119日目 まどろみのセンセイ
119日目
安定の異常魔力波。信頼のトイレ。ヘンな悲鳴(?)が聞こえたけど、まぁ大丈夫だろう。
昨日が遅かったからか、起床はちょっと遅め。普段なら授業に行っているくらいの時間に起きる。謎の優越感と解放感がクセになりそう。毎日休日ならいいのに。
朝食はゆったりとコーヒーを楽しむ。ロザリィちゃんたちもこのくらいに起きてきて、互いに昨日はお疲れ様と労いあった。
なお、俺はコーヒーはブラックでもなんでもいけるタイプ。その時々によってミルクを入れたりシュガーを入れたりする。分量も気分しだい。
ミーシャちゃんはミルクとシュガーをドバっと入れていた。アルテアちゃんはシュガーもミルクも控えめ。パレッタちゃんはよく冷えたミルクのみ。ロザリィちゃんはシュガーマシマシのあったかミルクをちょびっと。みんなの密かなこだわりを感じる。
ギル? あいつはたぶん口に入ればなんでもいける。せっかく俺が作ってやったコーヒーもジャガイモと一緒に『うめえうめえ!』って流し込んでいた。コーヒーとジャガイモってそんなに合うか?
なんとなくゆったりしたい気分だったので、午前中は外で日向ぼっこをする……も、日差しが強すぎたので早々に退散。なんか悔しかったので意味もなくクラスルームの浮遊魔法陣の上でぷかぷか浮いておいた。
途中で暇そうにしていたマルヤキとグリルも参加する。どうやら飛ぶ練習をしているっぽい。ケツを振りまくりながら翼をパタパタとさせていた。あまりの活きの良さに思わず羽を毟って丸揚げにしたくなる衝動が沸き起こる。
午後もダラダラとロッキングチェアに揺られる。今日もクラスルームには人がほとんどいない。みんな出掛けるかひきこもっているかだ。このままズルズルと堕落していく感じがなんとも背徳的で、デンジャラスな楽しさを覚える。
で、いつぞやと同じくいつのまにか寝ちゃったっぽい。目覚めたらタオルケットがかけられていた。覚えのある女の子の甘いにおい。そして左手に感じるあったかくて柔らかい何か。
ふと顔を動かしたら、『すぴー……っ』ってお昼寝しているステラ先生がいた。しかも私服。超可愛い寝顔に心臓ドッキドキ。
どうやらいつぞやのロザリィちゃんと同じく、俺が昼寝をしているのを見てタオルケットをかけてくれたらしい。で、同じように別のロッキングチェアを持ってきて、そのまま隣で寝てしまったようだ。ちゃんと手をつないでくれているところに、ものすごい母性を感じて泣きそうになった。
最近気づいたけど、俺、母性の強い人が好みなのかもしれない。よく考えてみりゃ年下とかにはあんま興味ないし。もちろんおばちゃんレベルはノーセンキューだけど。
あまりの事態に思わず叫びそうになったけど、先生が結構疲れているらしかったのでそのままゆったりと揺られる。夜更かしが続いているのか、若干お肌が荒れ気味。お疲れ様です。
夕方近くになってステラ先生が目覚める。しっかりと手をつないでいたことを聞いたら、超まっかになりながら『お、お昼寝するときはいつもピアナ先生と手をつないていたからクセがついちゃってるの!』と弁明していた。そんな様子がマジプリティ。別に恥ずかしがることなんてないのに。
あと、ロザリィちゃんが『ぷーっ!』って頬を膨らませていたのが超可愛かった。なんであんなにロザリィちゃんは可愛いんだろう? ジオルドには早く例のロッキングチェアを完成させてもらいたいものだ。
とりあえず、ステラ先生にはハゲプリンのセットとアルテアスペシャル美容液をプレゼントしておいた。めちゃくちゃ喜んでくれて俺もハッピー。あとちょっとで成績処理が終わるんだって。『これで乗り切るぞっ!』って気合入れてた。
ステラ先生がちょっとヨダレを垂らしていたことは、俺の心の奥底にしまっておこうと思う。ちゃんとバレないようにふき取っておいたから、先生の名誉は保たれるはずだ。
あのハンカチをそのまま洗濯に出した俺を誰か褒めてほしい。今更になってちょっと後悔してきた。
今日も元気に野山を駆けまわっていたらしいギルは大きなイビキをかいている。微妙に悔しい気分なので、なぜかポケットに入っていたコーヒー用のシュガーを鼻に詰めておいた。おやすみみずく。




