110日目 魔法演算学:前期期末テスト
110日目
強烈な浄化作用を持つはずのファイアスウィープが逆に浄化されてしまっていた。一周回ってすべてがどうでもよくなってきた。
食堂にてプリティロザリィちゃんのスウィートカフェオレをエレガントに楽しんでいたら、ゼクト他ティキータ・ティキータの連中と遭遇した。たまにはクラス交流も悪くないと思い軽い気持ちで同じ机に誘ったんだけど、それが間違いだった。
あの野郎、『俺たちにもご利益くれよ!』とかいって俺の頭をワシャワシャしてきやがった。しかも、こともあろうにティキータの男子連中みんなが群がってくる始末。
なんとも悍ましいことに、『ルマルマ組長の頭を撫でるとテストがうまくいく』というジンクスが出回っているらしい。魔系のくせにジンクスを信じるとか、マジでこいつらどうなってやがる。
せっかくきっちり決めたセットがぐしゃぐしゃになって腹が立ったので、俺の頭を撫でた男子全員のローブにジャガイモを投げ入れてやった。次の瞬間に悲鳴のオーケストラが響き渡る。ギルが『うめえうめえ!』って言いながら連中の身ぐるみを力づくで剥いでジャガイモ食っていた。
さすが組長と言うべきか、ゼクトだけは付加魔法を自身にかけてギルに抵抗したんだけど、ギルの本物の筋肉には勝てず上半身を剥かれていた。『もうお婿にいけない……』って死んだ魚人みたいな目をしてたけど俺の知ったこっちゃない。俺の頭をポンポンしていいのはロザリィちゃんとステラ先生とその他可愛い女の子だけだ。
今日のテストは魔法演算学。『今日もいい点とるからねっ!』って笑いかけてくれたロザリィちゃんがマジプリティでした。
内容は積構が中心。前半が簡単な計算問題で後半に二つの大問。ぶっちゃけ問題構成は前回とほぼ一緒。うちの先生たち、みんな手抜きしてるんじゃね?
やっぱり時間を大幅に余らせたので、前回と同じくペンをターンッ! ってやって解答用紙をトントンしまくった。さらに、このトントンのリズムでいつぞやのビートラッパーのビートを刻んでみたりもした。俺、すっげぇ芸術的じゃね?
ただ、やりすぎたのか斜め後方に座っていたはずのパレッタちゃんに思いっきり椅子を蹴られた。『ハゲ散らかすぞ』となかなか恐ろしい呪文も唱えられてしまう。ポポルも一緒にビクって震えていたのを俺は見逃さない。
テスト後、クーラスとジオルドとアルテアちゃんからケツビンタを食らった。おまけにミーシャちゃんはギルの使用済み靴下を俺の顔面に押し付けてきた。
さすがに気絶しそうになる。たぶん、ギルと闘った時よりも身体的ダメージは大きかった。
厳重に抗議したら、『お前のローブにジャガイモ入れてやろうか?』『ケツビンタで済ませただけありがたいと思え』、『ステラ先生に言いつけるぞ』、『靴下よりもパンツのほうが良かったの?』と散々に言われる。みんな目がガチすぎてチビりそうになった。
ちょっと思ったんだけど、最近みんな俺に対してひどくない? 俺がいったいなにをやったってんだ。
なお、ミーシャちゃんはギルの靴下をこないだ譲り受けたらしい。『身近にあれほど強力な魔法兵器があるとは思わなかった』としみじみと呟いていた。普段は厳重な魔導封印を施してあるそうだ。
で、夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。ステラ先生のテスト内容が全く持って不明だから、雑談中は打ち上げの話をした。ハゲプリンの在庫が思った以上に減っていたので近いうちにたくさん作っておいた方がいいかもしれない。
今日もギルは大きなイビキをかいている。ちょっともったいないけど太陽の目玉を鼻に詰め込んだ。おやすミートボール。




