152日目 夏釣り
152日目
なぜか扉がガチガチに固められていて開かない。窓も開かない。しょうがないから慈愛の抱擁でぶち抜いた。あとでジオルドに直してもらおうっと。
ギルをたたき起こし、いつも通りに食堂へ。すでにいつものメンツ(クーラスとジオルドは除く)が集まっていた。今日は男連中が十分にそろっているため、釣竿を借りに行く必要もない。アエルノチュッチュの心配もない。超うれしい。
さて、『うめえうめえ!』とギルがジャガイモを食べ終わるのを見計らって湖へ。今日は俺&ロザリィちゃん、フィルラド&アルテアちゃん、ポポル&パレッタちゃん、ギル&ミーシャちゃんで釣りを行うことに。
致命的に餌のチョイスが悪いパレッタちゃんでも、男子の中では一番釣りのうまいポポルと組ませればなんとかなるって考えた結果この組み合わせになった。パレッタちゃん、『釣れなかったら呪っちゃうからね』ってポポルを脅してた。
『今日もよろしくおねがいします!』って俺の隣に腰を下ろしたロザリィちゃんがめっちゃかわいかったんだけど、こないだの寒波の影響がイマイチ魚の食いつきがよくない。つーか、魚がいるって気配があんまりない。
フィルラドに調子を聞いてみるも、『アタリすらこねぇな』と餌がついたままの針を見せてくれた。せっかちなアルテアちゃんは暇すぎてエッグ婦人と六匹のヒナたちとともに足をちゃぷちゃぷして遊んでた。
ポポルにも話を振ったら、『いつもいる小魚もいないっぽい』と返される。これじゃフィッシュ&チップスが食べられない。パレッタちゃん、『この湖呪われてるんじゃない?』と水の性質を調べだす。
ミーシャちゃんのほうもイマイチ。何度も仕掛けや餌を変えていたみたいだけど、釣竿にはこれと言って反応がなかったらしい。『魚の癖にナマイキなの!』ってぷんすか怒ってた。
とはいえ、俺個人としてはロザリィちゃんと一緒にゆったりと時間を過ごせるだけでうれしい。二人で仲良く釣竿握っておしゃべりできるとか、逆に魚のいないほうがうれしいかもしれない。
仲良くおしゃべりしていたら、ロザリィちゃんがきょろきょろとあたりを見渡した。『どうしたの?』とやさしく問いかけたら、にこっと笑いながら俺の唇に人差し指を当ててきた。『静かに♪』と口パクで返される。なんかすっげぇドキドキした。
で、こっそりと耳元で『あ、明日はデートに行こうよ!』と囁かれる。耳がくすぐったくて釣竿を離しそうになった。なんか買いたいものがあるらしい。もちろん残像が出るレベルでうなずく。ロザリィちゃんが頭をポンポンしてくれて超うれしかった。
結局、全体の釣果は『こいつしかいなかった!』とギルが素潜りで手に入れた雷髭魚が一匹のみ。それもほとんど死にかけのやつ。どうやらみんな一時的に別の水域に避難しているらしい。
ほぼ収穫なしとはいえ、今日はもう魚の気分だったので夕食はこないだのティラニア・コーダを保冷庫から引っ張り出しておばちゃんに焼いてもらった。『こんだけ立派なのどこで仕入れてきたんだい?』と言われたので、『しばらく前に釣ったやつだ』と答えたら、『就職なかったらうちで働きなよ』と言われた。ちょっと気が早すぎると思う。
ティラニア・コーダだけど、肉厚なうえ脂がのっていていて超デリシャスだった。あまりにもデカ過ぎたので、いつも通りクラスの連中と食べる。おなかの部分が一番人気だったけど、俺的には尾っぽのところが好み。あの何とも言えない風味がクセになる。
あと、ヒナたちが目玉を突いて食べてた。ちゃっぴぃはお頭に飛びついてがじがじとそのまま食べていた。テーブルマナーくらい覚えさせるべきだろうか?
でも、『おくちふこうね♪』ってちゃっぴぃの世話をするロザリィちゃんがマジプリティでよかった。俺もお口をふいてほしい。
ちょっとざっくりしてるけど明日はデートだからこの辺にしておく。イビキのうるさいギルの鼻には、ちゃっぴぃの喉に刺さったティラニア・コーダの骨を入れておく。みすやお。




