190日目 手紙と平和な一日
190日目
ギルのヨダレがココア。ギル味が足りない。
今日は休日。宿題にもいくらか余裕があったため、少しばかりゆっくり起きてから食堂へ。贅沢に休日限定の特盛ケーキなるものを食してみた。ゴロゴロとフルーツがたくさん入っていてマジ最高。やっぱ秋は果物がうまい。
そうそう、ケーキを楽しんでいたらおばちゃんが『誰かさんのせいで最近妙にデザートの注文が多くてねぇ?』と言ってきた。『注文が多いのなら別にいいじゃないですか』と答えたら、『そういう意味じゃない!』とヤケクソ気味にプリンを渡される。
『何か改善点はあるかい?』と言われたのでちゃっぴぃとはんぶんこして食べてみる。ちゃっぴぃのやつ、完食こそしたものの『きゅぅ……』とちょっと不満げ。甘さは申し分ないけど、俺のに比べて深みが足りず、なんていうか、物足りない。
なので、『塩と香料をもう少し考慮したほうがいいかも』とアドヴァイスする。『ありがとね!』とお礼にキャンディをもらった。おばちゃんがどんなプリンを作るのか今から楽しみである。
そうそう、ギルは今日も『うめえうめえ!』とジャガイモを貪っていた。ココア臭が半端なかったけど、ジャガイモとココアって合うのだろうか?
午前中は栽培スペースに行き、パパッと採集を済ませる。ナエカ、ヤカツ、コケウス、リシオ、カミシノともにワンダフルなことになっていた。最近あまりこれなかったからか生命力を持て遊び気味だったらしい。
ちゃっぴぃも『きゃーっ♪』って超ご機嫌に収穫を手伝ってくれた。雑草まで籠に入れるのはいただけなかったけど。引っこ抜くのが好きなのだろうか?
なお、リンゴはもうちょいかかりそう。ジョンソンをすり潰してまいておいたから、きっと立派な実をつけてくれるはずだ。今から楽しみである。
ふと思い立ったので、午後はナターシャやミニリカたちに手紙を書くことに。正確にいえばこないだの全力ハゲプリンを送りたいってだけなんだけど。
ハゲプリンだけでもよかったんだけど、せっかくなのでアルテアスペシャル美容液も送ってやることにした。ちょうどアルテアちゃんが課題をクラスルームでこなしていたので、『在庫はどうなっている?』と聞いたところ、『そろそろアブナイ』との答えが。
そんなわけで、急遽作成することに。ギル・アクアをはじめとしたいつもの材料を使い、それなりの数を作り上げた。こないだナターシャがあり得ない額をクラス資金にぶち込んでくれたため、作成したものは売らずに全部クラス財産に回して取っておくことにする。
んで、ハゲプリンとアルテアスペシャル美容液を包み、手紙に近況とハゲプリンの感想、および改善点を送るように記して魔導封印を施す。そのまま学生部にもっていって送ってもらうように頼んでおいた。
夕方ごろ、ポポルがパレッタちゃんに噛みつかれているのを発見する。なんでも、ポポルのやつがヴィヴィディナの虫籠にこないだ出し忘れた魔法廃棄物をぶちこんだらしい。
ゴミ箱からあふれそうになって止む無くそうしたらしいけど、さすがにあきれを隠せない。『呪う前に聞いてやる。なぜヴィヴィディナに目を付けた?』とのパレッタちゃんの問いに、『それでもヴィヴィディナならなんとかしてくれる気がしたから』とあいつは涙目で答えていた。
夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。今日はロザリィちゃんを見かけないと思ったら、ミーシャちゃんと一緒に買い物に出かけていたらしい。『何かいいものでもあった?』って聞いたら、『ヒ・ミ・ツ・♪』って微笑みながらほっぺにちゅっ! ってしてくれた。
自然にいちゃいちゃできて超幸せ。秘密の多い女の子ってステキだと思う。あと、ミーシャちゃんはギルに『おみやげなの!』ってジャガイモの大袋を渡していた。ギルのやつ、『うっひょぉぉぉぉ!』って狂喜乱舞し、ミーシャちゃんを抱き上げてぶんぶんぐるぐる振り回し始める。あいつの筋肉マジすげぇ。
ミーシャちゃん、『みぎゃーっ!?』って目を回しながら叫んでいた。なんか久しぶりにミーシャちゃんの悲鳴を聞いた気がする。まぁ、ギルに抱っこ(?)してもらったんだから、彼女も本望だろう。
ギルはいつも通り大きな大きなイビキをかいてスヤスヤしている。なんか今日は久しぶりに普通で平和な一日だった。こういうのでいいんだよ、こういうので。
明日も平和な一日でありますように……と願いを込めて、ギルの鼻には祝福の結晶を詰めてみた。消音効果が意外と高くてびっくり。少しでも安眠出来たらいいなぁ。




