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153日目 ロザリィちゃんとデート! (ドキドキが止まらない)

153日目


 鼻から伸びた骨が壁を貫通している。超怖い。


 いつもより念入りに身支度を整えていたところ、ポポルとフィルラドが『殺す気か!』と怒鳴り込んできた。『いったい何のことだ?』と問いかけたら、『また変な骨がこの部屋からこっちに……!』とわけのわからんことを言われる。


 しかし、この部屋にそんなものはない。『今日は忙しいんだ。お引きとり願おうか』と言ったら『しらばっくれやがって……!』ってすんげえ睨まれる。でも、俺が気合を入れているのがわかったのかすぐに帰ってくれた。


 後ろでギルが『うめえうめえ!』と食べてたスナックについて言及してくれなくて本当に助かった。俺も綺麗なところを一個だけ口に入れたけど硬すぎて食べられなかった。ギルは歯も丈夫なんだと改めて認識する。


 食堂へは行かずにそのまま玄関ホールに。今日は食べ歩きをするため、朝は抜こうってことになってたんだよね。で、ドキドキワクワクしながら待っていたら、サマーヴァージョンの私服姿なプリティロザリィちゃんがやってきた!


 もう、めっちゃかわいすぎて一瞬気を失った。全体的に薄着……っていうか健全に肌が出ているし、なんかもう今すぐぎゅってしたかったくらい。白い帽子もチャーミング。にこって笑う姿とか、女神も裸足で逃げだすレベル。


 『ごめん、遅れちゃった?』と甘い声。こないだと同じフレーズ。俺も『待つ時間も楽しかったよ』と笑いかける。もうこの段階でテンションマックス。俺、生きてて本当に良かった。


 いいムードだったので、ロザリィちゃんと見つめ合った後に勇気を出して手をすっと差し出してみた。ロザリィちゃん、『エスコートよろしくお願いします!』と手を出してくる。


 そのまま二人で手をつないで町へ行こう……と思ったら、『きゅーっ♪』とか言って間に入ってきたちゃっぴぃが俺たちと手をつないできた。どうなってやがる。


 『……あ、あれ?』とロザリィちゃん。俺たちの真ん中でご機嫌なちゃっぴぃ。手を離そうとするも力強く握って離さない。ぴょんぴょんぶらぶらし始めた。


 最終的に、『ちゃ、ちゃっぴぃもお買い物いきたいもんね!』とロザリィちゃんがウィンクしてきたので、そのまま手をつないで外に出た。最後の瞬間ふと後ろを向いたら、柱の角から出てきたポポルとフィルラドが腹を抱えてゲラゲラ笑っていた。後で絶対呪ってやる。


 んで、そのまま町でデート。手をつないだまま(不本意なことにちゃっぴぃと。でも、これって間接的にはロザリィちゃんとつないでいるからセーフなのか?)ぶらぶらとウィンドウショッピングを楽しむ。


 途中でサンドイッチ的な何かが売られていたので購入。俺がスパイシー風でロザリィちゃんがナントカ風っていうどこか外国の味付けのやつ。『ひとくちちょーだいっ!』って言われたのでさっと差し出した。『こっちもおいしーっ♪』とお口を動かすロザリィちゃんがマジプリティ。間接キスに超ドッキドキ。


 『──くんも、どうぞ!』ってかわいい歯形がついたサンドイッチを差し出されたので、俺もワクワクしながらぱくってやろうとしたんだけど、『きゃーっ♪』ってちゃっぴぃが横から全部食いやがった。さすがにイラッてしたけどやさしい俺は見なかったことにしてあげた。


 さて、一心地ついたところで『買いたいものってなんなの?』とロザリィちゃんに問いかける。一応、今日はそれを買うためにデートに来たわけだし。


 『こっちだよ!』とロザリィちゃんに導かれるままに行ったそこは……なんと、水着売り場だった。もちろん女ものの。周りにはカップル的なペアが数人と、きれーなおねーさまが何人かいる。


 冷静に書いているが、このときのドキドキはとても言葉で表せられるようなものじゃない。


 『俺が入っていいの?』と問いかけたら、『──くんに選んでほしいの!』と言われた。もうマジで鼻血が出そうだった。なんでロザリィちゃんはこうもかわいいのだろう。俺、実は自分に都合の良い幻覚を見続けているんじゃないだろうか。


 ドキドキしながら店内へ。子供用のものからあはーんでうふーんなちょっとオトナのものまでいろんな種類がある。いろんな色が取り揃えてあったけど、なんとなく緑色のものが多い。今年の流行なのだろうか。


 『ど、どれがいいかな?』とロザリィちゃんは赤くなりながら、黒字に緑の模様が入ったパレオと、青を基調としたフリルワンピ、そして真っ赤(!)でゴージャスなビキニを持ってきた。もう、ロザリィちゃんが水着を持っているって絵面だけで失神しそうになる。


 それに、俺が選んでいいってことは、つまりそういうことだよね? ロザリィちゃん、俺の好みの水着を着てくれるってことだよね?


 とはいえ、正直に『ロザリィちゃんならどれも似合う。すごくかわいい。今すぐ抱きしめたい』と伝える。『……っ!』って声に出せずに真っ赤になってもじもじするロザリィちゃんがエクセレントプリティ。もうそれしか書けない。だってマジでかわいかったんだもん。


 で、『ここは大胆にビキニで』と言ったら『……えっちなんだから♪』と言われる。『フリルワンピも見てみたい』と言ったら『……そんなお子様なので満足できるのかな?』と脇腹を突かれた。女の買い物に付き合ってこれほど楽しいと思ったことが今まであっただろうか?


 結局、大人かつセクシーかつ露出度はちょっと控えめなパレオを購入することに。ちょっと透けてる長いスカーフみたいなのを腰に巻くアレね。ロザリィちゃんの魅力がたっぷり出せるいい選択だったと思う。アレ外せばビキニにもなってすごいお得な感じだし。


 ちなみに、この店は試着は禁止だったためロザリィちゃんの水着姿は見れず。でも、『明日見られるんだから我慢するよーに!』って頭をこつんってしてくれて超幸せ。


 つーか、明日湖に泳ぎに行くって初めて知った。『あれ、私言ってなかったっけ!?』ってロザリィちゃんがわたわたしてたけど、きっと俺の耳が腐っていて聞き逃したんだろう。ロザリィちゃんは悪くない。


 会計を済ませて店を出ようとしたところ、『きゃ!』とちゃっぴぃが子供用の緑の水着をこっちに持ってきた。目をキラキラ輝かせ、ふんす、と鼻息が荒い。で、さっさと買えと言わんばかりに俺の尻をぺちぺちと叩いた。


 若干顔が引きつる。こいつ、まさか自分も水着を買ってもらえるものだと思っていたのだろうか。普段から全裸の癖に何を考えているのだろう。


 しかも、『元あった場所に戻してこい』と言ったら、『……きゅ?』と”えっ、ちょっとなんていったの?”と、マジで俺の言ったことが信じられないように一瞬固まった。


 で、『戻してこいと言っているんだ』ともう一度強く言ったら、この世の終わりを見たかのような絶望の表情を浮かべ、超涙目&泣き出す一歩手前にまでなった。マジで買ってもらえるものだと思っていたらしい。


 『……あの男、サイテー』、『使い魔虐待じゃない?』、『使い魔とはいえ子供にあんな顔させるとか……』、『結婚したら亭主関白になるタイプね』と周りからも白い目で見られる。これ、俺悪くないよね?


 最終的に、『ちゃっぴぃも女の子だもんね』ってロザリィちゃんが頭を撫で、『私が買ってもいいかな?』と上目づかい&超至近距離&目をぱちぱちして甘えてきたので、『使い魔の面倒は主人が見るものだからね』と俺が購入した。


 『よかったね!』ってロザリィちゃんはちゃっぴぃをぎゅってしてたけど、ちゃっぴぃのやつは水着に夢中だったうえ、なぜかロザリィちゃんばかりに感謝して俺には何もしなかった。解せぬ。


 その後は適当にぶらぶらしたり噴水のところでおしゃべりした。ちゃっぴぃを連れているせいで劇は見れなかったし、おおっぴらにイチャイチャすることもできず。


 でも、途中でパレオに似合いそうだからって大きめのおしゃれな麦わら帽子的なものをロザリィちゃんにプレゼントしたんだけど、ロザリィちゃんは帰り際、かぶっていたそれをちゃっぴぃ(すでにワガママ言ってロザリィちゃんの白い帽子を被っていた)にちょっと強引にずぼっとかぶせ……


 ……俺にちゅっ! ってしてくれたぁぁぁぁ! もちろんくちびる! すっごいロマンティック! なんかもう全部吹っ飛んで超うれしかった!


 『で、デートなんだから最後はこれやらないとねっ!』っとロザリィちゃん。夕日みたいに真っ赤になっていて、暗くなりつつあるのにその色がくっきりわかった。ちゃっぴぃはいきなりかぶせられた帽子のせいでこっちを見ていなかったっぽい。


 その後、気分が盛り上がったのでロザリィちゃんと腕を組んで学校まであるく。大きなお胸が腕に当たって超ドキドキした。マジで柔らかくて体が緊張する。ロザリィちゃんもテレテレして恥ずかしそうにはにかんでいてマーベラスキュートだった。


 なお、俺とロザリィちゃんのただならぬラブラブオーラを感じたのか、帰りはちゃっぴぃは『きゅ、きゅう……!』とダブル帽子を巧みに利用し、チラチラ顔を隠しながら静かについてきていた。最初っからそうすれば水着の一つや二つ普通に買ってやったのに。


 寮に帰ったら、『まるで親子連れだな?』とニヤニヤしたアルテアちゃんに言われた。ロザリィちゃんは『アルテアのばかーっ!』って言いながらぽかぽか叩いてた。そういわれてみれば、今日はちゃっぴぃがずっと俺たちと手をつないでいたからそう見えないこともない。


 これ、もしかしてラブラブ家族に見えたんじゃね? 結婚もしてないのに家族とか、すっげぇドキドキしてくるんですけど。


 なお、クラスルームの隅にミーシャちゃんのリボンでぐるぐる巻きにされ、半ベソかきながらエッグ婦人とヒナたちに突かれているポポルとフィルラドがいた。『──はともかく、ロザリィのデートの邪魔しようとするとか最低な奴らなの』ってミーシャちゃんが怒ってた。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。最初の時ほどのロマンティックさはなかったけど、正式な恋人同士ならではのドキドキがあって今日のデートも最高だった。疑似家族デートもよかったけど、次こそは正真正銘二人きりでデートしたい。


 ギルは今日も大きなイビキをかいて寝ている。明日はちょっと早めに起きて支度するから、悪夢祓いの葉を丸めて鼻に詰めておいた。


 ドキドキしすぎて眠れそうにないけど、頑張って寝よう。

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