117日目 激おこラフォイドル
117日目
ギルの脇から月光が。常識が恋しい。
朝食を食べていたら、久しぶりにアエルノチュッチュのラフォイドルが絡んできた。『てめえらの仕業だろうがコラァ! 調べはついているんだぞコラァ!』とマジで激おこ。怒りっぽい人っていやだよね。
で、何をそんなに怒っているのかと聞くと、後頭部のたんこぶを見せつけられた。なんでも、昨日ラフォイドルが訓練をしていたら、突如空から謎の物体が飛来し、ヤツの頭に直撃したらしい。
最初は魔物かなにかが石を投げたのだと思ったらしいけど、明らかにその石は普通の物体じゃない。なんらかの魔法要素がふんだんに練りこまれている。
不審に思ったラフォイドルは分析室でそれを調べるも、特定には至らず。しかし、ここ最近の未知物体(判定不可能)のデータベース履歴を照合すると数多くの成分が一致することが発覚。つまり、『この学校で最近ちょくちょく出現する未知物体』ってのがわかったそうだ。
で、何故か俺たちのところに来たらしい。そんな危ない未知物体なんて俺たちが知るはずもないのに。
『俺たちは朝風呂を楽しんでいた。普通に考えて、どうやったらそこの窓からこいつを投げて朝練しているお前にあてることができるんだ?』って聞いたら、『どうして被害にあった時間が朝風呂の時間だと思ったんだ?』と返される。
『お前が訓練していた場所まで投げるのは無理だろ?』と返すも、『常識が通じない奴がそこにいるだろ?』と徹底抗戦の構え。ちょっと何言っているのかよくわからない。
もうどうしようもなさそうだったので、あいつが口を開いた瞬間にルマルマキャンディをぶち込んでその場を後にした。優しい俺は怒りっぽいアイツにミルクプリンを出すようにおばちゃんに頼んでおいた。
後で知ったけど、あのあとラフォイドルは普通にミルクプリンを食べて、なぜか体中からミルクスメルを発するようになったそうな。ルマルマキャンディってすげーな。
そのあとは月光を脇から放つギルを連れて栽培スペースに。出所にさえ目を瞑ればなかなかの月光なので、いい機会だから全体にくまなく浴びせておいた。みるみる色鮮やかになっていく魔法植物に恐怖を覚える。
ギルの野郎、華麗なポージングで脇を見せびらかして月光を当てていた。絵面が地獄すぎる。俺がフィルラドなら吹きだしていたことだろう。
午後は各種薬品の調合に入る。コケウスをベースとしたいつものやつをメインに、風邪薬、鎮痛剤、毒消し、さらにはナイトイーグルの秘薬まで作ってみた。
これ、夜でも遠くまで物が見渡せるようになるっていう優れもの。夜間活動には欠かせない。塗り薬形式だからちょっとべたつくのが難点と言えば難点。
材料そのものはいつもと大して変わらないんだけど、手間と時間がかかるからこういうときでもないと作れないんだよね。煎じた薬草を超圧縮するのだってギルがいないと超面倒だし。
大量にできた薬品類は半分をクラス財産に、半分を学生課にもっていって金にする。それなりにまとまった金額でウハウハ。二割をクラス資金にぶち込み、残り四割を俺の懐に、三割を親友銀行に、一割をギルに手渡しした。
『これで揚げ芋買おうぜ!』とまた無駄遣いしそうな感じだったけど、たまには小遣いもちゃんとやらないとね。なんだかんだで貯金っていう目的は果たせているわけだし。
で、夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。今日は雑談の時にロザリィちゃんとボードゲームが出来た。ゲーム上とはいえ、ロザリィちゃんと夫婦になれて超ハッピー。『末永くよろしくお願いします!』って笑ってくれたロザリィちゃんがマジプリティだった。
ギルは大きなイビキをかいて寝ている。こいつの寝つきの良さだけは尊敬するべきだと俺は思う。ビンの底に余ったナイトイーグルの秘薬を鼻の穴に垂らしておいた。おやすみなさい。




