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プロローグ
地に堕ちた黒の天使は、白の天使と笑っていた。
黒の羽根を背負いながらも、どこか楽しそうに。
いつもの日常。
天を追われ、地に堕ちても、二人にとって何も変わらない日。
白の天使——エルは、眩しいほどに笑っていた。
黒の天使——ランジェは、眩しさに目を細めながら笑い返した。
それだけで、世界はまだ優しかった。
――その日、扉が開くまでは。
「来ちゃった」
そう言って立っていたのは、
かつて二人が仕えていた神様だった。
破壊の神、美の神、そして堕ちた神。
運命は静かに軋み出す。
彼らがこの地で掴むものは、救いか、それとも――。
“お願いだから、私を頼って”
“ずっとそばにいるのに、何も出来ない”
“たとえこの体が朽ち果てようとも……”
――それは、黒に堕ちた天使の祈りの始まり。




