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156日目 ステラ先生とクラスディナー

156日目


 ギルの顔が真っ赤。リンゴ見たいって形容がすげぇしっくりくる。


 ギルをたたき起こして食堂へ。ギルを見たアルテアちゃんが『熱でもあるのか?』って聞いてきたけど、当然そんなことはない。男子連中で気にしてる奴なんて一人もいない。ミーシャちゃんに至ってはよじ登って額をぺちぺちして遊んでたし。


 朝食はシンプルにトーストと目玉焼きをチョイス。今日は先に黄身を食べ、その半熟具合を楽しんだ。もちろん、ギルのやつは『うめえうめえ!』とジャガイモの大皿を平らげていた。


 さて、今日はオリエンテーション。久しぶりに見たローブ姿のステラ先生がマジ女神。私服もいいけど、やっぱあの姿のほうがステラ先生って感じがする。『ちゃんとみんないるかなっ?』って杖をコンコンしながら出席を取る姿もチャーミング。ステラ先生のクラスで本当に良かったと心から思った。


 肝心の内容だけど、後期からは魔法陣製図が始まるから製陣用具を忘れないようにってのと、学校生活を送る上での注意点(これは節目ごとに毎回やっている)、あと成績の発表だった。


 いきなりの成績通知にみんなざわめくも、『留年しそうな人は一人もいなかったよ!』とのステラ先生のお言葉に一気に湧き上がる。やっぱ同じ死線を潜り抜けてきた大切なクラスメイトであるだけに、俺自身も結構うれしかった。


 で、俺もステラ先生から成績を受け取る。全教科天判定。評定平均も貫禄の4.000。さすが俺。『よくがんばりましたっ!』ってステラ先生が頭をポンポンしてくれて気絶しそうになった。超幸せ。ぶっちゃけこっちのほうが嬉しい。


 意外なことにギルもかなりの高評価。基礎魔法学が月、魔法生物学が星だったけど、筆記科目は全部天。評定平均にして3.400。文句なしの上位。『俺が本気出せばこんなの余裕だし?』って自慢げだったけど、ほぼ俺とお前の筋肉の功績だということを理解していないのだろうか?


 あと、クーラスも4.000。正直面白みがない。ロザリィちゃんは数字こそ『ナイショ!』と教えてくれなかったものの、『たぶん中の上くらいかな?』とヒントだけくれた。秘密の多い女の子って素敵だよね。


 オリエンテーションは午前中で終了。こんなに早くていいものかと思ったけど、毎回こんなもんらしい。上級生ならこの後どんな授業を取るのか悩む時間になるらしいけど、俺たち一年生はぶっちゃけ全部必修だから履修登録する必要がないのだとか。


 ちょっと時間が空いたのと、これから機会がいつ訪れるかわからなかったため、ステラ先生に『割引券があるので、みんなで早めのディナーをしませんか?』と誘う。


 先生、最初は『先生が一緒だと楽しめないでしょ?』とやんわりと遠慮するも、俺がどうしてもというと『じゃあ、ご一緒しようかな♪』とのってくれた。なんか、前から一度行ってみたかった場所らしい。


 幸いにして俺の貰った割引券は人数無制限。ギルに『今日の夜行く。割引券を使う。人数は四十人ほど。貸し切りでよろしく』と手紙を持たせ、速攻で届けに行ってもらった。『渋るようなら筋肉を見せつけろ』と言っておくのも忘れない。


 で、ちょっと早めの時間にルマルマ全員で例の食事処に行く。あのシェフ兼オーナーの眠そうなお姉さんが『まってたよー!』と歓迎してくれた。どうやら、今日は魔系の夏休み最終日ということもあり、あんま客の入りがみこめなかったらしい。


 中には既にこれでもかってレベルでごちそうが並んでいた。昼頃にアポを取ったはずなのにクオリティがなかなか高い。『学生だから質より量を重視してみたよー』って言ってたけど、そこらの食事処よりもはるかに手が込んでいた。


 早速みんな席について食べる。有名なところだけあってめっちゃうまい。ステラ先生も『おいしい……!』ってニコニコしてた。そんな様子がマジ女神。


 女の子たちも結構がっつり食べてた。ここ、すごく混むからなかなか入る機会がなかったらしい。ここだけの話、学生だとお値段がちょっとお高いし。


 男子連中の食べっぷりはすさまじかった。『どうせ割引だ、存分に食え!』、『──のおごりなんだろ? 腹いっぱい食べようぜ!』、『このジャガイモマジうめえ!』と空き皿がどんどんつみあがっていく。


 いつの間にか俺のおごりってことになってるんだけどどういうことだ?


 ちょっとイラッとしたけど、ロザリィちゃんが『あーん♪』ってやってくれたからそんな気持ちは吹っ飛んでいった。なんであの子はあんなにもかわいいのだろう。間違いなくロザリィちゃんだからか。


 結局、『今日は先生がおごっちゃうぞーっ!』ってステラ先生がお金を出してくれた。あと、あの店主は『……今度から割引券はなしだよー。さすがに破産するよー』ってめそめそしてた。


 ステラ先生はわたわたしてたけど俺は騙されない。飲食店ってのは基本的に客の注文が取れれば儲けが出るのだ。破産するのは注文が取れなくなった時だけ。たとえ割引を効かせていようとそれは変わらない。あの店主、なかなかあざとい。


 風呂入って雑談して今に至る。明日から本格的な授業。もっと休みが続けばよかったのに……っていうか、よくよく考えたら今日って休日だよね? この学校、休日にオリエンテーションぶち込むとかマジで何を考えているんだろう?


 ギルはいつも通りに大きなイビキをかいている。こいつのイビキはどうやったら治るのか見当もつかない。ちゃっぴぃの爪を鼻にぶち込んでおいた。いさなみすやお。


※明日は燃えるゴミの日。魔法廃棄物には無慈悲なる鉄槌を下せ。

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