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終章 第五話


「久し振りだな、輝島 英雄」

「──は?」


 俺は魁座さんのその言葉の意味が理解出来ず、思わず間の抜けた声を出してしまう。そして何故か、教室内が静かになり、女子は好奇心丸出しの目で、男子は嫉妬に塗れた汚い目で俺達を見ていた。

 ……これは、下手な発言をしたら、男子に襲われかねない……っ!

 俺は、取り敢えず当たり障りの無い言葉を選択して口にする。


「えーと、魁座さん、だっけ? 僕の間違いじゃなければ、君とは初対面の筈だけど……」

「何を言うんだ、英雄! 私と君には、そんじょそこらの恋人や夫婦などとは比べ物にならない程の間柄だろうに!」

『なっ!?』


 魁座の言葉を聞いたクラスメイト達が驚く。それは、仕方ないことだろう。何せ、当人である俺だって、腰を抜かす程驚いているんだから。

 そんな俺を見ながら、魁座は言葉を続ける。


「思い出せないのか? ……いや、気付かないのか」

「はい?」

「なら、仕方が無い……。コレを読んでみろ」


 何故か自己完結したらしい魁座は、制服の胸ポケットから手紙を取り出して、それを唖然としている俺に押し付けた。

 それを見た女子達が「もしかしてラブレター!?」などと騒ぎ出し、その言葉を聞いた男子達がより強い怨念の籠もった視線を俺に向けてくる。

 俺は、男子の視線に恐怖を覚えながらも、魁座に目で「これは何?」と聞いてみるが、ただ「読めば分かる」と言うばかり。

 仕方がないので、僕は意を決して目を通し始め──硬直した。


『やぁ、こんにちは。

 英雄くんのことだから、この手紙を真央ちゃんからのラブレターと勘違いしてそうだけど、残念ながら違うんだ。

 この手紙を書いたのはこの僕──神代 真希那。

 覚えているかい? 君をこの世界に連れ戻した神──〝機械仕掛(デウス・)けより出て(エクス・)くる神(マキナ)〟だよ』


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