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171日目 基礎魔法材料学:魔素の結合について

171日目


 なんか俺の体から特徴的な甘い(?)香りがするんだけど。どうなってんだこれ。


 ギルをたたき起こして食堂へ。なぜか食堂に入った瞬間、女の子たちからガン見される。しかも、なんかみんな妙に顔が赤く、俺と目があうとさっと顔をそむけた。


 そんな変な匂いかな……と思ってアルテアちゃんやミーシャちゃんに聞くも、二人ともが顔を真っ赤にしてモジモジしだす。で、『あんまりこっちにくるなぁっ!』、『ちょ、ちょっと向こうに行っててほしいの!』と拒絶された。解せぬ。


 もっと解せぬことに、なぜだかちゃっぴぃがすごくご機嫌で俺にほおずりなんかしてくる。『きゅーっ♪』っといつにない甘えっぷり。気配をよくよく探ってみると、食堂中の女の子たちが赤くなってチラチラとこっちを見ていた。


 エッグ婦人にも異様に懐かれたし、ティキータやバルト、さらにはアエルノの使い魔にまで懐かれてさすがにビビる。ちゃっぴぃが『ふーッ!』って追い払ってくれたからよかったものの、あと少し遅れていたらヒキガエルのブチちゃんの粘液で顔面ネトネトになるところだった。すでにフェデルタカーネのメリィちゃんのヨダレでレロレロだったけど。


 ここでようやく、ロザリィちゃんが真っ赤&超モジモジ(もちろんめっちゃプリティ!)しながら『な、なんか──くんから、その、すっごいえっちなオーラが出てるの……』と衝撃的なことを教えてくれた。


 フィルラドやポポルに聞くも、『別にそんなことなくね?』とのこと。どうやら女子だけに反応があるらしい。『そんなにアレなかんじかな?』とふざけてロザリィちゃんをぎゅっとしたら、ロザリィちゃん、ぽうっとした顔をして動かなくなってしまった。


 しかも、なんかすっげぇ懐いてくる。あと、顔がちょっとえっち。頭をぐしぐし押し付けてくる。超幸せ。


 が、ここで気高きアルテアちゃん、勇猛たるミーシャちゃん、そして渇欲のパレッタちゃんがロザリィちゃんを引きはがす。正気に戻ったロザリィちゃんは『が、我慢できなくなるからっ!』とか言って俺からめっちゃ距離を取った。超ショック。


 なお、ギルは女子たちが食事も早々に食堂を出たことをいいことに、余りまくった朝食を『うめえうめえ!』と食いまくっていた。もちろんジャガイモも『うめえうめえ!』と食っていた。


 あと、パレッタちゃんは平気そうだったんだけど、理由を聞いたら『欲望にあらがうな。受け入れよ。さすれば飲まれることもない』と真顔でヴィヴィディナに何かを捧げていた。俺にこびりついたロザリィちゃんの極上の悋気とのこと。なにそれちょっと興奮する。


 授業はシキラ先生の基礎魔法材料学。俺が教室に入った瞬間、再履の女子生徒がモジモジしだした。シキラ先生、『おまえ存在が高次元のナンパ師だな!』って腹抱えてゲラゲラ笑ってた。


 書くまでもないけど、俺、純情派だからね? ロザリィちゃんとステラ先生とピアナ先生以外興味ないからね?


 内容は魔素の結合について。前回の授業で魔法的構造物の最小単位は魔素だって話をしたんだけど、当然のことながらただ魔素があるだけじゃ魔法的構造物としての存在は成り立たない。


 魔素同士が結合することで初めてその存在が確立されるんだけど、この結合にはいくつ種類があって、それによって特性が変わってくるとか来ないとか。


 とりあえず、『単位落としたくなければここだけはメモっとけ!』と言われたところを書いておく。




・魔属結合

魔素を構成する魔子が魔素間の魔力的釣り合いをとろうと最外層を自由に動き回ることで、魔素同士が結合したもの。魔子が全ての魔素間を自由に動き回るという性質上、伝導性が非常に高く、魔法的伸縮性に富む。そのため、魔法触媒に多く使われる。


・マギオン結合

正の魔素と負の魔素が互いの存在をひきつけあって(魔力的等価になろうとして)結合したもの。魔力的に強い結合であり、高魔度でも耐えうる耐久力があるが、反面、非常にもろいため、魔法使いの装備の材料には使えるものの、前衛の装備に使うには一工夫が必要となる。


・魔共結合

互いに不安定状態にある魔素が互いの魔子を共有し、安定状態を取るという形で結合したもの。マギオン結合よりもはるかに強い結合であり、高魔度にも耐え、外部からの物理的衝撃にも強いが、加工が非常に難しく、コストがかさむ。また、内部からの衝撃や魔応力集中に極端に弱い。




 ぶっちゃけると魔系は魔属結合だけ覚えていればいいってシキラ先生は言っていた。これから扱っていくものも魔属結合の材料を前提としているから、今回のはあくまでほかにはこういうものもある、という紹介なのだとか。


 『加工のしやすさやその応用性などから、魔属結合以外は大したことねぇな。魔属結合以外の材料を使えるように頭をひねるより、魔属結合で条件を満たす材料を作ったほうが何倍も速いし便利なんだぜ!』ってシキラ先生は教えてくれた。そこはかとなくほかの結合をディスリスペクトしまくってたけど、なにか嫌な思い出でもあるのだろうか。


 なお、授業そのものはかなり早くに終わった。『発情した女どもばっかで授業になんねえもんなぁ?』ってシキラ先生はゲラゲラ笑ったんだけど、直後に教室中の女の子が杖を抜いてシキラ先生に魔法をぶっぱなしていた。


 再履の女の先輩なんて女の子がしちゃいけないヤバい顔してルンルンの触媒を使ったガチな魔法を使ってた。女の子って超怖い。


 ちなみに、シキラ先生はすべての魔法をなんかよくわからん魔法(ルンルン触媒使用)で防いでいた。通ったのはミーシャちゃんが投げたギルの使用済み靴下だけだった。


 授業後、『あれは……ねぇよ……』ってシキラ先生が教壇のところでぐったりしていた。動けない先生に向かって、ギルは超いい笑顔でポージングを決めていた。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。雑談中、ジオルドとクーラスから『なんでもするからどうやったのか教えてくれ!』と懇願されたので、『ギルと一緒(の部屋)に寝る覚悟はあるか?』と聞いたら、ものすごい葛藤ののちに『やっぱノーセンキューで』と言われた。


 そのギルは今日もステキな鼓膜をぶち破りそうなイビキをかいている。廊下の曲がり角で出会った上級生の先輩(男)にもらった、明らかに呪われた闇の涙を鼻に詰めてみた。いさなみすやお。

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