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133日目 ギルで学ぶ正しい釣竿の使い方

133日目


 ギルの姿が見えない……と思ったら、俺のベッドの下で寝ていた。なお、廊下に損害は一切なし。人をおちょくっているのだろうか?


 ギルを足蹴にしてから食堂へ。今日は何をしようかと思いつつ、いつもの席に向かったら、完全装備(釣り)のミーシャちゃん、アルテアちゃん、パレッタちゃん、そしてロザリィちゃんを発見。『今から釣りに行くから全力で支度するの』と釣竿を突きつけられる。


 どうやらミーシャちゃん、昨日の埋め合わせ(?)としてギルと釣りに行きたかったらしい。別に断る理由もなかったので、ギルの口にジャガイモをぶちこんでから釣竿を準備する。


 もちろん、あいつは準備をしながらも『うめえうめえ!』とジャガイモをむさぼっていた。丸ごとそのまま飲み込まれていくジャガイモに同情を隠せない。


 マイ釣竿を担ぎつつ、アルテアちゃん、パレッタちゃん用の釣竿を借りに学生部に寄ったんだけど、『アエルノチュッチュの生徒が先ほど全部借りていきました』といつぞやと同じ状況に。


 あいつら、地味な嫌がらせに関しては天才的だと思う。あと、パレッタちゃんが『夏風邪の呪でいいかな……』って言ってたけど、聞かなかったことにした。


 で、さっそく湖に行って釣り。ミーシャちゃんが釣竿を二本持っていたから、アルテアちゃん&パレッタちゃんはそれを使うことに。もちろん、俺はロザリィちゃんと一緒。


 『ご指導よろしくお願いしますっ!』ってロザリィちゃんが体を密着させてきてめっちゃドキドキした。俺をこんなにドキドキさせるなんて、もしかしたらロザリィちゃんは本物の恋悪魔なのかもしれない。


 ドキドキしすぎて釣りどころじゃなかったけど、ボウズはカッコ悪いのでいちゃいちゃしながら魚を待つ。季節が変わったからか、プリズムフィッシュが三匹もつれた。


 こいつ、おなかの鱗が鏡みたいにぴかぴかな魔法生物。どうやらこいつで水面に擬態し、天敵から身を守っているらしい。あと、ムニエルにするとマジ最高。今からよだれが止まらない。


 俺とロザリィちゃんの愛の共同作業がよかったのか、そのあと三目魚も二匹ほど釣れた。『ちょっと苦手かも……』って涙目になっていてロザリィちゃんがマジプリティ。


 三目魚は目玉をほじって肥料にでもしようと思う。あいつら小骨が多いからあんまり調理には向かないし。


 アルテアちゃん&パレッタちゃんはイマイチ。アルテアちゃんはせっかちだし、パレッタちゃんはそもそも餌のチョイスがおかしい。


 『ヴィヴィディナはこれが好きなのに!』とか言って狂おしいほど呪われたファットウォームを使ってたけど、本気で釣れると思ったのだろうか?


 ミーシャちゃんは絶好調。小柄な体格に似あわず釣竿をびゅんびゅん振り回し、ギルの腕くらいたくましいティラニア・コーダを釣り上げていた。目が真っ青でマジビューティフル。活きのいい証。市場でもそうそう見れるもんじゃない。


 『どんなもんよ?』ってミーシャちゃんが超自慢げだったんだけど、その直後にギルが『俺も釣ってくる!』といきなり服を(パンイチになるまで)脱ぎだした。


 で、釣竿もってそのまま湖に飛び込む。いきなり脱ぎだしたギルに真っ赤になりながら顔をそむけたミーシャちゃんは、やつが飛び込んだ際に上がった水しぶきをもろにかぶってしまった。


 しばらくして、『こんな大きいのとれちゃったぜ!』とギルがティラニア・コーダのタイラント種を担ぎながら水面から出てきた。奴の倍くらいの全長がありそうな、マジでビックで立派な奴。


 もちろん頭部に打撃痕。どうやらひどく丈夫な細長いものでしたたかに打ち付けたらしい。


 釣竿ってそういうふうに使うもんじゃねえと、口に出さなかった俺をだれかほめてほしい。


 『親友が作ってくれた釣竿マジ便利!』ってあいつは爽やかに言ってたけど、機嫌を損ねたミーシャちゃんに執拗に噛みつかれまくっていた。あと、ミーシャちゃんは腹いせにギルのローブで体をふいていた。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。ほかの魚は水槽にぶち込んだものの、ティラニア・コーダは全部でかすぎて水槽に入らなかったため、血を完全に抜いて保冷庫にぶち込んでおいた。


 今度時間があったら丸焼きにするなりして食べようと思う。しばらく魚には困らないだろう。魚拓をとるのもいいかもしれない。


 ギルは今日も騒々しいイビキをかいている。プリズムフィッシュの鱗を鼻に詰めた。手が若干魚臭くなったのがやなかんじ。手をよく洗ってから寝ようっと。

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