13日目 基礎魔法学:触媒による火魔法の威力上昇実習
13日目
ギルのすね毛がロン毛になってた。すげえ怖い。
朝食はカボチャスープ。甘味がすこし強かったけど割と飲みやすかった。千切ったパンを浸して食べるとさらにデリシャス。ロザリィちゃんがもぐもぐしていて超可愛かった。ポポルのヤツは途中でこけてカボチャスープをぶちまけてしまっていた。しょうがないから片づけを手伝ってやったらとても感謝された。ギルの世話に比べたらこの程度コロポックルの願いを叶えるようなものだ。
今日はみんな大好きステラ先生の基礎魔法学。魔法法則を実践を通しながら学んだ。
魔法って言ってもそれを構成するパラメータってのはいっぱいあって、各種の法則に基づいてそのパラメータは決定されるらしい。例えば何でもないように使える火の魔法であっても魔素オクスが支配的になってなんらかの魔力的要素と結びついた結果発動するものだそうだ。
今回は擬似的な魔力的密閉空間を局所的(杖とかの発動体付近)に作り出し、その中に触媒として風煤石……魔式名称で言うマヌガタムオクシアと激昂水……魔式名称タムヒドルタムオクシアを用いてオクスを活性化させ、火の魔法の威力を上げるという授業だ。
実際に自分で密閉空間を作って触媒をぶち込んだらマジで火の魔法の威力が跳ね上がった。どんな術式を使っても、術式を使わなくても、魔法陣を組み合わせても密閉空間の中で触媒が作用し続ける限りは威力がダンチだった。
ちょっと問題だったところと言えば威力が強くなりすぎて若干制御が難しくなるところくらいだろう。でも、術式に魔流抵抗を組み込んだりしてやれば威力はちょっとだけ落ちるけど格段に使いやすくなるってステラ先生が言ってた。
ちょびっとつけただけでも安定するから、基本的にはケチケチしないで付けたほうがいいらしい。もちろんやり過ぎは禁物らしいけど。
みんなで火の魔法を使いまくってたらギルのすね毛に引火して大変なことになった。チリチリすね毛ってあんなにみっともないんだな。つーか、暑いのはわかるけど魔操着めくるってそれ魔操着の意味なくね?
しかもあのバカ野郎、大した怪我でもないのにステラ先生直々に手当てしてもらってた。超自慢げにトロールみたいな笑顔をこっちに向けてきやがった。男子のみんなが隠そうともせずに舌打ちした。もちろん俺もした。
でも、あわあわしているロザリィちゃんがグレートだった。ミーシャちゃんが必死になだめてたからすぐに落ち着いてしまった。残念。
夕飯後のクラスルームでの雑談中、ギルがトイレに立った瞬間を見計らってポポルが小炎魔の牙をくれた。あいつの実家の使い魔から採れたものを材料として送ってくれたらしい。『有効に使ってね』とイイ笑顔で言われたので、早速使おうと思う。
いくらギルでもこいつを鼻にぶちこんだらひとたまりもないだろう。イビキが悲鳴に変わる瞬間が楽しみだ。




