161日目 魔法造成実習:概要説明(ステラ先生マジ聖母)
161日目
ギルの爪が玉虫色に。剥いだら高値で売れるかな?
ギルをたたき起こして食堂へ。昨日遅くまで頑張っていたのか、クーラスとジオルドが眠そうだったのが印象的。あいつら、眠気覚まし用にいつもより濃いハーブティーをがぶ飲みしていた。
それに倣って俺もハーブティーをチョイス。スーッとした香りがいい感じ。クーラスオススメブレンドのクオリティがいい奴だからか、なんかすっげぇ目がパッチリしてくる。
あと、『うめえうめえ!』とジャガイモをむさぼるギルの爪を見て、アルテアちゃんが『マニキュアつけてるのか……!?』って驚いていた。アルテアちゃん、おしゃれには割と疎いらしくマニキュアをはじめとした爪の色薬を付けたことがないらしい。
『あれは地の色だ』って教えてあげたら、『さすがに男に、しかもギルにおしゃれで負けるのは嫌だからな……』ってあからさまにほっとしていた。ミーシャちゃんは『どのみち玉虫色はちょっとどうかと思うの』ってギルの爪に上からピンクのを塗って、ギルの女子力をアップさせていた。
あと、ちゃっぴぃが『きゅーっ!』ってまるで私にも塗りなさいよと言わんばかりに俺のローブを引っ張ってきたので、ロザリィちゃんが『私も持ってるからつけてみる?』って薄オレンジのを塗ってあげてた。ついでに俺も塗ってもらった。
しかも、『今日は特別に塗っちゃえ!』ってロザリィちゃんも塗る。『これでみんなおそろいだねっ!』って微笑んでくれて超うれしかった。何だろうこの一体感。これが恋の醍醐味なのか。すっげぇドキドキしたんですけど。
今日の授業は魔法造成実習。担当は……ステラ先生! ひゃっほう!
ロリロリしいボディと大きなお胸が今日も最高だった。杖をコンコンする癖がマジキュート。もしかしたら後期は授業ないかも、と覚悟していただけに本当にうれしかった。
さて、この魔法造成実習ってのは文字通り実習科目になっていて、今まで習ってきた裂造だの蝕造だのを魔道具の使用を含めつつ使いこなせるようにしていくらしい。ただし、こちらは儀式や魔道具に用いるような比較的大規模なものをメインに扱っていくのだとか。
内容としては、指定された方法で指定されたものを作り上げろってだけのことなんだけど、結構ガチな道具を使う関係上、油断すると腕の一本や二本は当たり前のようにぶっ飛んでしまうそうだ。
『ちゃんと指示を聞いて手順通りにやれば問題ないけど、実習に絶対はないからね』ってステラ先生が超真面目な顔で言ってきたので若干ビビった。戦闘訓練でもないのにこんなに注意喚起するってことは相当ヤバいんだろう。あと、真面目フェイスステラ先生も超凛々しくてステキだった。
『何か事故でもあったんですか』と聞いたところ、『ここじゃないけど、何年か前に下半身丸ごともってかれかけた生徒がいてね……』とのこと。腕の一本や二本ならドクター・チートフルに頼めば治してもらえるそうだけど、彼でも治せない傷があるから絶対に油断するなって言ってた。
一応今日は概要説明だけで実際の作業はせず。来週から作業に入るらしい。とりあえず、受講についての心得をかなり真剣に説かれたのでメモしておくことにする。
・全テーマの出席、およびレポートが受理されることで単位認定の資格を得る。
・必ず魔操着と魔導安全靴を着用し、胸に名札をつけること。適さない服装の場合は出席を認めない。
・時間厳守。また、担当者の指示には絶対に従うこと。
・トラブルがあった場合はすぐにその場から離れ、担当者の指示を仰ぐこと。決して自分たちでどうにかしようとしてはならない。
・レポートは各テーマ終了後、指定された日時までに提出すること。
割と普通っぽい内容だけど、なんでこんなにしつこく言うのか引っかかったので聞いてみたら
『本当は言うつもりはなかったんだけど……ここじゃない場所の話だけどね、昔、実習中に誤って事故にあい、ほぼ全身が、その、アレな状態になった人がいたの。当然即死だったんだけど、当時はここまで規定が厳しくなかったから、その人がいないのに気付いたのが翌朝で、その人が実習で亡くなったことに気づいたのがその日の晩って事態になっちゃってね。それ以降、作業時間を明確に決め、作業の終わりにちゃんと全員無事にいるか確かめるのが義務付けられたの』(原文ママ)
……と、なかなかアレな答えが返ってきた。名札も今更意味がないって思ってたけど、『顔がなくなってると誰だか確認とるのに時間がかかるから』って悲しそうにステラ先生が教えてくれた。
さすがにみんなビビる。ミーシャちゃんはギルの脚にしがみついているし、ロザリィちゃんも俺の肩に寄り添ってきた。ポポルは逆にガチガチしながらパレッタちゃんのローブをつかんでたけど。
でも、ステラ先生は最後に『まぁ、そんな事故が起こるのなんてそれこそ数十年に一度だし、うちの学校じゃ一回もないからね!』って明るく笑ってくれた。そんな気遣いをしてくれるところがマジ聖母で惚れ直す。
夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。今日の夕飯はみんな食欲なさそうなかんじだったけど、その分ギルとエッグ婦人とちゃっぴぃがもりもり食いまくってた。
エビがぷりぷりしてて超デリシャスだったので、ついついエビフライを三本も食べてしまった。俺、やっぱここのエビフライ大好きだ。
ようやく初めての一週間が終わった。ギルはいつも通りに健やかにうるせえイビキをかいている。
手ごろなものが見つからなかったので、なぜか実習室の床に落ちてたカエルの舌を鼻に詰めた。割と干からびているけどまあ問題ないだろう。みすやお。




