四話 「魔の戦い」
「なんだ今のは!?」
敦の眼前に広がる光景はとてもでは無いが、現実に存在しているとは思えないような生き物が立っていた。
その生き物の外見は鳥のようだが、全身が鱗で覆われており足の指の先には回転ノコギリのような刃が付いて回転している。
「コレは驚いた、まさかこの世界にもいるとはな!!」
デントが驚いた様子で先程の生き物を凝視していた。
恐らく察するに、デントやエルザ達の世界からやって来た別世界の生き物だと納得せざるを得なかった。
目の前の生き物が唸り声をあげ、こちらを鋭く光った目でギロリと睨むと急に飛びかかってきた。
「うわっ!!」
隣にあったテーブルを盾にしてそのまま蹴り上げて部屋の隅まで吹き飛ばす事に成功した。
何とか無事に済んだが、恐らくこの生き物は俺になにかの用があるのだろうか?
自分の体制を何とか戻して身構えているとその時に
「敦殿!こいつは敵の手の者だ!!早く離れて下さい!!」
エルザがこちらに向かって大声をあげ、腰に携えているサーベルを抜いた。
その刹那、何が起こったか分からないほどの速さで、そこにいた生き物は百の肉片になり壁一面に紫色の血液が散乱し、地面に転がり落ちた。
「明らかにこいつはおかしいぜ?
こんなあからさまに突っ込んでくるなんて相当理性を失っている状態だったんじゃないのかい?」
「確かにそうだな、このような下等の魔獣は本来なら自分の領域に引きこもっているはずなのだが…。」
目の前に広がる凄惨な光景を前に2人は冷静に分析を行っており、まるで普段からこれ以上の事を経験しているかのような物言いであった。
「この生き物は死んだのか?」
なにせ、今までに生き物など殺めたことなど一度もない。当たり前のように殺害した二人にあっけらかんとしてしまって自分の体は動けなかった。
「そっかぁ、奴さんは魔力を読み取る能力がまだ鍛えられてないのか。
元々、生き物には魔力が一定数あるんだが、その生き物が死んだ、もしくは瀕死の状態になると魔力というものは消えてしまうのさ。
だから、俺達ヒューメイジはそうならないように戦って殺されないようにしたりするのさ」
「つまり、この世界の生き物で言うところの心臓のような物なのか?」
「そうじゃないね、物理的な臓物というより、どっちかと言うとオーラに近いんじゃないのかねぇ」
「お前達にもあるのか?」
当然の疑問だった。
この地球の全ての生き物の身体構造とは似ていても根本的に生身の体を動かしている前提条件が違うのだ。この世界とは似ても似つかない様な世界の話はとても興味を惹く。
「俺達も例外じゃないさ、体の構造は似ているというよりほぼ一緒。
ただ違うのはオーラで生命を維持しているってワケよ。」
つまりは別の次元の生命体という事だった。




