表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友と好きな人の間で  作者: Ray
近づく距離
8/31

第8話

「ねえ、このシーンどう?」


放送部の編集室で、太一はモニターに映る映像を私に見せていた。梅雨の雨音が窓を打つ中、彼の撮影した学校生活のドキュメンタリーが展開されていく。


「さすが太一、角度がいいね」私は感心して言った。


「でしょ?カメラは嘘をつかないんだ」太一は得意げに胸を張った。「ところで…」


彼は少し言いにくそうに続けた。「最近、結花と一緒にいる時間減ってない?」


その質問に、私は思わず目を逸らした。「そんなことないよ。お互い忙しいだけだよ」


「そっか…」太一は納得したようでいて、どこか懐疑的な目で私を見た。「でも俺のカメラは見ていたんだ。結花が亮太に話しかけるのを見守る陽菜の表情を」


「何言ってるの」私は笑って取り繕った。「結花を応援してるに決まってるじゃない」


太一はしばらく黙って編集作業を続けた後、ぽつりと言った。「陽菜、昔みたいに正直じゃなくなったね」


その言葉は、まるで雨のように私の心に染み入った。そうだ、私は正直ではなくなっていた。結花にも、太一にも、そして自分自身にも。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ