101日目 基礎魔法概論:テスト対策自習
101日目
なんで俺は廊下で寝ていたんだろう?
慌てて飛び起き、日記に一行だけ書いて(上のヤツ)ギルを叩き起こ……そうとしたんだけど、ギルがいない。ローブは残ってたけど、あいつ暑くなってきてから半裸であることが多いからあてにならない。よく考えてみれば、入学当初から半裸であることが多かった。
杖も残ってたんだけど、代わりに靴べらがなくなっていたのでもう部屋を後にしていることが分かった。あいつ未だに杖と靴べら間違えるんだよね。靴もなかったからほぼ確定。
薄情なヤツと思いつつ食堂へ言ったら、驚きの事実が判明する。なんと、食堂にも誰もいない。いや、正確に言えば生徒がいない。さすがにあせる。
せっかくなので王様気分でロイヤルモーニングコースを頼み、エレガントなモーニングを楽しんだ。誰もいない静かな食堂ってマジ最高。できればロザリィちゃんと二人きりでイチャイチャしながら朝食を楽しみたかった。
食器を返しがてらおばちゃんになぜ人がいないのか聞いたら、『……授業時間だからだろう?』って真顔で返されてマジびっくり仰天。言われてみれば校舎全体が静かすぎるし、お日様がけっこー高い位置にある。
俺、生まれて初めて寝坊した。
急いでも遅刻確定なのでゆったりとマンドラゴラステップを踏みながら教室へと向かう。遅刻&おふざけによる背徳感が凄まじくてクセになりそう。すっげぇ解放感でテンションが凄まじいことになった。
授業はシューン先生の基礎魔法概論。なるようになれと思いながら教室に入ったんだけど、『おーう、おつかれー』の一言で特にお咎めなしだった。渾身の荒ぶるドリアードのポーズをスルーされたのが超悲しい。でも、くすって笑ったロザリィちゃんの顔がマジプリティでした。
なんか、廊下で俺があまりにも安らかな表情で寝ているものだから、みんな起こすに起こせなかったらしい。クーラスが『お前とは思えないくらいあどけなく安心しきった表情だった』、アルテアちゃんが『母の腕に抱かれた赤子のようで起こすのに罪悪感を感じた』、ロザリィちゃんが『すっごく可愛い寝顔でぎゅーってしたくなった!』って言ってた。遠慮せずにぎゅってしてくれたらよかったのに。
んで、昨日俺ががんばってたってこともあってステラ先生側からシューン先生に連絡してくれたらしい。『命を助けたんだからそれ相応のごほうびがあってもいいだろ? でも、今回だけだからなー』ってシューン先生は笑ってた。好感度をあげといてよかったと実感する。
なお、内容は今までの総復習。来週から期末テストだから質問ありの自習形式だった。ぶっちゃけ、寝坊が許されたのも自習だったからだろう。
ロザリィちゃんや男連中に勉強を教えつつ授業は終了。一応最後の授業のはずだけど案外あっけないものだった。まぁ、どうせ後期にも似たようなやつやるから本当の意味で最後ってわけじゃないし、シューン先生はちょこちょこ風呂や夕食時に絡んでくるから会う頻度は変わらない。
夕飯食って風呂入って雑談して今に至る。雑談の時、ギルの筋肉に中間以降の基礎魔法概論のノートの中身を覚えさせておいた。暗記ものは調整が楽でいい。
普段使わない筋肉を使ったからか、ギルはいつも以上に大きなイビキをかいている。手ごろなものが見つからなかったので、部屋の隅で死んでいた蜘蛛の死骸を鼻に詰めた。グッナイ。




