Prologue)ZERO G
カクテルグラスの向こうに見えるのは、青い地球である。
ガラス張りの店内から右横に見える青い地球を眺めた後、彼は手にしているグラスの透明なカクテルを一口飲んだ。
後からやって来た人物が
「お? しばらくぶりだな」
と、彼に声をかけ、「ああ」という返事を聞いた後、バーテンダーに
「俺も同じのをくれ」
と、注文した。
差し出されたカクテルを受け取った、その人物は美女に敗北感を味わわせるほどの美貌の青年だった。
この青年は彼の左隣で同じカクテルを一口飲んだ後、彼の左手の薬指に見慣れない指輪がある事に気付いた。
「なんだ? その、金の指輪。結婚したのか?」
「ああ、これか。別に結婚したわけじゃない。これは先祖の指輪だ。俺が受け継ぐ事になってさ」
と、答える彼は左手の指輪を美貌の友に見せた。指輪には星を二つ重ね合わせた刻印がある。
「── て事は、年代物だな」
美貌の友の視線が指輪から彼の顔に移る。
「ああ。しかも、因縁めいた代物でさ。元の持ち主である先祖の名が俺と同じ名前だったらしい」
「へぇ……」
「俺と同じ名前」だと親指を自分の顎先に向ける彼の話に、興味ありげに美貌の友がつぶやく。
口元で両手を組んだ彼は言う。
「それに、なんとなくだが、この指輪を付けてから、運が向いて来たような気がするよ」
その笑う口元では金の指輪が光っていた。
そして、時代は遡り ──




