表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
130/368

130日目 設備メンテナンスのバイト(ロザリィちゃんといっしょ!)

130日目


 ギルの手がネトネトしてる。ばっちい。


 ギルを起こして食堂へ。微妙に天気が悪かったからからか、フィルラド&アルテアちゃんも含めたいつものメンツが揃っていた。


 せっかくなのでみんなでビッグなシーフードピザを食べる。朝からちょっと重い感じだけど、魚介の深い味とパンの風味がマッチしててデリシャスだった。あと、チーズをみょーんってしているロザリィちゃんがマジプリティ。


 もちろんギルはジャガイモ。ネトネトした手で食ってたけど気にしていなかった。あいつの味覚はどうなってんだろうか。


 食事の後の雑談中、アルテアちゃんが『男子はみんなやけに元気だな?』と聞いてくる。言われてみれば、最近寝不足気味のクーラスも、なにかやってるジオルドも、そして早朝ジョギングをこなしていたフィルラドも、クマ一つなく血色がいい。


 『親友がベッドを洗濯して最高のベッドメイキングも施してくれたからだぜ!』ってギルにしては珍しく解説してくれたけど、毎日公害レベルで快眠しているあいつがいってもあんまり説得力がない。


 なお、アルテアちゃんはちょっと寝不足気味らしい。早起きなのはいつも通りだけど、休みってこともあってついついおしゃべりで夜更かししちゃうとか。『アルテアスペシャル美容液がなかったら危なかった』って言ってた。


 食事の後は学生部にバイトを探しに。今日は一人で適当にやろうと思っていたら、後ろからロザリィちゃんに『私も一緒にやっていいかなっ?』と声をかけられた。弾ける笑顔が超可愛い。もちろん、残像がでるレベルでうなずいておいた。


 選んだのは飲食店で使用されている魔道具の魔力の補充。報酬はちょっと少ないけど、単純作業だしそんなに疲れない。あと、頑張ればさっさと終わらせることができる。


 さっそくロザリィちゃんと二人で現場へ。この辺ではちょっと有名な食事処らしく、おいしそうな魚介類(たぶんスープ系)の香りがぷんぷんと漂っていた。『いいにおーい!』って鼻をすんすんさせるロザリィちゃんがベリーキュート。俺もすんすんしてほしい。


 で、依頼人に挨拶してから仕事。件の魔道具は調理器具で、繊細な火加減を可能とするために竈代わりに使うやつ。中に触媒(正確に言えば魔力タンク的なやつ)があるので、そいつが真っ赤になるまで魔力を込め、動作確認をすればオシマイ。ギルでさえ(一応)出来る仕事だ。


 『夜の忙しくなる時間までにやってくれればいいからねー』とのことだったので、ロザリィちゃんとおしゃべりしながら仕事をする。なんと、ロザリィちゃんにはお姉さんがいるらしい。魔系ではないけど、歌手になりたくて都会の方でがんばっているとか。


 『私もちょっとだけ歌には自信あるんだよっ!』って言ってたけど、俺、たぶんロザリィちゃんの歌を聞いたら感動しすぎて失神する。あの甘い声で旋律を紡ぐとか、もはやセイレンやサキュバスも逃げ出すレベルだと思う。


 なんやかんやで仕事を進めてたんだけど、突然ロザリィちゃんが『──くぅん……!』って涙目で見つめてきた。ドキドキしながらどうしたのかと見てみれば、最後の一個だけなぜか魔力が溜まっているのに火がついていなかった。


 俺の魔力を上書きしてもダメ。別の触媒をセットしても反応なし。逆にその触媒を別の魔道具にセットしたら普通に動いた。


 どうやら魔道具のほうに問題があったらしい。ちょっとバラしてみたら魔法陣が擦り切れ、回路が一部で誤動作を起こしていた。明らかに経年劣化による寿命。もともと使用頻度が高そうだったし、しょうがないことだろう。


 で、依頼主に正確に現状を伝えると、『確かに少し前から調子悪かったんだよねー』との答えが。でも、魔道具は高いからなかなか買い替えることができなかったらしい。修理に出そうとも思ったそうだけど、『金も時間もかかるから買い替えたほうが早いって言われちゃってさー』とのことだった。


 が、少なくとも俺の見た限りではちょっと弄ればすぐ直りそうだった。うちの宿屋でも同じの使ってたし、マデラさんが直したところを何度も見ている。


 だいたい、この程度の魔法陣にてこずる魔系なんていない。誰だか知らんが、素人相手に足元見てぼったくろうとしているらしい。


 同じ魔系の人間として正義感がわいたのと、同じ飲食店として親近感があったので、『まかないサービスしてくれれば直しますよ』と依頼人に告げる。依頼人、最初は半信半疑だったけど、俺が五分もしないで直したら飛び上がって喜んでくれた。


 擦り切れたところ新しく書き換えるだけだったからマジで簡単だった。よほど悪質な業者に出会ってしまったんだろう。あと、『──くん、すごい!』って褒めてくれるロザリィちゃんに全俺が癒された。なんであの子はあんなにかわいいんだろう。


 依頼人に『今度からメンテはキミに頼むよー!』と名前と顔を覚えてもらった。あと、『まかないどころかフルコースをサービスするよー!』とちゃんとしたお昼までごちそうになってしまった。おまけに『こいつもあげちゃうよー! お友達でも誘ってきてねー!』と割引券までもらってしまった。


 これでなお想定していた修理費よりも安いものらしい。どんだけがめつい業者だったんだろうか。


 夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。せっかく割引券をもらったので、今度みんなと一緒にあそこに行こうと思う。なんだかんだでロザリィちゃんとたくさん話せて今日は一日ハッピーだった。


 大きなイビキをかくギルはミーシャちゃんと一緒にムーンフィッシュの納品依頼をこなしたらしい。『湖がきれいでついつい泳いじゃったぜ!』と言っていたので、みんなで湖に遊びに行くのもいいかもしれない。


 ロザリィちゃんの水着姿を想像したらドキドキが止まらない。とりあえず、ギルの鼻には廊下で拾ったなんかの虫の脚を詰めた。みすやお。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ