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11日目 触媒反応学:魔法陣の基礎パラメータ計算

11日目


 オステルが特異反応を示して危険だったので、窓から全力で投げ捨てた。


 朝食は無難にトーストとスクランブルエッグ。今日もなかなかおいしい……のはよかったんだけど、なんか先生方がすっごくドタバタして食堂を通り抜けて行ったから落ち着いて食べることができなかった。真面目な表情の先生方って初めて見た気がする。しかも影の薄い校長までチラッと見えた。


 不思議そうに首をかしげるロザリィちゃんがマジキュート。だがギル、てめえがロザリィちゃんの真似しても気持ち悪いだけだ。


 さて、今日は触媒反応学。課題を教卓に出して待ってたんだけど、ヨキの野郎が遅刻しやがった。悪口の一言でも言ってやろうと身構えてたら、なんかローブがしわくちゃで、疲れ切った表情で教室に入ってきてびっくりした。


 なにがあったのかわからんけどなにかがあったのは間違いない。ヨキのヤツ、『妻がなかなか解放してくれなくてな……今もラブラブでうれしいけど困りますわ』って言ってたけど、絶対嘘だ。何か隠してた。いつもの嫌味っぽいかんじがないし、表情がヤバかった。バンシーもびっくりな顔ってああいうのを言うんだな。


 でも、優しい俺たちは奴の意思をくみ取って猛抗議してあげた。おかげで今日は課題がなかった。ひゃっほう。


 肝心の授業内容は触媒としての魔法陣の魔法演算による耐久力などの計算だった。『内魔変係数ドラウ、魔法陣面積シーグ、魔深リンセが与えられた魔法陣が負荷魔力ノルンを受けるとき、魔応力ユリス、侵量テラー、魔歪ミドを求めよ』って問題。


 ドウラとかシーグってのはそれぞれのパラメータを示す記号らしい。ここに書くのは面倒くさいからそのまま書いているけど。いちいち内魔変係数とか書くのは大変だしね。


 ドラウとかの数値は与えられていて、残りの三つを計算で求めるだけだから楽と言えば楽。手計算だと面倒だけど演算魔法触媒を使えばパパッと終わる。あれ、操作に慣れるまで時間がかかるのが難点だ。以下に簡単な答えを書いておく。



 魔応力の定義から


 魔応力=魔力/魔法陣面積

 

 タームの法則から上式と魔歪=浸量/魔深を用いると


 魔力/魔法陣面積=内魔変係数*(浸量/魔深)


 ∴浸量=(魔力*魔深)/(魔法陣面積*内魔変係数)


 求めた浸量を用いて魔歪の定義から

 

 魔歪=浸量/魔深



 まだまだ単純な計算問題だから楽だけど、この式の構築ができないやつがチラホラ。計算ができないんじゃなくてどうやって解を求めていくのかがわからないっぽい。覚えたてではあるし、いずれ慣れればゴブリンの尻を蹴り上げるよりも楽になるだろうと思う。


 なぜか授業は早めに終わった。で、ヨキが『今日は外に一歩も出るな』って言い残してさっさと帰ってしまった。言われるまでもなく自由時間は図書室で過ごし、夕飯食って風呂入ってクラスルームでみんなと雑談してた。


 そしたらなんと! 寝間着姿のステラ先生がやってきた! ひゃっほう。


 なんでも今朝早くにルマルマ寮の近くで最上級指定危険物の反応があったらしい。すぐに掻き消えたそうだけどかなりヤバめの劇物だったらしく、魔法残滓の処理でさえ教師全員が総出で当たらねばならないほどだったそうだ。


 なにか知っている人がいたら教えてくれってのと、外に出るときは十分に気を付けろって話だった。ロリボディと可愛いパジャマ、そしてその上からでもわかる圧倒的な柔らかさに目の前がくらくらした。すっげえ可愛くってこのときばかりはロザリィちゃんよりもステラ先生に釘付けになってしまった。


 ボードゲームに誘ったら三回だけ付き合ってくれた。ステラ先生マジいい人。


 それにしても劇物を放置するなんて悪いやつもいるもんだ。ルマルマ寮は俺が守らないと。


 とりあえず、イビキのうるさいギルの鼻に特殊栄養剤、カミシノの破片、コケウスの濃縮液、そして何故かたまたま手元にあったオステル魔鉱石を突っ込んでおく。


 どう反応するか楽しみだ。早く明日にならないかな。

20150705 誤字修正

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