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本編 第五話


『………………』


 自分達だは一切歯が立たなかったダビデを、いとも簡単に氷付けにした真希那を見て、英雄達は思わず言葉を失う。

 しかし、真希那はそんな彼らを全く気にせず、小さく一人で呟いた。


「ふーん……。この世界は、魔王と将軍が魔素を生み出しているって設定(・・)なんだ……。じゃあ、その人達だけ倒せば、一件落着ってことかぁ……。じゃあ、早速だけど、登場願おうか」

「なっ!? ちょっと待──」

「召喚♪」


 真希那の言葉を聞いていた英雄は、嫌な予感を感じて真希那を止めようとしたが、それより先に真希那が手に持っていた剣で地面を突く。と、同時に、地面に巨大な魔方陣が展開され、そこから四つの人影が現れた。

 その姿を見たリリアが、思わず叫ぶ。


「魔界三将軍のアモンにシン、グリード! それに、魔王カイザ!?」

「な!? じゃあ、あれが──」

「──魔族の親元(ラスボス)、だねぇ」


 あまりの驚きに途中で途切れた英雄の言葉を、真希那が引き継いで言った。

 そこに、動揺は欠片も無い。

 この世界を戦乱の世に変えた元凶が、目の前にいるのにも関わらずに、だ。

 英雄達──勇者一行は、突然の真希那の行動に困惑している。そしてそれは、英雄達に限ったことではなかった。

 相手側──魔界三将軍達も口を開く。


「こっ、ココはどこだ!?」

「何故、我々がこんな所に!?」

「あれは、勇者一行!? ……と、もう一人は誰だ?」


 驚愕のためか、三将軍の声は上擦っていた。しかし、それを小物っぽーい! と笑っていたのは、真希那一人だけ。今は、とても笑えるような状況ではない。自然と、その場にいる全員の視線が、この状況を創り出した張本人──真希那の元に集まる。

 真希那は、その視線に気付いたのか、一瞬キョトンとした後、すぐに何かを思い出したかのように魔界三将軍に向かって言った。


「僕の名前は神代 真希那! 高校生兼神様なんだよ!」


 その先程と全く変わらない名乗りを聞いた英雄達は、思わずずっこけそうなる。

 魔界三将軍も、真希那をまるで阿呆でも見るような目で見ている。

 只一人。魔王だけが、彼の言葉に戦慄した。


「神、だと……っ!?」

「いえーす! あい、あむ、ごっど!」

「神代 真希那。もし貴方が本当に神だと言うなら、何故ここにいる……」

「それは勿論、君達魔族を倒すためだよ?」

「なっ 神が直接、だとっ!?」


 魔王のその驚き様を見た英雄は、思わず首を傾げる。


(……魔王は、何に驚いている?)


 魔王は、神の存在は疑っていなかったようだった。しかし、神がここに(・・・)存在することに驚いているようだった。

 そのことに疑問を感じた英雄は、真希那に声を掛けようとし──、

 ──次の瞬間、真希那の左手が吹き飛んだ。


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