずりして懐いてくる。地味に体温高くてあったかい……っていうかちょっと暑い。早まったか。
これ寝ながら書いてるけど、すっげぇ書きづらい。ステラ先生関連の内容が無ければ到底書ききれなかったことだろう。ちゃっぴぃもしがみついているから身動きが取れない。
さしあたっての問題は、これをうまく本棚に戻せるかだ。まぁ、部屋に来るのなんてギルくらいしかいないから別にいいんだけどね。




