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106日目 手紙とテスト勉強

106日目


 ギルが丸まって寝ていた。それだけなの?


 ギルを叩き起こし食堂へ。やっぱり休日だからか人が少ない。テスト勉強に向けて気合を入れるために、カツ丼なる縁起物を食す。朝からけっこう重かったけど、卵の甘みと肉の重圧感がマジ最高。でも、ライスがべしゃってなってしまうのがちょっといただけない。味はいいけど、食感がなんか違う。


 ギルはいつも通りジャガイモ……なんだけど、今日のジャガイモはいつもよりちょっとお高いやつだっておばちゃんが言ってた。あいつ、普通に『うめえうめえ!』って喰ってたから気づいていないと思う。


 クラスルームにて、ギルの筋肉と男連中に勉強を教えていたら、私服姿のステラ先生がやってきた。ひゃっほう。


 どうしたのかと尋ねたところ『キミにお手紙だよ!』とのこと。ステラ先生からのラブレターだと思ってすっげぇドキドキしたのに、マデラさんからだった。


 内容は長期休暇は好きなように過ごしていいというものだった。人も何とか足りているし、やりたいことがあるなら遠慮せずにそっちを優先しろとのこと。ただし、絶対に危険なまねはするなってのと、人様に迷惑かけるなって書いてあった。


 『ちったぁマシな面構えになっていると期待している。もし遊びほうけていたとしたら……わかっているな?』って文章を見た瞬間、あの地獄のような日々がフラッシュバックし、ぶるぶると震えてしまった。


 『だ、大丈夫?』ってステラ先生が心配してくれたんだけど、それでも震えは止まらない。ギルが『ジャガイモ食べれば万事解決!』とか言って口にジャガイモを詰め込んでこなければ、そのまま気絶していたかもしれない。手紙越しにあの迫力はヤバすぎる。


 成績は保護者の下にも送られるからごまかしは一切効かない。ちょっとこれはガチにならないといけないかもしれない。


 そうそう、随分長い手紙だなと思ったら、あっちでの近況のほかに件のレシピも付いていた。どうやらマデラさん、俺の拙い説明だけで見事にあれを再現したらしい。『情報料としてレシピはくれてやる』って書いてあった。しかも、アレンジや全く別の料理のレシピまでついている。超ラッキー。


 テッドたちからの手紙も同封されていたけど、どうせ大したこと書いてないだろうから、読まずにトイレに流しておいた。あいつらの悪戯の手紙を開けて呪われたことを、俺は絶対に忘れない。


 午後はロザリィちゃんに勉強を教える。『が、がんばります!』って両手をぐってするところがマジキュート。夕方まで至福のひと時を過ごせた。


 今日はずっと勉強していたからか、書くことが少ない。ギルの筋肉の習熟度はまずまず。応用性がイマイチだけど、十分に実戦に投入できるレベル。明日でしっかり調整をしようと思う。


 そうそう、勉強中に聞いたんだけど、ロザリィちゃんたちも長期休暇中はここに残るんだって。詳しい数字は分からないけど、だいたいどのクラスも七割以上は残るんだとか。帰るのは近場の人くらいで、それもちょくちょく学校に顔を出すから本当の意味で会えなくなる人ってのは意外と少ないらしい。


 もうちょっとだけ頑張ってから寝よう。イビキのうるさいギルの鼻にはサイレントシープの綿毛を詰めた。これはちょっと期待できる……かも?

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