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180日目 基礎魔法陣製図:投影法について(ドキドキ夢魔の乳搾り)

180日目


 恐るべ木が怨念に塗れている。恐慌の怨念樹と名付けてみた。今度栽培スペースに植えてみよう。あと、とってつけたようにギルの顔が厳つい。もひとつおまけに日記の約六か月記念。ここまで続くとか俺マジすごくね?


 ギルを起こして食堂へ。今日はなんとなく、そう、マジでなんとなくそんな気分だったので、普段は絶対に飲まない超極甘キャラメルマキアートを飲む。もちろん元から用意されているものでもないから、カフェラテに自分で秘蔵のキャラメルソースをかけて作ったスペシャルなやつ。


 さらにはピンクのかわいいストローでデコってみたりもした。氷もお星さま形とハート形を入れるという気合の入れっぷり。


 で、いつもより多めにイスと机の空間をとり、所在なさげに膝の上をポンポン叩く。いや、マジでなんとなくだからね。


 が、今日に限ってちゃっぴぃは俺のところに来ない。エッグ婦人とヒナたちとともにフィルラドのチョイスしたウィンナーを食べ、クーラスから飴玉をもらい、そしてロザリィちゃんの膝に乗って『きゃーっ♪』とフレッシュなオレンジジュースを飲んでいた。


 しかし、ここでプリティロザリィちゃんが『あっちでもっとおいしいの飲まない?』とちゃっぴぃの頭を撫でる。ちゃっぴぃ、すごく疑い深いまなざしで俺を見てきた。超うまそうにキャラメルマキアートを飲んで見せたら、おそるおそる膝に乗ってくる。


 で、びくびくしながらストローに口をつける。次の瞬間、いつも通りに『きゃーっ♪』って飲み干しやがった。すっかり上機嫌になり、よくやったと言わんばかりに俺の胸をぺちぺち叩いてくる。


 俺が飲むつもりだったのになんてやつだ。せっかくひと時の贅沢を楽しもうと気合を入れたのにマジ悲しい。俺のエレガントなモーニングをぶち壊した責任をどうとってくれるのか。


 なお、なぜかクーラスが『こいつホント歪みまくってるよな』、アルテアちゃんが『初めて見たときはまともだと思ってたんだがな……いや、ある意味安心できるんだが……』、ミーシャちゃんが『私にも作ってほしいの!』とか言いだした。


 ロザリィちゃんは『ちゃっぴぃも──くんもお子ちゃまなんだから♪』ってちゃっぴぃを膝に抱いた俺をさらに後ろから抱き締めて頭をポンポンしてくれた。なんかもう幸せすぎて泣きそう。ロザリィちゃんのあふれ出る母性は俺をどこまで幸せにしてくれるのか。


 ちなみに、ギルはいつも通り『うめえうめえ!』とジャガイモを貪っていた。途中で芋の山に頭を突っ込んで抜けなくなったグリルも食いそうになっていたので、アルテアちゃんがさっと引っこ抜いて救出していた。


 さて、今日の授業は基礎魔法陣製図。例によって例のごとく課題を提出。さすがにみんな慣れたのか、『お、今日はパッと見る限りじゃいい感じですね』ってキート先生が顔をほころばせていた。過労なのか目にクマが残ってたけど。


 そうそう、例の落書きだけど、



『では、俺はクゼということで。ライラちゃんは一見キツい印象を受けますが、実はすごく可愛いものが好きな子です。あと、ロザリィちゃんは声をかけようとしただけでも呪われます』


『んじゃ俺ラドで。↑の件についてはすぐに想像できた。つーか呪われるだけで済まないだろアレ。ロザリィってのは見た目はいいけど、趣味がお察しって噂。あと結構な甘ちゃん。俺は苦手だ』


『ならば、俺はライムとでも名乗っておこうか。ロザリィちゃんは確かにかわいいが、本気で睨んでくると結構迫力があったぞ。まぁ、うちのメルティやあのリボンの子のほうが断然よかったけどな。あと、ライラちゃんって見た目どんな? 身長低かったらモロにストライクなんだけど。なんでもするから詳細教えてくれ』


『てめえはロリコンで十分だよ。マジで変な事起こすなよ? ロザリィちゃんにすごく興味出てきた。可愛くて甘ちゃんで趣味がお察しで迫力あって声かけると呪いじゃ済まないってちょっと想像できねーよ。キャラぶれまくってね? スペースないからシエナちゃんはまた今度な! できればルギ、詳しくよろしく!』



 ……と書かれていた。エルがめっちゃ細かい字で書いていてビビる。ライ……じゃなくてロリコンがスペース取りすぎたんだろう。


 ロザリィちゃんの話題が出てるのはいいけど、なんでこんなに情報が錯綜しているのだろうか。趣味悪くないし、すごく優しくていい子なのに。しかもエルはいまだにシエナちゃんの情報を出してこない。


 とりあえず、



『ロザリィちゃんは普通の女の子ですよ? 誰にでも優しいし、みなさんちょっと勘違いしていると思います。エル、そろそろシエナちゃんの情報出してくださいよ。あと、クゼやラドはともかく、ロリコンさんはどこでロザリィちゃんを知ったんですか? まさか……』



 ……とだけ書いておいた。クゼやラドはおそらく俺と同期だからロザリィちゃんのことを知っているのはわかる。で、上級生らしいエルが知らないのもわかる。が、同じく上級生らしいロリコンがロザリィちゃんを知っているのは何でだ? しかも妙にくわしいし……。ちょっと注意しておくべきかもしれない。


 さて、課題の返却の後に(もちろん俺は問題なし)今日のテーマへ。今日は投影法について。この投影法ってのは立体を書く技法の一つなんだけど、要はどうすれば立体を平面で綺麗に表現できるかってやつ。


 で、今まで普通に使っていたのは三角法と呼ばれるオーソドックスなものなんだけど、等角投影、斜投影ってのを教えてもらった。等角のほうはなんかよく見るいわゆる普通の立体図で、斜投影ってのは視点が斜めからになっているやつ。ぶっちゃけなんであるのかよくわからん。


 課題のほうはいつも通り、複雑な立体魔法陣を三角法、等角投影法、斜投影法の三つで書いて来いってやつ。書いてて鬱になるから、どれだけの量が出たのかはあえて触れないでおく。キイラムからもらった資料がなければ結構危なかったかもしれない。


 さて、あっさりしているけど授業についてはこの辺にしておく。スペースと時間の兼ね合いがあるからね。


 午後のフリータイムはとうとうちゃっぴぃの乳しぼりを敢行することに。タイミング的には遅いくらいだけど、時間が見つからなかったからしょうがない。


 当然誰が搾るかで問題になってくる。ギルを除外するのはいいとして、主人である俺またはロザリィちゃんか、生き物の扱いに慣れているフィルラドか、器用さが売りのジオルドか、同じく器用なクーラスか、絵面的にほほえましいポポルか、なんでもそつなくこなしそうなアルテアちゃんか、じゃれているようにしか見えないミーシャちゃんか、まさかの大穴でパレッタちゃんか。


 とりあえず、『普通の乳しぼりの経験があるやつはいるか? それ以外はダメだ』と告げる。意外なことに、この段階でジオルド、フィルラド、アルテアちゃんと俺しか残らなかった。


 次に、『なぜ俺がさっきの質問をしたかわかるか?』と問いかける。ジオルドは『技能があるかどうか、効率的に搾れるか知りたかったからじゃないのか?』と答えた。この段階でジオルドはアウト。フィルラドとアルテアちゃんは呆れたように『下手くそがやると搾られる側も苦しいからに決まってるだろ』と正解を告げる。


 で、俺としてはここまで理解できてるならこの中の誰がやっても問題なかった。が、アルテアちゃんは『絵面的にフィルラドにやらせるのは問題大有りじゃないか?』と主張する。たしかに、異性、おまけに主人でも何でもないやつが夢魔の乳をもむとかちょっとどうかと思う。


 フィルラドは血涙を流し、アルテアちゃんにケツキックされていた。アルテアちゃん、最近容赦がなくなってきてるような気がする。


 そんなわけで俺とアルテアちゃんでやろうってことになったんだけど、肝心のちゃっぴぃがすっかりご機嫌ななめで『きゅ!』とか言ってロザリィちゃんにしがみついたままふてくされてしまった。いつもはアルテアちゃんともそれなりに仲がいいのに、『ふーッ!』って威嚇する始末。


 俺は威嚇こそされなかったけど、ちゃっぴぃに触れた途端に容赦なく顔面をひっかかれた。解せぬ。


 どうやら俺に触れられることが嫌らしい。頭を撫でるのはセーフ。ちゃっぴぃのやつ、いっちょまえに羞恥心があるようだ。アルテアちゃんを威嚇したのは、おそらく乳しぼりという行為そのものが夢魔にとって重要な意味を持ち、アルテアちゃんはそこに介入できるほどの親密度に達していなかったからだろう。


 困ったことに乳に触らせてもらえたのはロザリィちゃんだけ。ある意味順当だけど、『わわ、わたし乳しぼりなんてしたことないよ……!』とロザリィちゃんは慌てだした。そんな姿もマジプリティ。


 とりあえず、『何事も経験だよ』と勧める。ロザリィちゃん、おっかなびっくりちゃっぴぃの乳を揉むも、『きゃんっ!?』ってちゃっぴぃが痛がった。うまく搾られず痛いらしい。


 どうにも困ったことになったんだけど、ここで部屋の隅でスクワットしていたギルが『触った手を上から親友が揉めばいいんじゃね?』とステキすぎる提案をしてくれた。


 そう、ちゃっぴぃの乳に触れたロザリィちゃんの手を、さらに上から俺が揉めばすべての問題が解決するというわけだ。ギルの意外な発想力にこの時ばかりはマジで感謝した。


 さっそく実行。ロザリィちゃん、今度はちゃっぴぃを膝に座らせ、後ろからぎゅってするようにして固定する。


 で、自然な感じにちゃっぴぃの乳を両手で鷲掴みした。俺はさらにロザリィちゃんを後ろからぎゅって抱き締めるように……そう、ちょうど今朝のロザリィちゃんみたいな感じでスタンバイする。密着してるけど恋人同士だから問題なし。うれしはずかしでなんかすっげぇテンションが上がった。


 そしてロザリィちゃんの手を包み込むように手を添え、上からもみこんでいく。超すべすべて柔らかくてめっちゃ緊張。ちゃっぴぃも痛がらず、いつぞや嗅いだ特徴的な甘い香りが漂い始めた。間違いなく夢魔の乳。


 当然のことながら一揉み二揉みで搾りきることはできないので続けていく。真っ赤になったロザリィちゃんの顔がすぐ近くにあって超ドキドキ。うなじも目の前。なんか互いに無言で言葉にできない妙な気分。


 一心不乱に(ロザリィちゃんの手を)揉んでいたら、『……は、はずかしぃぃぃ……!』とロザリィちゃんがうつむいた。ロザリィちゃんさ、ちゃっぴぃを揉みつつ俺にも揉まれていろいろパンク寸前だったっぽい。そんな様子もすごくかわいくてついいじめたくなっちゃう。


 で、揉む。ひたすら揉む。なんかすっげぇ背徳的でどきどきする。ロザリィちゃんの手がだんだん熱くなってきた。若干汗ばんでいるようにも感じる。『ちょ、ちょっと一回休憩しよ、ね!?』と上目づかいでお願いされたけど、『中途半端で止めちゃだめだ。一度でやりきらないと』と耳元で囁いて手は止めず。『うぁぁぁ……!』と声を漏らして恥ずかしがるロザリィちゃんがマジかわいかった。


 なお、健全なことのはずなのに絵面は相当アレだったらしく、揉んでいる最中の女子からの冷たい視線がすさまじかった。男子連中はいつの間にか締め出されており、『乳しぼり以上のことをしてみなさい。ヴィヴィディナに捧げちゃうわよ?』、『この発情バカップルどもめ……!』、『マニアックすぎるでしょ……!?』と女子に悪態をつかれる。


 なにがマニアックなのか。ちょっと意味が分からない。今度ミニリカかマデラさんに聞いておこう。


 結局、いくらか時間をかけてビン三本分くらいの夢魔の乳の採取に成功する。最上位の魅惑種だけあって、めっちゃ濃いし量もすごい。朝晩二回は絞れるはずだから、結構な量を確保できるだろう。


 ナターシャに感謝しなくては。全部終わったらハゲプリンの詰め合わせを忘れずに送っとこう。


 最初は割と渋っていたくせに、終わってみればちゃっぴぃは普通に大人しく搾られていた。あの後普通に遊んでクッキーを喰いまくっていたし、健康状態に異常はなさそう。何にせよ無事に終わってよかった。


 念のため書いておくけど、乳しぼりの様子は結構控えめに書いてある。俺の文才でガチに書いたら大変なことになるからだ。


 ちゃっぴぃのほうは割と普通の感じだったけど、ロザリィちゃんのほうは羞恥心と背徳感がすさまじかったのか、妙な色気を出していて超セクシーだったんだよね。


 『顔が赤いよ? 熱でもあるの?』って聞いたら、『──くんのいじわるぅ……!』って若干の涙目でぽかぽか叩かれた。で、『夢魔の乳の匂いにあてられただけなの! ホントにそれだけなの!』って超かわいく弁明してくれた。思わず抱きしめそうになっちゃったくらいだよ。


 もうかなり遅い時間だからここまでにしておこう。授業とイベントが重なると日記が長くなって困る。ギルの鼻にはちゃっぴぃの乳を垂らしておいた。俺もあとちょっとだけ舐めてから寝ようっと。

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