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ウロボロスは廻る

作者: 宮野李奈

 何もない空間を、それは漂っていた。光も音もなく、自分が存在しているのかも危うい。



  ココハ、何処ダ?

  何モナイ 誰モイナイ

  私ハ何ダ? 何ダッタ?

  分カラナイ 分カラナイ 誰カ、教エテ



 突然、光が現れた。光はそれに近付くと、人の形になった。その形が人だというのは、どういう訳かそれにも分かったのだ。形を変えても、光は辺りを照らしていた。

 誰だ? それは疑問に思った。

 すると、光だったものは柔らかく口を開いた。初めて音が聞こえる。

「我は世界だ」

 光は世界と言うらしい。

「世界と言うと……私達が住んでいる世界のことでしょうか?」

 それは声を発した。自分から音が出たことに驚いた。

「お前はもう、世界に住んではいない。現に今、我の外にいて、こうして我と話しているではないか」

 ここは世界ではないらしい。

 そのような場所があるのだろうか。

「では、ここは何処なのでしょう。世界ではないのなら一体」

 それは首を傾げた。ただ、何処からが首なのかはよく分からなかったが。

「ここは世界の外側。我がただ、存在し続ける空間だ」

 世界は淡々と答えた。

 分かるような、分からないような言い方だったが、それは何故かすんなりと理解した。

「では私は何なのでしょう。自分のことが何も分からないのです」

 それはもう一つ質問をした。

 その質問に答える世界の表情は、何処か困っているように見える。いや、悩んでいるのか?

「見たところ、お前は我の中で人間と呼ばれている生き物だったものだ」

 人間とは、今目の前にいる世界の姿をしたもののことだ。しかし、世界の光に照らされた自分の姿形は、それとは似ても似つかない。今の自分は全身が細く、白い鱗に覆われている。

 これは……

「人間でしょうか、この姿は。私はこの姿の生き物を、蛇と呼んでいた気がします」

 そうだ、今の自分の姿は蛇だ。口に出してから理解した。だが何故だろう、尻尾が途中でなくなっている。まるで、鋭い牙で食いちぎられたように。血が流れている様子は無かったが、じっと見ていると痛いような気がした。

 世界は笑って答える。

「お前そのものは、とある人間を構成していたものに過ぎない。だがお前達は全てのものに存在する本質だ。我――世界の中にも無数に存在している」

 そこで世界は一度区切り、改めて口を開いた。

「ウロボロス。我はそう呼んでいる」

「ウロボロス?」

 それが自分なのだろうか。

 聞いたことがあるようなないような、そんな単語だった。

 だから蛇は聞き返した。

「そうだ」

 世界ははっきりと答えた。

「それは何なのでしょうか」

 単語は分かったが、今度は意味が分からず蛇は尋ねた。

「ウロボロスという言葉自体は、人間という生き物が考え出したもので、それは尾を咥えた蛇のことだ。その言葉を作った人間は、あるきっかけで自身の本質の姿を見、それに名前を付けたのだ。これが自分の本質なのだと。そしてそれは真実、世界にある全てに存在する本質だ。ウロボロスを内包することで、全てのものは世界に存在し続けることができる」

 つまり、自分は誰かの本質だったのだ。蛇は理解した。

 しかし、

「存在し続けるとは……どういうことですか?」

 よく分からないこともあった。

 世界は答える。

「つまりはそのウロボロスの輪のように、世界に存在する全てのものは、永遠に自身の生を繰り返しているのだ」

 それが蛇の質問の答えになっているのか、よく分からなかったが、それとは別に今の世界の言葉の中で、蛇には気になる点があった。

「死んだ時は? 私は命には限りがあると聞いています。そこで終わってしまうことはないのでしょうか?」

 一瞬、世界は理解できないというような顔をした。だがすぐに納得がいったようで、「ああ、それは」と言って続けた。

「終わることはない。死を迎えると、その者は自分が生まれた時に戻り、また同じ生を初めから開始する」

 つまり、死は生の終わりではあるが、存在の終わりではないということか。

「ウロボロスはそのサイクルの概念だ。その頭はその者の誕生を意味し、その尾はその者の死を意味する。それを内包している限り、その者の生は永遠に続く」

 成程、ウロボロスとは尾を咥えた蛇のことだから、死は誕生にそのままつながっているのだ。

 初めての知識に考え込む蛇に、

「理解が追い付かないのなら」

と、世界は笑って提案した。

「実際に起きている出来事を教えた方が、分かりやすいだろう。聞くか?」

 蛇は頷いた。その提案は助かる。

「こんな話があるのだ。少々長くなるが、どうせ暇なのだから話してやろう」

 そう言って世界は、蛇に物語を聞かせ始めた。



   ***



これは、人間が作った西暦と言うものに照らし合わせると、一七〇三年に起こる出来事だ。場所は、確か日本と呼ばれている地域だ。



 男が一人、肩を落として街の中を歩いていた。

 男の名は山川三郎。商人の家に生まれた町人だった。彼はある遊女に入れ込んでいた。初めこそ遊びと割り切っていたものの、気が付いたら彼女に本気で惚れていたのだ。そして彼女に会うために金を使い込み、家の金にまで手を出し今は一文無しだった。

 家に帰っても冷たい目を向けられるばかりで安らぎはない。自分を慰めてくれるのは彼女だけだ。そう思うと無性に彼女に会いたくなった。だが、一文無しでは誰も見世には入れてくれないだろう。

「会いたい……でも金が……でも会いたい……」

 男はそう呟きながらとぼとぼと歩いていたが、少しして何かを決意したのか顔を上げると、思いつめた表情で手を握り締めて走り出した。その先には彼女が働いている見世がある。


 暗い部屋で女性が一人、涙を流していた。その涙は女が纏う、豪華な着物の袖を変色させていた。もうすぐしごとの時間だというのに、涙は一向に止まなかった。

 女は遊女で、その名を菊と言った。本来ならばその涙は男を騙すために使われるはずである。しかし彼女は今、ただただ悲しくて泣き続けていた。

 彼女はある男に本気になってしまっていた。今までは本気と言ってもそれは単なる口だけの話で、客を客以上に思ったことはなかった。だが、今回の男はそれで終わらなかったのだ。

 彼はとても一生懸命で、遊び慣れていないのがよく分かる、真っ直ぐな人だった。

 だが彼は、それ程裕福な家の人間ではない。そのため、何度も彼女に会いに来ることで彼は、自分が自由に使える金を全て失い、挙句の果てに家の金にまで手を出したことで、家族から恨まれてしまったのだ。

 最後に会った時、彼はそんな話をしていた。だから君に会いに来ることはもうできない。そう言って彼は泣いていた。彼女も、本気で泣いていた。

 あの日から今日で三日が経つ。それだけの時間が経っても彼女の心は晴れなかった。むしろ、悲しさがより一層強まり、涙が止まらない。

 と、その時、菊のいる部屋の窓が開いた。彼女は驚いてそちらの方を振り向いた。強盗だろうか、それとも誘拐か。

 しかし、窓から入って来たのは彼女が恋い焦がれ、会えるのを待ち望んでいた人間だった。

「菊!」

「三郎様……!」

 そこにいたのは山川三郎だった。

 菊は驚いたが、彼の様子から見つかってはまずいと思い、声を抑えて尋ねた。

「どうしてここに……」

「どうしても会いたかった」

 そう言って三郎は菊に駆け寄り、彼女をきつく抱きしめた。

 二人はしばらくの間、そのまま抱き合っていたが、やがて菊が身じろぎをして言った。

「そろそろ人が来ます」

 その言葉に三郎は頷き、菊を離すと懐から何かの紙を差し出した。そこには簡単な地図が描かれている。

「明日、この場所へ来てくれないか? どうにかして一晩一緒に過ごしたい」

その言葉に菊は涙ぐんだ。

「分かりました。必ず参ります」

 抜け出したことが分かれば菊はただでは済まない。それでも二人の時間が欲しくて、彼女は頷いた。

 そんな彼女に三郎は頷き返し、入って来た時と同じように窓からそっと出て行った。



 次の日の夕方、人気のない建物の陰で、二人は再会していた。前日を除けばここしばらく会っていなかったため、自然とその抱擁も堅くなる。

 だが、そうそうのんびりする訳にもいかない。誰かに見つかってしまえば、この逢瀬も終わりになってしまうのだ。そのため二人は、急いで人の目が全くないところまで行こうと歩き出した。

 その時、

「お前……菊だろ?」

 通りがかった男に呼び止められて、二人は立ち止まった。もう見つかってしまったのだ。できることなら走って逃げたかったが、今からではもう手遅れだろう。

 立ち止まった二人の前に、男は走って回り込んで来た。

 見ると男は、菊のいる見世で働いている者だった。菊はもちろん、三郎も面識のある人物だった。

 二人の目の前に立ち、黙ったままの二人をよそに男は口を開いた。

「お前は確か山川だったな。二人して何処へ行くつもりだ? お出かけの予定なんて俺は聞いてないぞ?」

 言葉だけ見れば質問のようだったが、表情や声も合わせると、それは完全に脅しだった。何処にも生かせるつもりはない、というのが言外に伝わって来る。

 二人は何も言えなかった。

「何だ? 何も言えないってか? なら菊、お前は帰るぞ」

 男は強い口調で言った。そしてそのまま菊の手を引っ張る。

 いつの間にか、見世の若い衆が何人も集まっていた。その内の三人が菊を捕え、引きずって行く。残った者達は、三郎を取り囲んだ。

「よう兄ちゃん。よくもうちの女を連れだしてくれたな」

「ちょっとあっちで話そうぜ」

 そう言って彼らは、三郎を引きずって近くにあった建物の裏へ連れて行った。三郎は抵抗どころか、一言も言葉を発することもできず、ただされるがまま連れられて行った。

 そろそろ日が沈む頃だ。



「もう二度とうちの菊に近付くな」

 散々三郎のことを暴行し、気が済んだのか男達は最後に一言こう告げて、去って行った。

 しばらくの間三郎は動けずにいた。ようやく立ち上がれた時には、既に日も暮れ月が南中していた。満月の今日は、夜でも随分明るかった。

 立ち上がってもしばらく茫然としていた三郎は、やがて月明かりの中、彼女のいる見世の方向へ歩いて行った。近付くなと言われたことは、もう心から抜け落ちていた。

 もう少しで菊のいる見世というところまで来た時、三郎は走って来た誰かにぶつかって尻餅をついた。普段なら多少よろめく程度の衝撃だったが、今日ばかりは体力が持たなかった。

 転んだ彼に手を差し伸べた人物を確認して、三郎は信じられない程驚いた。

 なんとそれは菊だった。

「菊……?」

「三郎様……」

 菊もぶつかった人物が三郎であることに驚いたようで、彼の姿を見て茫然と呟いた。

「お前、何で……? 連れ戻されたんじゃ?」

 確かに菊は、彼の目の前で若い衆に連れて行かれたはずだった。その後で外出など許されるはずがない。

 その疑問に菊は頷いて答える。

「逃げて来ました。折檻の後、もうあなたに会うなって言われて……そんなのは嫌で……」

 彼女も酷い暴力を受けていたようで、時々痛そうに体をさすっていた。

 そして彼女は三郎に縋り付き、泣きながら囁いた。

「お願いです。どうか誰にも邪魔されないところへ連れて行って下さいませ」

 涙する彼女の姿に心を打たれたというのもあっただろうが、それだけでなく三郎自身も菊と同じ気持ちだった。彼も二人きりになりたかったのだ。

 だから、

「分かった。一緒に行こう」

 三郎は、菊の言葉に頷いた。そんな彼の様子に、菊は笑顔を浮かべてまた一筋涙を流した。



 明るい月の下、二人は走っていた。怪我のせいで何度も休みながらではあったが、それでももうすぐ街を抜けられるところまで来ていた。これでやっと逃げ出せる、と二人は喜んだ。

 だが、二人には隠せない不安があった。街を抜けたところで、何処へ行けばいいのかが見当も付かなかったのだ。だが、ぐずぐずしていればその内追手が来てしまうだろう。そうなれば今度こそお仕舞だった。

 菊は悲しげに呟いた。

「私達、これからどこへ行けばいいのかしら」

「行くあても帰るあてもない。それならいっそ二人で、この世とおさらばするか」

 返す三郎の声は、何処か思いつめているようだった。

 その言葉に菊は泣きながら頷いた。声が震える。

「そうですね。今生で一緒になれないのなら、来世に望みを託しましょう」

 そして二人は互いの顔を見て頷き合った。

「一緒に生まれ変わって、今度はずっと一緒にいよう。こんな結末は二度と起こさない」

「はい。今度は何のしがらみもなく会える仲に……」

 菊の呟きを最後に二人は言葉をしまった。ただ、涙だけが流れ続けている。そして三郎は菊の首に手を掛けた。そのまま締め上げると、その内彼女は反応がなくなった。それを確認した三郎は、手ぬぐいを取り出し自分の首に巻き付けると、それを近くにあった木に結び付けぶら下がった。そして少しして、彼もまた動かなくなった。



 次の日の朝、街の門のすぐ近くで男女二人の死体が発見された。現場の様子から、これは最近増えている心中事件であると結論が下されたのだった。




 そして、二十五年後の一七〇三年、男女二人が

「一緒に生まれ変わって、今度はずっと一緒にいよう。こんな結末は二度と起こさない」

「はい。今度は何のしがらみもなく会える仲に……」

 二人は泣いていた。



   ***



「どうだ? 何が起きたのか分かったか?」

 最後まで話し切ると、世界は蛇に尋ねた。

 蛇は頷いて答える。

「ええ。これが世界の仕組みなのですか」

 蛇は今まで、時間とは一直線に流れているものだと思っていた。だが世界からすれば、時間とは流れるものでは無いらしい。

 世界は話を続けた。

「このようなことを言って死を迎えた者は他にも大勢いる。もちろん、誰一人として同じ人生を繰り返さなかった者はいなかったのだが」

 蛇は気になったことを尋ねた。

「もしも違う人生を歩んだら、どうなるのですか?」

「我には分からない。そんな者はいないのだから」

蛇は驚いた。世界なら、全てを知っていそうなものだと思っていたのだ。

だから、彼は純粋な意味で呟いた。

「世界という存在ですら分からないことはあるのですね」

 それを聞いた世界は、当然だと言うように頷いた。

「我は世界にないもののことは分からないのだ。現にお前のことも全く分からないぞ。最初にお前を人間だと言ったのは、ただ単にお前が世界にいる人間のウロボロスと同じ姿をしていたからに過ぎない。ウロボロスの見た目は生き物ごとに少しずつ異なっているからな。だから、お前を知っていた訳ではないのだ」

 蛇は何処か納得して、呟いた。

「そうなのですか」

「ああ」

 蛇の言葉に世界は頷いた。

 そこで蛇は一つ思ったことがあった。それをそのまま口に出す。

「分からないのならば、推測するのはどうでしょう? 知らなくても予想することはできます」

 蛇の言葉に、世界は意表を突かれたという顔をした。

 そして納得がいったように「成程」と呟き、腕を組んだ。

「推測か……」

 「そんなことは思ってもみなかった」と言って世界は目を閉じ、考え込んだ。それに合わせるように、蛇も考え始めた。

 しばらくして、世界は言った。

「おそらく……その者は消えて、存在しなかったことになるのではないか? 我が知らないのだから、存在しているということはまずあり得ない」

 その、世界の考えは、蛇が推測したものと似ていた。

 だから蛇は頷いて同意した。

「私も……そんなような気がします」

 それから二者は、今出した推測をまとめてそれを基に考え込んだ。しばらくの間、沈黙が続く。

 考えれば考える程、様々な可能性が浮かぶ。それも確かめようがないため、永遠に考えが連鎖していく。

やがて世界が、空気を切り替えるように口を開いた。

「そうだ。もう一つ、興味深い話があるのだ。今の話と少しばかり似ているのだが、こちらの人間の生き方は、より面白い」

 特にする事もなかった蛇は、興味を引かれて頷いた。今度は先程のように例え話として、ではなく純粋に内容が気になった。

「是非、聞かせて下さい。何があったのでしょう」

 次の話に期待するように蛇が目を輝かせると、世界は微笑んでその口から再び物語を紡ぎ出した。



***



 あれは、西暦で言うと一九〇〇年の出来事だ。その場所はドイツと呼ばれている。



「この方が、お前が今日からお仕えすることになるヒルデ様だ」

 薄暗い部屋で、三人の人間が顔を合わせていた。ソファに座った女性が一人、その脇に立つ男性が一人、そして女性の前に男性が四一人立っていた。女性が座るソファは、光が少なく細部が見えづらい部屋の中にいても、高級品だとよく分かった。ソファだけではない。この部屋にある調度品全てが、一般人では到底手が出ない高価な品だった。

 女性の脇に立つ男性は、前に立つ男性に仕事の説明を続けている。それを聞く男性の顔は真剣そのものだったが、同じく聞いている女性の方は退屈そうな顔だった。彼女は幼いころからもう何度も、人が変わる度に同じ説明を聞いてきたのだ。

 女性が欠伸をし出した頃、ようやく説明が終わった。

「くれぐれもしっかりお護りするように」

「はっ」

 最後に一言念を押すと、男性は部屋を出て行った。まずは親睦を深めるために、二人で話せということだ。とは言え、部屋の外には見張りの男達が何人も立っているため、完全に二人きりという訳ではないのだが。

 扉が閉まるのを確認すると、女性は座ったまま思い切り体を伸ばし、改めて自己紹介をした。

「初めまして。(わたくし)は先程の紹介の通り、ヒルデ・クライスと申します。貴方は?」

 そう言ってヒルデは柔らかく微笑んだ。

 そんな彼女に、男性は苦笑して答える。彼のことは事前に聞いているはずなのだ。

「一応ご存じと思いますが、私はルイス・エンデと申します」

 そう言ってルイスは深く礼を取った。

 それを見たヒルデは、にっこり笑うと右手を差し出した。

「よろしくお願いしますわ」

「はい」

 ルイスは彼女の手を握った。これで今から自分の仕事が始まったのだ。


 ルイスの仕事は、ヒルデの警護だ。彼女はここドイツでも有名なマフィア、クライスファミリーの首領の一人娘で、常に命を狙われていた。彼の以前に彼女の警護をしていた人間は皆、敵に襲われて命を落としている。警護に携わった人間は、彼で三十三人目だった。

 そんな危険な仕事を彼が選んだのには、訳があった。報酬が良かったからという訳ではない。彼にはもっと重要な任務が課せられていたのだ。

 彼は役人だった。それも、行政に携わる表向きのものではなく、国の治安を乱す者達を取り締まるために彼らの情報を集めることを仕事としていた。そして彼の実績は、他の者よりも大幅に抜きん出ていた。

つまり彼は、若いながらも優秀な諜報員だった。

 そんな彼の今回の任務が、このクライスファミリーの調査だった。そのためにどうやって潜入しようかと考えていた時丁度、ファミリーの令嬢の警護をする者を求めているという話を聞いたのだ。しかもそれは、破格な報酬の割に余程人手が足りないのか、過去の職業や年齢も何も問わないという、彼にとって非常に好都合な条件だった。

 そこで彼はファミリーの人間に接触し、報酬につられたように装ってこの仕事に就きたいと申し出たのだ。その後はとてもあっさりとしていて、簡単な身体能力のテストを受けた後、すぐに彼女の元まで通されたのだった。

 あとは仕事をしながら、彼女やその周辺から情報を引き出せばいいだけだ。

 護衛という仕事上危険は多いが、今回も上手く任務を達成できそうだ、とルイスは心の中だけで思った。



 ヒルデを警護し始めてから十日が経った。今のところ襲撃者は一度も来ていない。しかしその反動なのか、ルイスに入って来る情報もほとんどなかった。

 今日もヒルデが起きる頃、彼女の部屋へと向かう。いつもと違うのが、今日は彼女が珍しく外出するということだった。日常的に命を狙われている彼女は、めったに外出することはない。しかし、偶には彼女も外に出て気分転換をしたいのだ。そんな彼女の気持ちは、周りは痛い程分かっているので、誰もが何としても叶えようとしている。そして今日、久しぶりにそれが叶ったのだった。


「今日は楽しかったですわ。ありがとうルイス」

「いえ、当然のことですから」

 ヒルデの外出は無事終わりそうだった。今日は家から少し離れた街まで買い物に出かけていた。かなりの人数で彼女を警護しているが、彼女の傍にいるのはルイスだけで、他の者は彼女が窮屈に感じないようになるべく離れて周囲の様子を窺っている。

 辺りは夕日に包まれ、一面赤く染まっている。家まではあと少しで、ヒルデが何となく寂しげな顔をしているのをルイスは感じ、何か声をかけようとした。

 だが、その時、


「危ない‼」


 見知らぬ男がナイフを構えてヒルデに襲い掛かろうとした。

 気付いたルイスは、とっさに短く叫び彼女を突き飛ばした。この際礼儀などはどうでも良かった。

 標的を失ったナイフは空を切り、男はバランスを崩した。ルイスはそのまま男の首元を殴った。それで男は気絶したが、敵はそれだけではなかった。

 気が付けば、周りを囲まれていた。

 最初の男は囮だったのだろう。二人を囲む者達は、先程の男とは装備が明らかに異なっていた。

 ルイスは冷静に敵の数を確認する。十七、十八……敵は十九人、そのうち十七人が銃所持。これを一人で相手するのはさすがに骨が折れる。

 一応防弾仕様の服を着ているが、当たる衝撃はなくせないし、何より頭に当たれば一発で終わりだ。

 状況を確認した他の警護の者達がこちらへ駆けて来るのが見える。だが、彼らを待ってはいられない。そんな時間はないのだ。離れていたのが仇になった。

 襲撃者たちが発砲してくる。ルイスはヒルデを庇いつつ弾を避けながら、自身も敵に向かって発砲する。二、三人はそれで倒れたが、照準が定めづらくなかなか数が減らせない。むやみやたらと発砲するわけにはいかなかった。弾切れを起こしても、こちらには入れ替える時間などないのだ。

今できることは……

少し悩んでから、ルイスは動きを止めずにヒルデに話しかけた。

「ヒルデ様、護身用の拳銃はお持ちでしたよね?」

「ええ、ありますわ」

 そう言って彼女は袖口から小さ目の拳銃を取り出した。

「手伝って下さい」

 その言葉で理解したのか、彼女は頷くと庇われながら敵に向かって発砲した。

 流石マフィアの令嬢と言ったところか。彼女の銃の腕はルイスより遥かに上と思われた。これなら自分は、守りに徹することができる。攻守両方はとても困難だが、片方ならそう難しくない。

 ヒルデの弾は確実に敵の数を減らしていく。逆に敵の攻撃は、ルイスがヒルデを連れてかわし、確実に防いでいく。

 敵の数が半数ほどになった頃、ようやく警護の者達が駆け付けた。生き残っていた襲撃者達は、次々に彼らに取り押さえられていく。

 ルイスはほっと息を付いた。これでやっと一安心だ。

 すると、銃をしまったヒルデが彼の名を呼んだ。振り返ると、彼女の満面の笑みがある。

「ありがとう。貴方のおかげで助かりましたわ」

 その言葉にルイスは笑って返す。

「いえ、こちらこそ助かりました。あなた様が手伝って下さらなければ、さすがにやられていました」

 そう言ってルイスは、倒れ伏している襲撃者達を見つめた。彼女に撃たれた者は確実に絶命している。下手をしたら自分達がああなっていただろう。もしも彼女を守れなければ、死刑が確実である。だが彼は、それを考えるまでもなく行動していた。

 彼女が無事で良かった。ルイスは純粋にそう思った。



 襲撃事件からひと月が経った。犯人はやはり敵対するマフィアグループで、こちらを潰そうと仕掛けて来たものだった。

 あの事件以来、ルイスとヒルデの距離は急速に縮まり、今では互いを意識するようになっていた。環境のせいで、今まであまり楽しいことがなかったヒルデは、ルイスと一緒にいるだけでとても楽しい時間を過ごせた。周りも者達は知っていたが何も言わなかった。彼らはヒルデが幸せそうならそれでいいと思っていたのだ。

 だがルイスの方は、純粋に幸せを感じることはできなかった。彼は国の諜報員なのだ。今ここにいるのも、任務のためだった。彼の任務の終わりは彼女達の終わりを示している。裏切れば殺されるため報告を欠かすことはなかったが、ルイスは迷っていた。たとえ任務のためだとしても、彼女の平和を奪いたくはなかった。そして今日も、何もできずに一日が過ぎる。

 しばらくの間は、特に事件もなく平穏な時間が流れた。

 しかし、その終わりはあっけなかった。



 ある日の夜、外出から帰りヒルデを部屋まで送り届けたルイスは、後ろからやって来た男に呼び止められた。振り向くと、五人の男達が並んで立っていた。誰もかれも険しい顔そしている。

 その内の一人が、ルイスに詰め寄り口を開いた。残りは彼の周りを囲む。

「お前、国のスパイなんだってな」

 その一言に、ルイスは顔には出さなかったが驚いた。何処で情報が漏れたのだろう? 自分に落ち度はなかったはずだ。つまり、彼らが調べ上げた結果だろう。

 何とか誤魔化すために、ルイスは初耳だというような顔で聞き返した。

「何のことでしょうか?」

 それを聞いた男達は、いよいよ怒りを露わにした

「とぼけても無駄だ。さあ、こっちに来い!」

 彼らはあっという間にルイスを拘束してしまった。さすがにこの状況で、ルイスに勝ち目はなかった。彼は抵抗もできずに引きずられていく。

 どうやら自分は無終わりらしい。彼は何処か他人事のようにそう思った。



 建物の奥、閉め切られ部屋に、男達の怒声が響く。

「よくも今まで散々騙してくれたな!」

 ドカッ

「あの優しいヒルデ様に近付いたのも仕事か?」

 ドゴッ

「あの方の寂しさに漬け込むなんて、何て奴だ!」

 バキッ

 罵声を浴びせながら男達はルイスに暴行を加えていく。抵抗しようにも、両手両足が縛られているため動けない。更に、舌を噛めないように猿轡を噛まされていた。おかげで弁解も何もすることができない。

 一人がルイスの胸倉を掴む。

「おい、何か言ったらどうなんだ?」

「ははっ、口が塞がれてちゃあ何も言えないか」

 笑いながらの暴行は続いていった。

 しばらくして、ひとしきり殴って気が済んだのか、彼らはルイスから手を離した。一人が口を開く。

「続きはまた明日な。そん時はたっぷりお話聞かせてくれよ。まあ、それまでにくたばってんのかもしれんがな」

 そう言って最後に一度ルイスを蹴り上げると、彼らは部屋を出て行った。外から聞こえる笑い声は段々と小さくなっていった。



 ルイスは痛みに耐えながらじっとしていた。体制を直そうにも、全く動けない。猿轡が外されていたのだけは幸いだった。おかげで呼吸が幾分か楽だ。あの後しばらくして、男の内一人が戻って来て外していったのだ。おそらく、もう自殺でもなんでも自由にしてくれて構わないということなのだろう。はなから情報を引き出すのが目的ではないようだったから。

 完全に失敗だ。もう任務は果たせないだろう。それどころか、生きて帰ることでさえ絶望的だ。

 ふと、誰かの足音が聞こえた。窓のないこの部屋にいては確認ができないが、今は深夜のはずだ。そんな時間にこんなところに来るのは、いったい誰なのだろうか。

 足音は部屋の前で止まった。そしてそこから、予想もしていなかった声がした。

「ルイス? 大丈夫ですか? 今自由にして差し上げますわ」

 声の主はヒルデだった。おそらく隠れてここまで来たのだろう。彼女は誰も連れておらず、一人だった。

 ルイスは驚いて尋ねた。

「ヒルデ様? どうしてここに?」

 既にルイスのことは知っているはずだ。もしや彼女も彼を罵倒しに来たのだろうか。

 しかし、

「助けに来たのです」

 その言葉は信じられないものだった。

「俺のことは聞いているのでは?」

 おそらく、ルイスは任務のためにヒルデに近付いたのだと聞かされているはずだ。先程の男達の様子からして、それは容易に想像できる。自分は騙されていたという思いはないのだろうか。

「そんなこと関係ありませんわ。貴方がそのような人ではないことぐらい、私は知っています」

 そう言いながら、ヒルデは部屋の中に入って来た。彼女はそのままルイスの元へ歩み寄り、彼の拘束を解いていく。

 手を動かしながら、ヒルデは微笑んで言う。

「貴方が私に近付いたのは、おそらく任務のためでしょう。ですが、貴方が私に尽くしてくれたのも、私を好きだと言ってくれたのも、それは事実でしょう?」

 自由になったルイスの手を握り、ヒルデはにっこりと笑った。

 ルイスは彼女の言葉に頷き、立ち上がって呆然と呟いた。未だに実感がわかない。

「ヒルデ……様……」

「もう呼び捨てで結構ですわ」

 優しくそう言うと、ヒルデは部屋の出口の方へ向かった。

「貴方をここから逃がします。付いて着なさい」

「はい」

 痛む体を必死に動かし、ルイスは彼女の後を追った。今は彼女のためにも、怪我など気にしてはいられない。

 二人は静かに走り出した。



 二人は休みなく走り続け、建物を抜けて出口の門のところまで来た。

 だが、門を開こうとヒルデが手を掛けた瞬間、威嚇するような銃声が二人のすぐ後ろから聞こえた。

 振り返ると、大勢の男達が二人の後ろに立っている。

 もう見つかってしまったか。ルイスは完全に諦めを感じていた。

 彼らの内の、一人の男がヒルデに向かって口を開いた。

「こんなところにいらっしゃいましたか。お部屋に姿がなかったようなので、皆心配しておりましたよ。やはりそいつのところへ行っていたのですね」

 どうやらヒルデがいないことが発覚し、大規模に捜索が行われたようだった。彼女がルイスの元へ向かうことも、予想されていたらしい。

 それを聞いてルイスは、こんな状況にも関わらず少し嬉しく思った。

 そんな彼の横から、ヒルデは険しい顔で訴えた。

「彼を見逃して」

 だが、彼らの反応は予想通りだった。

「それはできません。そんなことをすれば我々はお仕舞です。そいつが何者かはお話したでしょう? 処分するしかないんですよ」

 そう言われては、ヒルデは何も言い返せなかった。彼女は彼らのことも大切に思っているのだ。どちらかを選ぶことなどできない。

事実上の死刑宣告にも関わらす、ルイスはさほど取り乱さなかった。そして、まさに今殺されようとしている状況の割に、不思議と怒りや憎しみは湧いてこなかった。ただ、諦めと悲しみが溢れて来る。

 男達が二人に迫って来た。彼らはヒルデを連れ戻すため、彼女を捕えた。

「何をするの⁉ 離しなさい!」

「じっとして下さい。あなた様を傷つけることは許されませんから」

 ヒルデは叫び暴れたが、数と力の差には勝てなかった。彼女はずるずると引きずられていく。

 大分二人の距離が離されるのと同時に、数人の男がルイスを取り押さえた。そして一人が拳銃を取り出し、彼の眉間に当てる。

「嫌! 待って!」

 ヒルデは必死に叫んだ。彼を失いたくなかった。

 その時、

「もういいんだ。もうこれで……」

 ルイスが静かに言った。先程までの敬語は取り払われている。

 彼の言葉を聞いたヒルデは、泣きながら手で顔を覆った。もう、どうにもできないことがひどく悲しかった。

「ごめんなさい。私が貴方と出会っていなければ……貴方はきっとこんな目に遭うこともなかったのに……」

「そんな風に言うな」

「え?」

 ヒルデの謝罪を、ルイスはしっかりとした声で止めた。

 彼は続ける。

「俺はヒルデに会えて良かった。たとえ人生をやり直せたとしても、俺は何度だって同じ道を選ぶ。何度でも出会う。だから……出会わなかったらなんて言うな」

 その言葉に、ヒルデは止まらない涙を拭いながら、精一杯笑って頷き、返す。

「ルイス……私も……私も、貴方が許してくれるのなら、何度だって貴方に出会いますわ」

 それを聞き、ルイスは微笑んで頷いた。

 その瞬間、男の持つ拳銃が火を吹く。

 涙にまみれたヒルデの顔を見たのを最後に、ルイスの意識は途切れた。

 二人が話している間に引き金が引かれなかったのは、同情によるものだったのだろうか。

 動かなくなったルイスを前に、ヒルデはしばらくの間泣き続けていた。



 その後、ヒルデは親が決めた男と結婚し、様々な事件に遭遇しながらも穏やかに一生を終えた。彼女は最期まで、ルイスのことを忘れることはなかった。




 そして二十八年後の一九〇〇年、薄暗い部屋で男女二人が向き合っていた。

 女性は右手を差し出した。

「よろしくお願いしますわ」

「はい」

 二人は笑っている。



   ***



「どうだ? 面白いだろう? この人間は世界の中にいながらまるで、世界の仕組みを知っているように思える」

 世界は愉快だと言うような顔で笑った。

 蛇もそれに同意する。今の話は、先程の話と似ているようで大違いだった。

「ええ。同じような境遇でも、思うことは人によってこんなにも変わるのですね」

 言い終えると蛇は、何処か遠くを見つめた。何かを思い出すように。

「今やっと、分かったことがあります」

 蛇はまるで自分に言い聞かせるように声を発した。

 繰り返す生の話を聞いているうちに、一つだけ思い出すことがあったのだ。

「私は……違う行動を取ってしまったのでした」

 蛇はぽつりと呟いた。

 それを聞いた世界は、信じられないというようではあったが、何処か納得したような顔になり、

「そうだったのか」

 と呟いた。

 蛇は続ける。

「それで私は過去と現在そして未来と言った自分の人生全てを失くし、世界における存在そのものまでも失ってしまったのでした」

 そう話す蛇の顔は、何かを懐かしむように穏やかだった。

「成程、それで世界から消えてしまったのか。我にはもう分からないのだが」

世界の言葉を聞いていたのかいなかったのか、蛇は独り言のように話し続ける。

「だから私の尻尾は途中で噛み千切られているのですね。噛み千切ったのは私でした」

 そこまで言って蛇は、世界の方を向き、微笑んだ。その顔からは、嘆きも後悔も感じられない。

 そこで世界は尋ねた。

「お前はその原因を知っているのか? 我は、我が知ることのできない、世界に内包されていないもののことを知ってみたいのだ。できれば聞かせて欲しい」

 その問いかけに、蛇は頷いた。

 蛇は思い出す。最後に自分が取った行動を。自分が世界から弾き出されてしまった原因を。

「ここに来て、あなたの話を聞いていて分かりました。たった一秒、私はそれまでの人生より行動が遅れてしまったのです」

 最後の人生で起きてしまった、あの出来事。

「私はずっと、二〇二三年三月二〇日の午後二時丁度に死んでいました。しかしあの時だけは……何故か一秒遅れたのです。何故そんなことになったのかは、今でも分かりません。ですがその瞬間、私は世界から消え、気が付いた時にはこの姿でこの場所を漂っていたのです」

「そんなことがあったのか……」

 蛇の説明に世界は驚いて黙り込んだ。僅かでも違う人生を歩んでしまうことがあるというのは信じられなかった。だが今、目の前にその証拠がいるのだ。そうなった者の末路を知ったのも、今が初めてだった。

 成程、違う行動を起こしてしまうと、その時点でその者は自身の生の存在から外れてしまっている。そうなればその者のウロボロスは途切れてしまうだろう。正しい形を失ったウロボロスは、世界に存在できずこのように弾き出されてしまうのだ。

 と、その時、

「私はこれからどうなるのでしょう?」

 蛇が不安げに呟いた。

 世界も頼りなさそうな声で返す。

「我には確かなことなど分からない。ずっとこのままなのかもしれないし、そのうち消えるのかもしれない」

「そうですね。私にも分かりません。これから何をしていけばいいのかも」

世界の言葉に蛇はそう言って返し、うつむいた。自分の正体が分かっても、それが分かる訳ではない。する事など思い付かなかった。

 そんな蛇に、世界は聞いた。

「では……我の話に付き合わないか?」

「え?」

 思わぬ申し出に、蛇は驚いて世界を見上げた。

 世界は笑って続ける。

「先程のような物語ならいくらでもある。誰かに聞かせるというのは、なかなか面白いということに気付いたのだ」

 その言葉に蛇は顔を輝かせた。

「それは面白そうですね。私も聞いてみたいです」

 喜ぶ蛇に、世界は確認を取る。

「全て話せば、とても長くかかるだろうが、問題はなかろう?」

「そうですね。是非お聞かせ下さい」

 蛇の了承に、世界は嬉しそうに頷いた。

 そして世界は咳払いをすると、改まって話し始めた。

「あれは一六〇六年のことだ――」




 それから世界は、様々な話を蛇に語って聞かせていった。

 どれだけ沢山の話を聞いても、蛇が飽きることはなかった。

 生き物達の面白い一生、哀れな一生、愚かしい一生、幸せな一生。何処かしらが似ている話はあっても、全く同じ話はなく、興味は尽きない。

世界の話が尽きる頃、蛇はいつの間にか消えていた。



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