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134日目 洗濯日和~GirlsEdition~

134日目


 ギルのおでこがテカテカに。俺の顔まで映るんだけど。


 曜日感覚がすっかりなくなってきたけど、今日は休日。いつもよりちょっと遅めに起きてギルと一緒に食堂へ行く。


 アエルノチュッチュのラフォイドルがルンルンと鼻歌を歌いながらラスト一個の休日限定スペシャルショートケーキを持って行ったので、すれ違いざまに筋肉質な杖を用いて上のイチゴをギルの口に放り込んでおいた。


 いきなり消えたイチゴにラフォイドルが『なにしやがんだコラァ!』って怒鳴ってきたけど、すでにギルは『うめえうめえ!』と神速でジャガイモを食っていたので証拠不十分で釈放となった。


 昨日の釣竿の仕返しとしてはかわいいものだと思う。釣竿は一日ブルーな気分だけど、イチゴだったらラフォイドル一人が我慢すればいいだけの話だし。俺、超やさしくね?


 なお、通りがかったバルトラムイスのシャンテちゃんが『キミの友達の額に盗る瞬間がバッチリ写ってたよ?』と、こっそり教えてくれた。


 ちょっと何を言っているのかよくわからなかったので、『額にモノが写るはずないだろう? 君は今きっと疲れているんだ。今日はゆっくり休んだほうが良い』と忠告しておいた。そしたら、シャンテちゃんは『うん、君はそういうやつだったね』と遠くのほうを見ながら歩いて行ってしまった。女の子っていまいちよくわからん。


 実にいい天気だったので、たまには散歩にでも行こうかと準備をしていたところ、ロザリィちゃんたち女子四人組に遭遇する。パレッタちゃんを除くみんながモジモジとしていて、ロザリィちゃんに至っては首筋まで真っ赤になっていた。もちろんベリープリティすぎて鼻血が出そうになった。


 で、『どうしたの?』って声をかけたら、プリティロザリィちゃんが『……ちょっと、ね?』と俺のローブをくいくいして耳に口を近づけてきた。くすぐったくて腰が抜けそうになる。


 『……ベッドのお手入れしてほしいの』とささやかれたとき、いろんな意味で盛り上がってしまったのは、もはやしょうがないことだろう。


 どうやらポポルたちがここしばらくずっと俺のベッドメイキングによる安眠を語っていたからか、ロザリィちゃんたちも気になってしまったらしい。最近寝苦しくなってきただけに、とうとう我慢できなくなったとか。


 もともとベッドのお手入れって素人には大変だし、俺はプロだ。だけど、女の子のベッドを男に触らせるのもちょっとアレだから今まで言い出せなかったようだ。


 『プロとしてのお前を信じることにした。もし何かあったら、信じようといったロザリィを泣かせることになるからな?』と赤い顔したアルテアちゃんにすごまれた。ミーシャちゃんには『不埒なことしたらローブにジャガイモつっこんでやるの』と恐ろしいことを言われる。パレッタちゃんからは『ヴィヴィディナの濡繭のように安らかなる安眠を期待している』とエールを送られた。


 で、さっそくブツを持ってきてもらう。こないだと同じように水球と洗剤を用意し、ドキドキしながら待っていたら、『は、恥ずかしいからあんまり見ないでねっ!』って寝具を持ったロザリィちゃんがやってきた。


 もちろん俺は爽やか笑顔で紳士的に受け取る。背徳的なすっげぇ甘い香りがしてくらくらした。できれば顔を埋めてすーはーすーはーしたかった。アルテアちゃんがケツビンタの構えを見せたからやめたけど。


 あれを毎晩ロザリィちゃんが使っていたかと思うと心臓のドキドキが止まらない。なんかすっげぇオトナな気分。夢魔の乳をなめた時よりもすごかったかもしれない。ロザリィちゃんの匂いがめちゃくちゃ心地よかった。


 実際、マジで女の子のいいにおいがしたんだよ。毎回ナターシャの寝具を洗ってたけど、あんないいにおいはしなかったね。やっぱ若さの違いか。


 理性ではさっさとやれって言ってたんだけど、本能的にぼうっとしちゃって自分でもビビった。いや、マジで体が動かなくて焦ったよ。一瞬ロザリィちゃんをだっこしている気分になったし。


 あと、『──くんのばかーっ!』って赤くなりながらぽかぽか叩いてくるロザリィちゃんがエクセレントプリティでした。マジでなんであんなにかわいいんだろう?


 なんだかんだで四人分のベッドパッドやシーツなんかを水球にぶちこむ。さすがに下着はなかったけど、パジャマはあった。なかなかかわいらしくておしゃれなデザイン。水球に入れると痛みそうだったので、心を無にして念入りに手洗いをしておいた。


 枕カバーやシーツも全体洗いを済ませた後に仕上げ洗いをする。ミーシャちゃんとパレッタちゃんのに若干のヨダレあとを発見。


 マジでやましい気持ちはなくって、宿屋の息子的な観点でどうしみ抜きするかを考えていたんだけど、『じろじろ見るなんていい度胸なの』と杖を向けられたので最速で処理しておいた。


 完全に洗い終わったところで干す。最初は『私たちが干すから指示だけくれ』ってアルテアちゃんが言ったんだけど、洗濯をしたことないのかぴんってやるのもパンパンするのも下手くそだったので、全部俺がやった。


 せっかくいい生地のパジャマを使ってるのに、あんな風に干したらダメになるのも早くなる。それでなくてもしわがついちゃうってのに。


 物干しはこないだのをそのまま流用した。あと、ちゃんと彼女らのパジャマは全部内側に干しておいた。このへんはきっちりしないとね。


 午後のひと時に洗剤の爽やかな香りが広がっていくのが心地よかった。今回は女の子のやつの洗濯だっただけに気分も最高。ただ、ロザリィちゃんの匂いが洗剤に上書きされたのが残念でならない。


 夕方ごろ、完全に乾いてからとうとうルマルマ寮女子エリアに行くことに。なぜだかルマルマ女子の全員が厳重警戒をして杖を構えていたんだけど、女子って俺のことを何だと思っているんだろうか?


 で、さっそくロザリィちゃん&ミーシャちゃんの部屋へ。部屋のつくりは男子のと変わらないけど、かわいい小物なんかがいっぱいあってすごく『女の子の部屋』って感じがした。


 『あ、あんまりじろじろ見たらいやなんだからねっ!』とロザリィちゃんがいうので、せめてその空気を肺腑に満たそうと深呼吸しようとしたらミーシャちゃんにケツビンタされた。解せぬ。


 で、ぱぱっとベッドメイキング。さすがに宿屋の仕事の時はまじめにやる。マデラさんの教えを活かして完璧な仕上がりにした。全体的にふっかふかでやわらか。おひさまの香りがいい感じ。


 『すごい……!』とこの時ばかりはみんながほめてくれた。『宿屋っててっきりアブナイのほうの宿屋だと思ってたのに……』と何人かの女子からつぶやきが漏れる。


 彼女ら、マジで俺のことをどう思っていたんだろうか?


 アルテアちゃん&パレッタちゃんのもささっとすませる。彼女らの部屋はきちんと整理整頓されていて、いかにも仕事ができる女の人ってかんじだった。パレッタちゃんの机も呪印の下書きくらいしかヤバそげなものはなかったし。


 瞬く間に高級宿屋の一室を作った俺は、そのまま賞賛のまなざしを浴びながら女子エリアを後にした。追い出されたといえなくもない。


 夕食中、ロザリィちゃんが『今日のお礼だよっ!』って言いながらおでこにちゅっ! ってしてくれて超うれしかった! やっぱロザリィちゃんマジプリティ! 最高すぎてほめる言葉が見つからない!


 その後、風呂入って雑談して今に至る。彼女らはベッドの使い心地を試したいのかさっさと寝てしまった。


 一日筋トレしていたギルは今日も大きなイビキをかいている。が、俺の気分はすこぶる良い。今日はかなり充実した日だった。いろんな意味でドキドキしまくり。生涯の記憶に残るだろうことは疑いようがない。


 そんな俺の喜びをこめ、ギルの鼻には聖女の慈愛を詰め込んだ。いい夢を見れますように。

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