105日目 魔法生物学:期末テストについて
105日目
ギルのまつ毛が剛毛に。触ってみたらチクチクした。
今日は無難に目玉焼きとトーストをチョイス。白身はグリルとマルヤキに与えておいた。『なんて残酷なことを……』とクーラスに言われたけど、あいつらも普通にバクバク食ってたから問題ないと思う。
ギルはいつも通り蒸かし芋を『うめえうめえ!』って喰ってた。この三か月ちょいだけで、ギルが食べたと推定されるジャガイモの量は去年一年間で食べられたジャガイモの総量に匹敵するらしい。
『食欲旺盛なのはいいんだけど、たかだか蒸かし芋をあんなにもおいしそうに食べるのをみると、なんか涙が出てくるんだよね……』っておばちゃんが言ってた。
授業はグレイベル先生、ピアナ先生の魔法生物学。妙に疲れた顔をしていると思ったら、昨日からずっと例の禁晶蜘蛛の餌探しをしているらしい。シキラ先生から『なるべく長く生かしておきたいから頼みますよ!』って言われちゃったそうな。
『俺たちも触媒とか融通してもらっているから無下にできない』ってグレイベル先生が言ってた。なんか、互いに材料を融通しあっていてそれなりに付き合いが深いんだって。シキラ先生、この業界で妙に顔が広いらしく、無口なグレイベル先生に変わっていろいろ駆け回ってくれたりもしてくれるとか。
内容は次回のテストについて。さすがに期末もテストしないってわけにはいかないらしい。筆記やレポート課題で点数をつけることも出来なくはないらしいけど、先生たちは『机上の知識よりも、現場の実態のほうが重要な時もあるからね!』との方針から実技(と今までの授業態度)で点数をつけるとか。
内容そのものはそうたいしたことないらしく、今までの範囲をきちんと復習していれば問題ないっぽい。やることがイマイチ想定できない分、ギルに教えるのがなかなか難しくなりそう。
魔物との実戦ならともかく、植物系の実技が来たらまず間違いなくギルは詰む。なんとかいい方法を考えておきたい。
授業後、グレイベル先生、ピアナ先生を俺の栽培スペースに誘い、ギル・ポテトの特異な生態を見せつける。ミーシャちゃんのリボンもそうだけど、明らかな異常性を示すギル・ポテトに先生たちは『……見なかったことにしよう』って無表情のまま収穫を始めた。
『例のクモの餌にはこれがぴったりですよ』と伝えたら、『なんでそんなことを知っているのか』と返されたので、『魔系は時に過去の実例を元にした判断を下す必要があります』って答えたら妙に納得された。なんでだろうね?
夕飯食って風呂入って雑談してたら、寝間着姿のステラ先生が遊びに来た。ひゃっほう。
『みんな、よくがんばったねっ!』って、超笑顔で高級な大きいホールケーキをくれた。前期の全ての授業が終わったから、そのお祝い(?)らしい。まだテストが残っているのに、女神過ぎて頭がくらくらした。
で、ジオルドにカットを任せてみんなでわいわいと食べる。もちろんステラ先生も一緒。『おいしーっ!』ってダブルでほっぺを押さえるステラ先生とロザリィちゃんが超可愛かった。
今晩は特別に甘いものを夜遅くでも食べていいことにしたらしく、女子の大半がケーキにがっついていた。でも、俺が本気を出して作ったほうがもうちょいいい感じになりそう。『お手軽な値段で高級ケーキを再現しなさい!』っていうナターシャの無茶ぶりのせいで無駄にケーキ作りの腕があがったんだよね。
せっかくなので、次の打ち上げの時にはサプライズとして大きなケーキを作ろうと思う。誰にも見られないようにこっそりやらないと。材料も集めておかなくちゃ。
テストが近いと言うのにギルは大きなイビキをかいている。畑で捕まえたダンゴムシを鼻に詰めた。もうちょっと勉強してから寝ようっと。
20150815 誤字修正




