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15-ⅱ)羽ばたく〜呪縛からの解放

 サクの絶縁宣言の後、ヒカル、カヲル、モーは彼らが泊まっている人足用の宿舎のそばで空箱に腰掛けて、ホットミルクを飲んでいた。

「なんか、これで一区切り付いた感じがするな」

 しみじみとモーが言って、天を仰いだ。彼は天堂兄弟よりも長くレイたち兄妹といた分、思う所があるようだ。

「俺も」

 と、ヒカルも見上げた。そこには満天の星空がある。

「あの怪力輝夜に当分は追いかけ回されずにすむかと思うと、ほっとしたぜ……」

 ヒカルにとっては実に ありがたい展開だ。

「はぁ……」

 下を向いて、溜め息をくカヲルの肩に手を置くモー。

「カヲル…。そのうち、いい事あるよ」

「うん……」と、カヲル。

 モーが自嘲ぎみな笑みを浮かべる。

「わたしも昔はね、女に騙されて散々な目に遭った口でね」

「え……?」「マジかよ」

 モーの過去にカヲルとヒカルは驚く。

「そんな時に家出したサクちゃんと出会って、お互いの愚痴聞いてさ。サクちゃん捜してたレイさんに御者として雇われて今があるんだ。お蔭で あちこち旅が出来て楽しいもんさ」

 と、懐かしさから笑うモー。

「へー、そうだったのか」と、ヒカル。

「知らなかった」と、カヲル。

 モーが今度は うつむいて言う。

「ただ…、踊り子の三人は さっきのサクちゃんの話にもあったように、よく男を引っ掛けて奢らせて逃げてたから、よく恨まれてた。女の体が目的で近付いて来る方も来る方だけどね、そんなのに わざわざ自分から近付いて行く方も行く方さ」

「確かに、軽いよな。あいつら」

 と、モーの意見にうなずくヒカルも女遊びをしているので、人の事は言えないのだが、全くの他人ひとごとと思って言う。

「サクなら、そういう事、絶対にやらないな」

 というカヲルの言葉を受けて、ヒカルがサクの性格について言う。

「真面目だからな、サクは」

「そういうとこ、レイさんと似てるよな」

 と、カヲル。

「そうだな」と、うなずいたモーがレイについて語る。

「そのレイさんだけどさ、人を見る目が厳しい人だが、さすがに血のつながりのある三人を見捨てる事は出来なくて。しかも、責任感も強いもんだから、妹の事は兄貴の自分が なんとかしなくちゃと面倒見てきたもんの、叱り付けても情に訴えかけても、なんにも変わらなかった」

れんに腕押しだな」と、ヒカル。

「骨折り損ってヤツか」と、溜め息混じりにカヲル。

「サクちゃんも姉妹きょうだいだからと、今まで色んな事を我慢してきたんだと思うよ。それに、本当なら同性の姉妹きょうだいに悩みを聞いてほしいって事があっても、あの三人じゃ、まともな相談相手にならないから困るって言ってたよ」

 モーの言うように、年頃の娘なら同じ悩みを共有してくれる相手がほしいと思うのは、当然の事だ。

「だから、サクが最初に会った頃に僕たち兄弟を羨ましいって言ってたのは、顔が似てる事だけじゃなかったのかもな」

「だな」

 カヲルの言葉にヒカルがうなずく。

「でも、どうせ、時間が経てば、仲直りするんだろ」

 と楽観的に言うヒカルに、

「それはないと思うね」

 と、かなりハッキリと否定するモーは さらに、こんな話をする。

「サクちゃんが病気した時だって、看病してたのは、いつもレイさんだった。踊り子の仕事が休みの日ぐらい、レイさんと交代したっていいのに、仕事があるって嘘ついて遊びに行ってたんだ、あいつら」

 そんな事を話すモーはレイと交代で看病や買い物を手伝っていたのだ。

「えっ!?」ヒカル、カヲル、同時に驚く。

「でも、中部にいた時、サクが風邪引いたと勘違いした輝夜、かなりショック受けて心配してたのに……」

 カヲルにはモーの言葉が にわかには信じがたい。ローゼンが名医を紹介してくれた時の輝夜の反応を見ているからだ。

「風邪が治った時だって、喜んでたぜ。あいつらも」

 ヒカルは、サクが風邪を引いた事でデートが御流れになった事件を思い出す。

 モーが首を横に振って言う。

「輝夜のあれはサクちゃんの事が心配というより、『病気で死ぬ』という事が怖いのさ。それに、あの三人がサクちゃんが治ったって喜んだのかどうかも怪しいな。本当に心配なら、看病だって手伝うし、甘い物の一つでも買って来てやるのが普通だよ」

「えっ? じゃ、なにか? 病人の為に美味いモン買ってやる事すらせずに、遊び呆けてたのか、あいつら」

 ヒカルですら、啞然とした。彼ら兄弟はどちらかが倒れれば、看病もしたし、少しでも精の付く物を食べさせたりしたものだ。

「し、知らなかった……。てっきり、仲がいいものと……」

 カヲルもショックだった。

「この頃はサクちゃんが風邪で寝込む事もなくなってきたから、知らないのは無理もないよ。基本的に、あいつらは自分の都合で動いてるだけだ。表向き、心配してるように見える行動があっても、中身は実は、そうじゃないんだ」

 と、モーがさらに、三人の “裏の顔” を話し出す。

「サクちゃんに もし何かあったら、レイさんが怒るだろ? 三人ともレイさんの腕前には敵わないから、大人しくしてるだけなんだよ」

 基本的に、サクが無事なら波風立たずに済むというわけである。

「それに、華夜は『優しいお姉さんキャラ』を演じて、人に良く見られたいって思惑があるし、美夜は足手まといだとサクちゃんを嫌ってるから、極力関わりたくない」

 サクが絶縁した事で、モーも遠慮なく彼女たちを呼び捨てにし始めた。

「輝夜は気まぐれで、同情したりしなかったり、気分次第なトコがある。それに、めんどくさがりだから、お前たちが代わりにサクちゃんの護衛になってくれてラッキーぐらいにしか思ってなかったと思うよ。あれも、けっこう打算的な人間だからね」

 モーは、輝夜がサクとローゼンが結ばれるのを応援するのは、自分がヒカルと引っ付く為だと気付いている。

「三人とも、全く薄情だよ」

「………」ヒカルもカヲルも言葉を失う。

 さらに、モーが言うのは三人のカネに対する執着だ。

「おまけにさ、踊り子の姉さんたちへの差し入れは、サクちゃんの小遣いでしてたんだ。サクちゃんは体が弱いから、まともに働けないのもあって、負い目があるんだろう」

 そう言うモーの脳裏には、サクの姉妹への同情心と負い目から来る、悲しげで申し訳なさそうな複雑な表情が焼き付いている。


「お姉ちゃんたち、仕事が大変そうだから、何かしてあげたい」


「── って、サクちゃんは言ってたけど、あいつらのは好きでやってるような仕事だし、体力だって人の何倍もある。何が大変なものか! それに、あの三人の生活費だって、今も ほとんどレイさん持ちだ。あいつら、今じゃ相当 稼いでるはずなのに」

 モーは今までの鬱憤を晴らすように喋った。ヒカルもカヲルも ここまで聞くと、あの三人への同情も共感も何も彼も失せてしまった。特にカヲルなどは、サクの代わりに楽屋へ差し入れを届けに行った際、華夜に褒められて逆上のぼせていた自分が情けないと思える。

『あの時の差し入れのお金もそうだったのか……』

 カヲルのコップを持つ手に力が入る。

「……ぜ、絶縁されて当たり前だな。よく辛抱してたな、レイも、サクも」と、ヒカル。

 モーがサクが絶縁すると言い出した理由について言う。

「サクちゃんが縁を切ると言ったのも、自分たちの事より、世話になってる周りの人間に相当、迷惑がかかったのが引き金だな。その事が一番、耐えられなかったんだろう」

「サクは優しいからな」

「そうだな……」

 ヒカルの言葉に、言葉少なに うなずくカヲル。

「まぁ。でも、これでレイさんもサクちゃんも、スッキリしたんじゃないかな」

 と、見上げるモーの横顔を見ていた天堂兄弟も星空を見上げた。

『あの二人には、これから、もっともっとい事があってほしい』

 星空の下で、そう願わずにはいられないモーだった。



 その頃、ローゼンたちと話し終えたレイは自分の客室に戻ってソファーに腰を下ろし、「はぁ……」

 と、また思わず、溜め息をいていた。

『なんや一つ、終わった気ィする……』

 そう思った途端、ふと、母の言葉が脳裏をよぎった。


「あんたが人生の節目やなぁと思うた時に、これ 開けな」


 それは旅立つ前夜に母が渡してくれた手紙だ。それを約束どおりレイは開けずに持っていた。

 レイは気になって、手荷物から それを出した。帳面に挟んであった手紙の封紙ふうじがみを開けて中を見ると、母の筆跡で何か書かれていた。


 清天キヨタカ 麗翔レイショウ


 その文字の隣にこう添え書きがあった。

「これを桜久弥さくやに見せな。あとは桜久弥が教えてくれる」

 サクの本名が『桜久弥さくや』と記されている事に気付いたレイ。レイよりもサクの改名が先になる事を、母は二人が旅立つ前に分かっていたのだ。

『サクヤの名ァを変える時期も予見済みか。さすが、千里眼……』

 レイは『もう、寝とるやろか』と、一瞬、躊躇ためらったが、

『やっぱり、すぐに桜久弥さくやに訊こう』

 思い直し、隣のサクの客室を訪れた。

「桜久弥。まだ起きとるか?」

 運良く、サクはまだ起きていた。すぐに、鍵を開けて部屋に入れてくれた。

「なかなか寝付けんで、うちも まだ起きとった」

 と、言うサクに、レイはさっそく母からの手紙を見せた。

「これ、見てくれ」

 サクは左手に持った手紙を見ながら、くちびるに軽く握った右拳の人差し指を当てていた。彼女の千里眼が母の思いを読み解く。

「ふーん……」

 しばらくして、くちびるから手を離したサクが兄レイに告げる。

「お兄ちゃん、今まで兄妹やきんゆうて、あの人らをかぼうてきたけど、もう、そうゆう事せんでええ。これからは、お兄ちゃんが自由に羽ばたく人生になる。これは、そうゆう名前や」

 穏やかな物言いなのに、どこか芯があって力強いサクの言葉に、レイは背中を押されたような気がした。


 自由に羽ばたく ─── !!


 その言葉がレイの心の中で響く。白い翼が広がるような気がした。

 サクはさらに、こう言った。

「美月の家の事も気にせんでええ。お母さんの実家は本家の伯父さんが継いどるし、分家も多いきに、無理にお兄ちゃんが美月の名ぁを継ぐ必要はないと思う。そやきに、お母さんは苗字も変えたんやわ」

「いや、まさか…、俺まで改名するとは思わなんだなぁ」

 驚く兄レイにサクは「ふふ……」と笑うと、続けた。

「これ、文章にもなっとるよ?」

「ん?」

「清き天をあざやかにけよ」

 その言葉に、真っ白な翼で飛び立つような心地がする。

「はぁ……。さすが、母さんやな」

 レイの目に図らずも涙がにじんだ。こぼれそうになってきて、それを袖口で拭う。

「あ…、すまん……」

「お兄ちゃん……」

 サクの目にも涙がたまる。

「自分でも思うとったより、つらかったんかもな……。今まで あれこれ言うても、あいつらの性根 直らんし、周りに迷惑かかるしで……」

 はなをすすり涙声で言うレイをサクが なぐさめる。

「お兄ちゃんはもう、充分、頑張った。これで、もう、終わったんや!」

「……うん」

 涙目で微笑むサクから返された手紙を受け取り、レイは新しい名をもう一度、見つめた。



 あれから、踊り子姉妹の華夜、美夜、輝夜の三羽烏、だんだん人気も落ち目になった。その事はルークの耳にも入って来た。

 それは彼が取引先を訪問していた時の事だ。商談中に世間話を交えた雑談をしていると、顧客がルークにこんな事を言った。

「中部や西部でも人気だったっていう東洋人の踊り子、『恋愛天使』でしたか、最近はパッとしませんなぁ」

「え?」

「おや? ご覧になってませんか?」

「ええ、最近は観に行ってませんね」


 ルークは気になって、後で三羽烏の昼間の舞台を観に行った。暑い時期なので昼間は屋内のステージでの仕事をしているようだった。そこは店内で飲食しながら観覧するスタイルで、ルークは彼女たちに気付かれないように末席から見た。

 彼女たちの舞台はいつものようにキレのある動きであった。

『パッとしないって、どこがだ?』

 などと、ルークが首を傾げていると、隣席から話し声が聞こえてきた。

「やっぱり、衣装のセンスが悪くなったな」

「そうだな。前はさ、キラキラ〜とか、爽やか〜な感じだったのに」

「この頃はなぁーんか、やたらギラギラしてたり、ドギツイ派手派手だったり、イカ墨みたいにダークだったりするよな」

 別の隣席からは

「歌もなんかなぁ」

「切ない恋心を歌った歌詞の方が良かったな」

「美人が悲しい恋の物語を歌うからいいんだよな」

「そう。ギャップが良かったよな。美人が恋愛の勝ち組になる歌うたったって、当然すぎて面白くもない」

「これじゃあ、『恋愛天使』じゃなくて、『堕天使』だな」

 などと、酷評されていた。

『衣装と歌の内容で評価を下げていたのか』

 それを知ったルーク、ランチを食べながら、改めてステージの三羽烏を見る。この日はダークカラーの衣装だった。

『確かに。イメチェンを狙ってるのか、大人の色気を出したくてダークカラーの衣装にしてるのかな? でも、今一つだなぁ。ほとんど真っ黒だ』

 以前にもダークカラーの衣装の時があったのを思い出し、頭の中で現在と比較する。

『あ! 衣装に金糸が入ってないからか。宝石もルビーの赤い色が効いていたな。この真っ黒な服で真珠じゃ、味気ない』

 歌もよく聴いてみると、隣席から『堕天使』と揶揄される事にも納得がいった。

『歌詞の内容も、色気で男を釣って奴隷にするってものだし、あいつらがそんなの歌うとシャレにならないなぁ……』

 何がこんなに彼女たちを変えてしまったのか、ルークには不思議でならなかった。ランチを食べ終えた彼は、ステージを終えて遅い昼食を食べに出た三羽烏の跡を追った。

 彼女たちはナンパしに来た男にあっさり付いて行って、レストランに入った。30分かそこら経ったであろうか、彼女たちが出て来た。

『えっ!? 店の裏口から逃げた!』

 先程の男に奢らせておいて、こっそり逃走した三羽烏を密かに追うルーク。三羽烏は路地裏をくねくねと走りゆくが、今度は彼女たちの前に別の男たちが立ちはだかる。

「この間の食い逃げ、許さねー!!」

 真ん中の男が「やっちまえ!」と指示して、三羽烏をやっつけようとしたが、あべこべにやられた。つまり、彼女たちは まだ懲りずに色仕掛けで体目当ての男を釣ってタダ飯喰らって逃げては、復讐しに来た男たちを返り討ちにしていたのだ。これには啞然とするルーク。

 彼女たちは男たちを全員のした後、どこかへ逃げ去った。

「こっちの方は、なんにも変わってないのかぁ……」

 と、つぶやいたルーク、これ以上は追わず、カラヤ商店へ戻った。



「兄さん、ちょっといいかな?」

 店に戻ったルークは帳場にいた兄のローゼンに声をかけた。

 二人で応接室で話すのは、ローゼンが使う主用の部屋にいると、レイたちが訪ねて来る確率が高いからである。

 ルークから三羽烏の近況を聞いたローゼンは腕組みして「フーン……」と鼻息ついた後、

「それはサクの手柄だな」

 と、一言。

「えっ? どういう事?」

 一瞬なんの事か分からずに聞き返すルークに、ローゼンが理由を話す。

「元々、舞台衣装と普段着のセンスがチグハグしてたんだよ、あいつら。それまで衣装を決めていたのは、おそらくサクだ」

「あ!」

 そこまで言われて、ルークも気付いた。一度、サクとデートした時に、洗練されたデザインが彼女の好みだった事を思い出す。

「前に、兄さんは『サクはセンスがいい』って言ってたな。あ〜、そういう事か!」

 と、腑に落ちたルーク。衣装のセンスが変わった謎が解けた。

「もしかしたら、歌詞のセンスが落ちたのも、サクがいなくなったせいかもな? 全部でなくとも、何かしらのアイデアを あの子が出していた可能性がある」

「そうかもな。ところで、サクには姉さんたちの事は……」

 兄の答えを予想して、確認の為に訊くルーク。

「言わない方がいいだろう。縁を切ったばかりだし、これ以上、あの子の心を煩わせるのも気の毒だ」

「そうだな」

 ルークも兄と同じ気持ちで うなずいた。



 踊り子姉妹の華夜、美夜、輝夜の三羽烏は宿もカラヤ系列の高級な宿から安宿へ移っていた。今では人気も落ち目ゆえ、実入りも少ない。安宿に泊まるしかないのだ。

「ああッもうッ! クッソー! 全ッ部、サクのせいだ !!」

 美夜がボロい寝台に荷物を投げ付けて、八つ当たりした。

「あんな高い宿に安く泊まれたのも、ローゼンがサクの為にーって、計らいだったもんねぇ……」

 華夜が力無く寝台に腰掛ける。

「ふかふかベッドが懐かしや……」

 輝夜は寝台にうつ伏せて嘆いた。

「そろそろ、ローゼン、『お前たちも来ないか』って言ってくれないかなぁ〜」

 頰杖突く姉・華夜の甘い考えを、美夜が手を振って打ち消す。

「フンッ! 無理でしょ。サクに兄妹の縁 切られてんのに、ローゼンがわざわざ声かけてくるわけないじゃない。『これで余計なカネを遣わなくて済む』って喜んでるに違いないわ、あいつ」

 さすが、ケチな美夜。考える所が違う。

 何か思い付いた輝夜が身を起こして言う。

「兄に取り入るのは、どうだ? 反省してると言って、兄からローゼンに頼んでもらうのは」

「さすがに今回は口先だけで ごまかせないんじゃない? 兄さん、律義だから、世話になった他人まで巻き込んだのはマズかったわ。絶対、許さないわよ」

 華夜の言うとおり、堅物レイからローゼンに頼むはずもない。そもそもローゼンと揉めたのは華夜である。

「それなら、もう、サクしかいない。“必殺・泣き落とし” 」

「そうね。日にちも経ってるし、少しは効くんじゃない?」

 輝夜の意見に賛同する華夜。

「それだったら、おにィやローゼンと一緒じゃない時を狙わないと」

 と、ニヤリと笑う美夜の眼が不気味に光った。


※ 「けよ」について

 ラ行四段活用「翔る」の命令形は本来「かけれ」ですが、通じにくいと思い、カ行下二段活用「駆ける」の命令形「駆けよ」に「翔」の字を当てました。

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