この世界と私の事情
処女作です。よろしくお願いします。
※4月23日、文章追加。
16世紀、魔法大戦と呼ばれるレイシエリル大陸西側で起こった、エンブレフ帝国とその他、ミューラン同盟軍の戦いから約300年。もしくは、エリザベス・ヴィクトリア女王によるアルビオン内乱の平定から約300年。レイシエリル大陸の西の海に浮かぶ島国、アルビオン王国は近代化の一途をたどっていた。
科学が進歩し、まだ広まっているとは言い難いが電気が現れ、汽車も走るようになった。船の動力は石炭である。4半世紀ほど前にあった大戦は科学大戦と呼ばれ、魔法や魔術による戦いよりも、科学の進歩によって生まれた武器で戦争が行われた。例によって、島国のアルビオンはほとんど巻き込まれていないのだが。ただ、この戦争によって魔法がより希薄化したのは間違いないだろう。
現代では、魔術師という存在が珍しかった。科学が進歩し、人々に魔法が必要なくなってきたからだ。科学の出現で魔法が使えなくても豊かな暮らしができるようになった。必要でないものは消えていく。自然の摂理といえよう。「魔術師? なにそれ」の時代が到来した。
時は19世紀。魔法を知らないものが多くなった時代。そんな中で、どうして私は魔術師としての力を生まれ持ってしまったのだろうか。いや、別にいいんだけど……。でも、周囲から物珍しげに見られるのはちょっと反応に困る。
そんな生活にも慣れた16歳の誕生日。私に転機が訪れた。
「リア! 私の騎士になる気はないか?」
「はい?」
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。