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120日目 本物の土下座

120日目


 寝汗でぐっしょりのギルの肌表面にきらきらと白い粒を確認。塩かと思ったら砂糖だった。人体ってすげーな。


 ギルを叩き起こして食堂へ。普通の休日なのに休日の感じがしなくて不思議。デザートはもちろん休日仕様だったので、ゴージャス感あふれるレアードゼリーを食べた。鮮やかな緑の透明感と白い線のコントラストがマジビューティフル。


 ギルはもちろんジャガイモを『うめえうめえ!』って喰ってた。あいつ、どうしてあんなにもおいしそうにただのふかし芋を食べられるのだろうか。


 マジでうまそうに食うもんだから、釣られて手を出す生徒が何人かいた。みんなすぐに元の食事に戻ったけど。


 休日でもあるし、食後のゆったりした時間を過ごそうとクラスルームに戻ったら、ど真ん中で女子に囲まれながら綺麗な土下座をしている人がいた。誰かと思ったら、おとといミーシャちゃんの尻を撫でた上級生だった。


 『サイテー』、『ロリコン』、『性犯罪者』、『ないわぁ……』などと、女子たちの言葉が次々に降りかかる。イエティすら風邪を引きそうなくらい冷たいまなざし。それでもそいつは土下座をし続け、『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』と呪文のようにつぶやき続けていた。


 女の敵だと感じ取ったのか、エッグ婦人と六匹のヒナたちもそいつのケツを執拗に突き続けていた。残像すら見える見事なヘドバン。ソウルフルな何かを感じずにはいられない。


 あいつの尻穴はもうズタボロだろう。しばらくは使い物にならないはずだ。


 で、そろそろ見ているのも飽きたので弁明を聞くことに。なんでもキイラム(上級生の名前)には妹がいるらしく、酔っぱらってミーシャちゃんを妹と間違えてしまったそうだ。


 『いつまでたっても育たねえ尻だなあ!』って撫でてからかうのが習慣化していたらしく、研究疲れと妹に会えないさみしさ、そして酩酊状態による判断力低下が相まってあの事件が起きたとのこと。


 『妹と後姿がよく似ていて……まだ小さいのに変に色気づいて生意気で……でも可愛くて……』と、弁明を聞いているうちに妹自慢に入りだす。どうやらロリコンだけでなくシスコンの気もあるらしい。


 ちなみに、その妹とミーシャちゃんは十歳近く年が離れていた。ミーシャちゃん、それを聞いた瞬間に無言でキイラムにヤクザキックしてた。で、自分の足を痛めたのでギルに、『こいつはジャガイモの仇なの。すべてのジャガイモの敵なの。だから遠慮なくデコピンしてほしいの』と甘えた。


 直後、ヴィヴィディナに引けを取らないレベルの悲鳴が上がる。悶絶ってああいうことを言うのだろう。人のおでこってあんなにも腫れるんだな。


 しかし、それでもなおキイラムは頭を下げ続けたのでお互い和解することに。手土産の高級シュークリームを見た瞬間にはミーシャちゃんの頭からキイラムは消えていた。


 『やっぱ妹と似ている……』とシュークリームをぱくつくミーシャちゃんを見てキイラムがヤバそげな目つきでつぶやいていたけど、こいつ、マジで要注意して見張っておいた方がいいかもしれない。さすがにガチ犯罪者はノーセンキュー。


 で、なんやかんやで夕飯食って風呂入って今に至る。キイラムのインパクトが強すぎて他の事がよく思い出せない。できればもう二度と関わり合いになりたくないものだ。


 ギルはすこやかに耳障りなイビキをかいている。特に入れるものが見当たらなかったので、勿体ないけど水の友陣砂を鼻に詰め込んだ。いさなみすやお。

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