終章 第一話
目が覚めたら、俺──輝島 英雄は、自分の部屋のベッドで寝ていた。
「──?」
自らがよく知る部屋の筈なのに、何故か違和感を覚える。まるで、今までずっと違う場所で過ごしていて、久々にこの部屋に帰って来たような──、
「──────っっっ!?」
そこまで考えた所で、唐突に思い出した。そうだ。俺は、異世界に召喚されて、半年間魔族と戦い続けて来た。そして、暗黒騎士と戦っている途中で神様が現れて、それで一気に魔王を倒して、最後には神様に頼んで元の世界に戻して貰って──、
「っと! そう言えば、今日の日付はいつになっているんだ?」
俺は急に日付が気になって、枕元にあった携帯の電源を入れる。もし、本当に異世界で冒険をしていたら、こちらでも半年程時間が経っている筈──。
そう思って携帯の画面を見てみる……が、その日付は俺が異世界に召喚された日から一日後のものだった。
「あ、あれ?」
俺は思わず間の抜けた声を出してしまう。
何で、一日しか経っていないんだ……? と思っていると、いきなり部屋の扉が開かれた。
俺は、異世界にいた時の癖で、思わず腰に手を持っていく……が、そこには向こうでの相棒だったエクスカリバーも、魔王を倒したハーモニクスもない。そのことに寂しさを感じつつも、開いた扉の方に目を向ける。
「起っきろー、ヒデ兄! ……って、起きてるじゃん」
そこには、俺の妹である光が立っていた。




