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131日目 尋問結果

131日目


 口の中に草風味のエビの味が広がってるんだけど。俺、なんかヘンなものでも食べたっけ?


 丹念に口をすすいでからギルを起こして食堂へ。さっぱりしたものが食べたい気分だったのでヨーグルトをチョイス。こないだロザリィちゃんが食べていたハートフルピーチのジャムをぶち込んで食べてみた。底抜けの桃の甘さがマジスウィート。俺には若干甘すぎるきらいもあったけど許容範囲内。


 朝食を済ませた後、バイトを探そうとギルと共に学生部へ向かっていたら、ステラ先生に呼び止められた。『ちょっとついてきて!』となかなか大胆な発言。


 デートのお誘いかと思ってルンルンしてたら、まるで面白みもない応接室に通された。中にいたのは満面の笑みのシキラ先生と、疲れ切った顔をしたグレイベル先生と、そしてハアハア言いながらジャガイモをしゃぶるこないだの薬師だった。


 俺たちが席に着くなり、シキラ先生は『尋問すっげぇ楽しかったぜ!』と腹を抱えて笑い出す。あと、『なんてイモ臭く愛おしいんだ……!』とか言いながらジャガイモをペロペロしている薬師がめっちゃ怖かった。ステラ先生なんてドン引きして杖構えてたし。


 どうやらここしばらくずっと先生たちはあの薬師を尋問にかけていたらしい。最初は平和的に言葉や自白剤だけで情報を取ろうとしたそうなんだけど、あまりにも頑固だったためにルンルン(例の禁晶蜘蛛)の檻にぶちこんだそうな。


 で、ルンルンの脚斬りを命じたり、一滴でも分量を間違えると爆発する薬を目の前で遊びながら調合したり、上級生たちがルンルンの触媒を用いて作成した魔道具の実験体に(ルンルンともども)なってもらったりしたそうだ。


 その影響で薬師の男はストレス性の円型ハゲになり、不眠症が続いているのだとか。あと、何故かジャガイモに対する異常な依存性を示し、数時間おきに摂取しないと発狂するようになったらしい。完全にジャガイモ漬けにされている。


 『ジャガイモちらつかせるとルンルンの脚だってナマで食べてくれるんだぜ!?』ってシキラ先生が笑ってたけど、そんなことを普通に思いつくあたり、あの人もだいぶクレイジーだと思う。


 で、ジャガイモを餌に尋問したところ、『見知らぬ女から新薬の性能試験を依頼された』とゲロッたそうな。かなりの大金を渡されたため、ヤバい薬だとは知りつつもついつい魔が差したのだとか。


 『とりあえずこれから豚箱にぶち込んでくるけど、何かやっておきたいことあるか?』とシキラ先生に聞かれたので、ポケットに入れておいたルマルマキャンディを男の口へとぶち込む。ブレイクダンスを踊りながらスタイリッシュにジャガイモを食べ始めた。もうワケわかんねえなこれ。


 なお、ギルは『俺のほうがジャガイモへの愛は強いし?』とか言ってポージングを決めていた。こいつは頭の中身までジャガイモに寄生されているらしい。


 最終的にジャガイモ好き同士で『うめえうめえ!』っていいながら仲良くジャガイモを食べていたけど、通じる何かでもあったのだろうか?


 結局なんだったのかよくわからんままに面談は終了。謎の女に気を付けろってことで解散になった。


 そうそう、グレイベル先生がやたら疲れた顔をしていたので普通のキャンディを渡しておいた。シキラ先生の暴走を止めるのと、夜中であろうとジャガイモを求めて奇声を上げる薬師の面倒を見るので疲労困憊だったらしい。


 なお、そんなグレイベル先生をシキラ先生は『あいつが死んじまってもルンルンがペロッと平らげてくれるから証拠は残らないぜ!』って励ましていたそうな。


 『ルマルマキャンディにしてくれ。何もかも忘れてしまいたい』とため息を漏らすグレイベル先生の表情を、俺は一生忘れることはないだろう。


 やる気も失せたので午後はゆっくりした。クラスルームの本棚にあった本を適当に漁っていたら、奇食家のエッセイを発見。読んでから後悔。バッタのおいしい調理法に無駄に詳しくなる。そして、朝の出来事を思い出して吐きそうになった。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。なんか今日はあまり面白くない日だった。不快な気分がまだ続いている。


 長期休暇になってからイマイチ日記の調子が悪い気がする。日々のイベントが多様化しているせいだろうか。


 とりあえず、耳障りなイビキをかくギルの鼻に悪魔の良心を詰めてみた。明日は面白い日になりますように。

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