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108日目 基礎魔法概論:前期期末テスト

108日目


 ギルが王者の風格を放っている。これはもしかするともしかするかもしれない。


 やたら偉そうに歩くギルを伴い食堂へ。入った瞬間、そのあまりのオーラに全員が偉い人の話を聞く体勢に入った。条件反射って怖い。


 なお、王者の風格を纏っていようとギルは『うめえであるぞ! うめえであるぞ!』と安っぽいふかし芋を両手でガツガツと貪っていた。やっぱ頭の中身がひどく残念だ。


 食後のわずかなひと時、ロザリィちゃんが俺の頭をポンポンしてくれて朝から鼻血が出そうになった。いきなりの大胆すぎる行動に超ドキドキしながら『どうしたの?』って聞いたら、『なんかご利益がありそうだからやってみたの!』とステキな笑顔。


 その後、ポポルとパレッタちゃんに執拗に頭を引っぱたかれた。魔系のくせにジンクスを信じるんじゃねえ。あ、ロザリィちゃんは可。ロマンチックな女の子ってステキだよね。


 期末一発目はシューン先生の基礎魔法概論。みんな最後の悪あがきとしてノートを見ていたら、テスト直前になって『教科書、参考書以外の手書きのメモ類の持ち込みを可とする』って宣言してくれた。


 突然の祝福にクラス中が盛り上がる。シューン先生は『努力したのなら、メモを見ようが見まいが大して変わらないからな!』って言ってた。魔力ルーチンでノートをコピーしてたやつは慟哭を挙げていた。


 内容は裂造のメリットとか蝕造の特徴とかそんなかんじ。単語の穴埋めはほとんどなくて、説明タイプの記述問題とか、あるシチュエーションを与えられたとき、どう解決すべきか解答せよってやつばかり。ぶっちゃけ前回と問題文が変わっただけに近い。


 解答欄が驚きの白さで焦るも、なんとか書ききることには成功した。なお、本人の意思とは無関係に動くギルの筋肉をシューン先生は魔道具で計測していたけど、満足する成果は得られなかったっぽい。


 『魔力的性質がないのに魔力傾向が強いってどうなってんだこれ……?』ってずっとブツブツつぶやいていたので、チャンスとばかりにローブを引っ張ったけど、やっぱり抜けなかった。


 テスト後、特に約束したわけでもないのにクーラスが答え合わせを要求してきたので受けて立つ。やっぱり普通の問題は答えがほぼ一緒。


 で、運命の分かれ道となるサービス問題は『先生がルマルマ寮のロフトのために刻んだ魔法陣の形式を答えよ』ってのと、『先生ならもっと上手にやれた、その昔上級生が無断で作ろうとしてゲンコツを食らったものは何か?』の二つだった。


 クーラスは魔法陣形式はわかったけど、地下賭博場はわからず盛大な舌打ちをしていた。もちろん、日記をつけている俺に死角はない。


 『休日に訪ねてきた先生をないがしろにするからだ。素直になれよ、オークちゃん?』とふざけてあげたら、『俺にもご利益よこせコラァ!』ってぶん殴られた。理不尽な人って超怖い。


 ちなみに、ポポルとパレッタちゃんは超笑顔だった。なんか全部スラスラ解けて、見直しの時間も十分取れたらしい。二人とも八割は固いとのこと。ロザリィちゃんも『すっごくよくできた! ご利益が効いたよ!』ってうれしそうだった。


 さて、明日もテストだから日記はこの辺にしておこう。筋肉を酷使したギルは大きなイビキをかいている。労いの意を込めてすり潰したギル・ポテトを鼻に詰めた。おやすみ。

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