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14日目 魔法生物学:総合的な魔法植物の育て方

14日目


 ギルが汗だくで乾布摩擦してた。部屋の中がクソ熱い。牙は跡形もない。マジなんなのあいつ。


 食欲がわかなかったので朝食はグレイサーグレープだけ。当たり前のように俺の隣に座るギルを今日ほど憎らしく思った日はない。カーペットが奴の通ったところだけ湿っているし、時々汗がぴしょってこっちに飛んでくる。しかも何故か半裸。


 その様子を見てみんな食欲が失せたのか、今日は大皿の料理が全然減ってなかった。ギルはすげえいい笑顔で『食べないなら俺ぜんぶ食っちゃうよ!』って言って、いつものジャガイモをぺろりと平らげたうえで『うめえうめえ!』って言いながら全部喰っちまった。なんかいい運動した後みたいに肉体的にも気分的にもスッキリしていて、とにかく腹が減っていたらしい。


 不思議と汗臭くはないのが妙に腹が立った。あと、半裸のギルを見てきゃーって顔を押さえたロザリィちゃんがベリーキュート。ちらちらって指の間から覗いていたのもポイント高い。とりあえずギルは殴っておいた。手を痛めたけど。


 今度ギルに体の鍛え方を聞いておこう。悔しいけどヤツの肉体は本物だ。俺もマッチョになってロザリィちゃんに見てもらいたい。あわよくば触ってもらいたい。


 授業は魔法生物学。半裸のギルを見ても動じなかったグレイベル先生を尊敬する。ピアナ先生? 平静を装ってたけど真っ赤になってて超可愛かった!


 今日は総合的な魔法植物の育て方について。もはや俺の庭と化している場所で基本中の基本のことを教えてくれた。以下にメモの一部を示す。


・土を作るのはできれば二週間前。


・間引きをするために一か所に複数の種を撒く。苗の場合は考慮しなくてよい。


・特別な場合を除いて成長段階で芽摘みや剪定を行う。モノによって細かく決まりがあるのできちんと調べておく。


・水は純水で。魔法的性質を持つ液体は相性があるので安易に与えない。


・場合にもよるがマンドラゴラ等の思考型魔法植物は根が日に当たると目覚める可能性が出来てしまうので、土寄せをしっかりすること。また、苗そのものは日当たりが良い場所に植えるのが良い。


・魔法的植物は植物の成長として太陽の光を、魔法的性質の成長として月の光を使うため、曇天が続く場合(特に夜。月の満ち欠けの影響でただでさえ光量を確保できないため、チャンスを失うと結構痛いらしい)は何かしらの対策が必要になる。


・根などから分泌される魔法的成分を持つ分泌液や花粉の影響があるため、異種の魔法植物はできるだけ離して栽培する。影響がわかっている場合はその限りではない。


・魔法植物ごとに特別な生育方法も存在するため安易に種を植えたりしない。未知の植物を栽培する際は専門家と一緒に。


・まごころを込めて育てる。


・収穫は愛情を込めて行う。


 特に二人ともまごころと愛情をこめて育てることを強調していた。思いやりを持って育てていれば魔法植物はそれに応えてくれるらしい。ピアナ先生が言う分には可愛くてよかったけど、グレイベル先生も真顔でいってくるのはちょっと怖かった。たぶんピアナ先生に合わせてあげているのだろう。


 ロザリィちゃんが土まみれになりながらナエカを植えているのが美しかった。泥んこ顔もキュートです。早く俺のマンドラゴラテクニックを見せつけて頬を染めさせたい。


 俺たちの栽培スペース全域にギルの汗が染みこんでしまったのは見なかったことにした。変な影響がないことを強く願う。


 風呂の時、クラスの男子総がかりでギルに水をぶっかけた。おかげで快適に風呂にはいれた。ギルのやつも遊んでもらって嬉しそうだった。


 明日は休み。今から何をして過ごそうか楽しみだ。ロザリィちゃんへの美容液の制作の過程でナエカと各種の香草で造った香玉ができたのでギルの鼻に詰めておく。


 イビキが止まるのが先か、俺がイビキに慣れるのが先か。おやすみ。

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