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109日目 触媒反応学:前期期末テスト

109日目


 まさかギルに起こされることになるとは。かつてない異常事態に不安を隠せない。


 どうやらギル、今日は調子がすこぶる良いらしい。俺の起床時間よりも早く起きて、身だしなみを完璧に整えたうえで優しく俺を起こしてくれた。一体ギルに何があったというのか。これ、今までで一番ヤバいパターンじゃね?


 朝食はシリアルをチョイス。テスト期間だからか、ミルクがあまりがちだったので贅沢に使ってやった。


 なお、ギルは今日もジャガイモを『うめえうめえ!』ってムシャムシャしてた。ここ最近、ギルとヒナたちくらいしかジャガイモを食べている姿を見ていない気がする。


 そうそう、食後にロザリィちゃんが超プリティな笑顔でカフェオレを作ってくれた。俺、ロザリィちゃんのカフェオレがめっちゃ好きだ。冗談とかじゃなくて、なんかすっげぇ俺好みの味なんだよね。もちろんデリシャスすぎてお礼の言葉を言うのがやっとだった。


 カフェオレを飲み終わった後、『今日もご利益ありますよーに!』って頭をポンポンしてくれてもう幸せいっぱいで気絶しそうだった。なんであの子はあんなにかわいいの? 俺、ロザリィちゃんの為ならドラゴンの卵だって盗んで見せる。


 『マジで俺にもご利益くれよ……』と死にそうな顔のフィルラドに頭をポンポンされなければ最高の気分だった。ヒナたちも執拗に頭を突いてくるから始末に負えない。『まとめて丸焼きにするぞ』って言ったらポポルの腹巻に逃げていきやがった。


 今日は触媒反応学のテスト。『悪あがきはやめて腹くくれや~♪』とか言ってくるヨキが非常にうざったい。そしてやっぱり問題用紙が驚きの白さ。マジで水虫の呪いをかけようかと思った。


 内容は教科書の章末問題のアレンジがメイン。最初のほうはサービス問題で、それを全部解いたら四割いくかどうかってところ。ご丁寧にも傾斜型や分布が存在する問題ばかりで計算がめっちゃ面倒だった。


 ヨキは今回も独り言で『着眼点を裂界方向に作用させすぎやで』とか、『求めたいものを見極めれば、いらないものが見えてくるはずなんだよなぁ』とかヒントをくれた。オッサンの遠回しなツンデレとか、誰も望んでないってーの。


 そうそう、ヨキの野郎は誰かに絡みながらも俺とギルをずっと観察していたけど、完璧な調整を施した筋肉の秘密をとうとう見抜くことができなかった。


 今のギルの筋肉は俺の体の動きで生じた空気の動きを感知し、そこから逆解析で動きをトレースしているから、俺が同じ教室にいる限り目をつぶっていても問題が解けるんだよね。


 もちろん、前回と同じ失敗をしないよう、筋肉に最初にゼロ点調整(オフセット)を施すように教え込んである。成績の通達が超楽しみ。


 テスト後、やっぱりクーラスと答え合わせ……をしていたら、隣で聞いていたフィルラドが『……俺と同じだ!?』って驚いていた。ロザリィちゃんもポポルも前回よりはるかに出来が良かったらしい。満点三人は確定として、今回は平均点がすごいことになりそう。


 夕飯食って風呂入って雑談しがてら勉強して今に至る。ふと思ったけど、フィルラドの出来が良かったのってロザリィちゃんのおまじないのおかげだろうか。だとしたら、なぜ俺の頭を撫でただけで学力が上がったのか。


 安らかに大きなイビキをかくギルを見て、嫌な予感がした。


 まさか、俺自身にギル要素が浸食しているんじゃないよな?


 ギルに常識が通じないだけに、否定できないのがマジで怖い。とりあえず、俺の耳、そしてギルの鼻にファイアスウィープをこれでもかと詰め込み、精神沈静と浸食除去のためファイアスウィープをメインとしたお香(虫よけのつもりで作った)をありったけ部屋に焚いておいた。


 無事に明日が来ますように。グッナイ。

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