作戦会議と大事件発生
「では第二回打ち合わせを行おう」
父の言葉でメルディレン侯爵家の談話室に揃った面々が頷いた。ポワレがそれを引き継ぐ。
「裁判の日程は来週の土曜日、午前10時から大法廷を利用して行われることが決まりました。裁判官は民事裁判をいくつも担当しているベテランのウィシュラー裁判官です。常に冷静で平等な判決をすることで知られている人物で、第二王子派でも第三王子派でもありません。
王家も貴族も庶民も変わらず法律に照らし合わせた判決を出す人物なので、ご安心を。買収されるようなことはまずありません」
「それは言い切れるのか?」
と父が確認を取る。
「以前貴族同士の民事裁判で裁判官が発表されてから、お互いが買収しあおうとしたらしいですが、どこを探しても裁判まで会えなかったそうです。どっちが先に殴ったかどうかの裁判だったらしいですが、裁判の時に、判決とともに、買収しようとした両家に法律違反であることを告げて罰金刑を追加したそうです」
「それはまた、法の鑑だな」
「そうですね。まあ、王都にいる裁判官は皆そんな感じですよ。さて、皆様が持ち寄られた情報をまとめて裁判に向けて作戦を立てましょう」
「その前にちょっと良いかなこんな時にする話でもないのかもしれないけど、不安材料が他にもある」
アレンディードが軽く手を上げて発言を始めた。
「カリーヌ妃と僕の母上は仲が良いとはいえないんだ。知っていると思うが、王妃殿下が陛下にとっての一番に変わりはなく、カリーヌ妃と母上は二番手だ。母上は入宮が決まった時、貴族の義務だと思って受け入れた。どの道他家に嫁いでも愛妾を持たれる可能性もあるし、それなら側妃で良いのではないか?王妃殿下が一番なら側妃である自分はその下でのんびり王妃殿下の補佐を務めれば良いと。
陛下が顔合わせした時に側妃に差異はつけない。それでも大切にすることは約束すると言ってくださったらしく、それなら側妃になってのんびり後宮暮らしをしようと思ったそうだ。従来のんびり屋な人だからね。
しかし、カリーヌ妃は別だった。入宮当初から王妃を越えて自分が一番になろうとあれこれと手を尽くしていたらしいし、なれるとも思っていたようなんだ。だから母上をライバル視していたんだけど、母上がそういった行動をとらず、陛下が離宮に来られればもてなすし、来なければ自由に過ごしていて、寵を取り合う姿が見えないのが却って自信のように感じたのか、嫌がらせをしてくるようになってね。
離宮の花が夜の間に刈り取られていたり、何かにつけて母上を下に見る発言をしてくるようになったらしい。兄上を妊娠してからは勝ち誇ったようにしょっちゅう妊婦姿でこちらの離宮にやってきてね。母上は頭を痛めたらしい。自分は寵を競うつもりはないけれどのんびり過ごしているのを邪魔されたくないと。それで体調不良、として離宮に来たカリーヌ妃を追い返していたらしいんだ。
そしたら王宮にいて長期の体調不良など陛下の御子を産む資格はないから離縁をして退宮しろと騒ぎ出したらしくて、それを耳にした王妃殿下がお見舞いに来られて、事情を説明したら気遣ってくれて、時折二人でお茶会を開くようになったらしい。
だから母上と王妃殿下は密かに親しくしているんだ。そしてその後僕を妊娠したんだけど、結局、側妃二人は二番手、で変化がないように陛下はされていたようだけど、カリーヌ妃はまだ諦めてないんだろうなあって。毎年、母上の誕生日プレゼントが何か見に来るしね。それが裁判に影響しなければいいんだけど」
「裁判にですか?」
父が不審そうに聞いている。
「ああ。カリーヌ妃は一番は無理でも二番にはなりたい。母上には勝ちたい、と今はそう思っている可能性がある。
その為に影響力もある上位貴族のメルディレン侯爵家と兄上を婚約させて後ろ盾にしようとしたけれどそれがなくなって、まさかの子爵家の娘ではカリーヌ妃は納得しないだろうが、それ以前に僕がソフィーリアに婚約を申し込んだことで、自分が欲しかった後ろ盾が母上のものになってしまうと怒っているはずだ。
カリーヌ妃は兄上にはカロン嬢を正妃にしないで側妃にさせ、別の上位貴族から新しい婚約者を選ばないといけなくなった。その為にはこの裁判で負けてしまえば、婚約してくれる家門が限られてくるからね。裏で操りださなければいいんだがと心配なんだ」
やはり、王宮ではそういった争いがあるのか。争いといっても一人芝居のようなものだが。
「アレンディード殿下。大丈夫ですよ。私たちがやることをきちんとやれば負けません。それはアレンディード殿下を始め、たくさんの方々が私たちの味方になってくれたからです。それに、嘘は必ず暴かれるものと信じています。嘘を重ねれば重ねるほど綻びが出てくるはずです。必ずその綻びに大きな穴を開けて見せます!」
ソフィーリアはぐっと拳を握りしめた。その姿を眩しいもの見るようにアレンディードが見つめていた。
「はい。ソフィーリア様、良い意気込みです。さあ、作戦会議を再開しましょう」
ポワレは手帳を出すと、自分からまず、と言って話し出した。その後アレンディード殿下が、ソフィーリアたち三人が、兄、侍女侍従と続き、最後に父の番になった。
「私は陛下の御前で今回の件で、クラディオン殿下との婚約の解消をお願いした。陛下は既にご存じでアレンディード殿下との婚約を進めることを承認された。それから、力強いお言葉をいただいた。これはソフィーリアもわかっていることだし我々家族もわかっていることだが、最終手段になるだろう。そこまで行かずに向こうには折れてもらいたいものだ」
父の言葉で皆が頷く。
「いよいよね、ソフィーリア。ポワレさんが準備してくれた資料。これだけあれば大丈夫。私全部覚える勢いで頑張るわ!」
ルシールはギュッと資料を抱きしめた。
「私たちならできる!絶対に勝つわよ!」
レティシアが扇をパタンと閉じた。
「ぎたんぎたんにしてきてよ!私、許さないんだから!一生後悔させてやるわ!」
いや、マルグリットいつの間にまた愛剣を手にしたのか、天に剣先を向けている。
「よし、じゃあ、話し合いも済んだし、ソフィーリアはこのまま王太子殿下とアリーチェ様のお茶会に参加する為に王宮に向かおう。では解散!!」
アレンディードの声でそれぞれが談話室を出て行く。新たに知ったこと、分かったこと、提供してもらった情報を無駄にはしない、とソフィーリアは強く拳を握りしめアレンディードの後ろを歩いた。すると突然アレンディードが振り向いた。
「ソフィーリア、これを」
アレンディードが小さな箱をソフィーリアの手に載せた。開いてみると真珠の指輪だった。アレンディードは箱から取り出すとそっとソフィーリアの指にはめた。
「アレンディード殿下、、」
「僕が去年から任されている領地は知ってる?」
「はい。王都の西の海に面したバレンディア領ですね。海があるので海産物が特産品です」
「さすがだね。そう、その特産品の中には真珠も含まれるんだ。この指輪は僕が領主として治めることになった時に真珠の養殖場に視察に行ってね。その時に自分で作らせてもらったんだ。渡すことは叶わないかもしれないけど、いつかもし渡せる時が来たらとソフィーリアのことを思って作った」
アレンディードの言葉にソフィーリアは驚きその瞳を見つめた。
「今はこれをもらってくれるだけでいい。今練習をしてるからもっと良い物ができあがるよ。それまでの間、大事にしてくれる?」
いつも自信に溢れているアレンディードの眉尻が下がっている。こんな表情もできるんだとソフィーリアは思い、そっと真珠を指先で撫でた。
「はい。大切にします」
「ありがとう。ソフィーリア。それじゃ行こうか」
ソフィーリアの歩く速度に合わせてくれるアレンディードの横を今度は歩いた。
「ソフィーリア!会いたかったわ!」
アリーチェが椅子から立ち上がるとアリーチェの居室に入室したソフィーリアに向かってかけてきてその手をぎゅっと握りしめてくれた。
「アリーチェ様。ご心配をおかけし申し訳ございません。私が至らないばかりにご迷惑をおかけしております」
アリーチェはそっとソフィーリアを抱きしめると、もう大丈夫と背中を軽く叩いてくれた。
「さあ、今日はソフィーリアの好きなものをたくさん用意したわ。珍しい茶葉もあるし、楽しみましょう」
ベランダに準備されたテーブルにソフィーリアを誘うとそっと先に腰を下ろした。それに続きアレンディードが、そしてソフィーリアが席に着くと早速お茶が運ばれてきた。
アリーチェの膝の上には猫が自分も参加者と言わんばかりに座っている。アリーチェの愛猫だ。オッドアイの白猫で金の目とサファイアの目を持っていて、愛らしくいつもソフィーリアを出迎えてくれる。
「フェリクス様はもう少しで来られるわ。先に始めちゃいましょう。さあ、どんどん召し上がれ。アレンディード様の分もあるからテーブルに乗り切るか心配してたのよ。最近たくさん食べるってジゼット様からお聞きしたから。育ち盛りね~」
アリーチェは朗らかに笑いティーカップを口にした。ソフィーリアも一緒に紅茶を口にする。柑橘系の香りで爽やかさが感じられる茶葉だった。
「この茶葉にはチョコレートが合うと思うの。食べてみて」
アリーチェに言われた通りに丸いチョコレートを口に入れると甘さと柑橘系の酸味が合わさって何とも言えない幸せの味がした。
「僕はこっちをもらうよ」
とアレンディードはサンドイッチを手に取る。女性でも食べやすいようにと一口サイズのサンドイッチをどんどん口に入れている。丁度お昼時だからお腹も空いているのだろう。そこへ、
「遅くなってすまないね。僕の大事な妻とその大切な友人とカワイイ弟を待たせてはいけないと急いで仕事を片付けて来たよ」
フェリクス王太子殿下の登場だ。お疲れ様、とアリーチェがにこやかに寄り添って話しかけている姿は幸せそのもので、一枚の絵の様だ。
「王太子殿下、この度はお招きいただきありがとうございます。また、私事でご迷惑をおかけし、申し訳ございません」
ソフィーリアは立ち上がりこの国での女性の最敬礼の姿勢を執るために頭を下げ膝を軽く折った。
「迷惑だなんて思ってないよ。賢くカワイイ義妹ができることに変わりはないからね。ソフィーリアはアリーチェにとって本当の妹のようなものだ。アレンディードの方が任せられるしね」
いたずらっぽくソフィーリアに片目を閉じてみせる王太子殿下はそんな顔にも威厳があった。
「新しいお茶を淹れましょうか。新しく手に入ったものらしいわ」
「あ、僕の分はいらないよ。ちょっとこれから用事があるから。ソフィーリアをエスコートがてら姉上のご機嫌伺いに寄ったんだった。ついつい食べ過ぎてしまったよ。じゃあ、また来るよ。兄上、姉上」
そう言って手を振りながらアレンディードが去って行った。
「相変わらずせわしない弟だな。さあ、僕たちはゆっくりお茶の時間を楽しもう。ソフィーリアは大変だったろう。うちの弟が申し訳ない」
「いえ、そんな。こうなる運命だったのです。婚約当初は上手く行っていたと思うのですが、今になってはこのまま何事もなく結婚していたとしても、いずれ破綻が訪れたでしょう」
ソフィーリアが神妙に下を向いた時だった。
新しく運ばれてきたお茶を口にした王太子殿下が急に苦しみだしたのだ。
「ぐ、は、うぅ、」
その場に倒れこむ王太子殿下。
「フェリクス様!!」
悲鳴のような声で側に座り込み肩をゆするアリーチェ。あちこちで悲鳴が上がり、侍女や侍従が駆け出した。
「殿下!誰か!早くお医者様を!!」
ソフィーリアもその場に座り込みをアリーチェに寄り添う。フェリクスは苦しそうに喉をかきむしっている。苦しそうに悶えている様は、まさかを予想させた。
こんな王宮内でもしかして毒?そんな。自分はまだ飲んでいなかった。アリーチェもだ。運ばれて直ぐにフェリクスがお茶を口にした。
ソフィーリアが顔をあげると侍女たちが青ざめた顔をしているのが目に入った。その間も王太子殿下は苦しみ続けている。体がぴくぴくと痙攣し始める。
「王宮医師が参りました!」
侍従と一緒に医者の元へ行った近衛騎士が高齢の医者を肩に担いで入ってくる。
「もう少し年寄りを労わった運び方があるだろ!」
医師はフラフラになりながらもフェリクスの元に膝をつく。あちこちを触ったり最後に口にしたカップの匂いを嗅いだりすると、急いで持ってきた鞄の中から薬丸を出すとフェリクスに飲ませた。
「毒だな。応急処置の薬を飲ませた。この場はこのままにして調査しろ。この場にいる全員もこのまま待機。殿下を部屋までお連れして休ませる。大量の水を持ってこい!アリーチェ様は付き添ってください」
そう言うと近衛騎士がフェリクスをそっと抱え上げると医師とアリーチェも足早に去って行った。
残されたソフィーリアは呆然とした。本当に毒だった。まさかこんなことが起きるなんて。目の前で倒れたフェリクスの姿が頭から離れない。かなりの苦しみのようだった。
王族は毒の訓練を受ける。ソフィーリアも王子妃教育の一環で少量の毒を飲んで体を慣らしていた。少量でも毒の種類によっては熱を出し苦しんだこともある。王太子殿下ともなれば複数の毒の訓練を受けるはず。そんな王太子殿下でも倒れこむほどの毒なんて。ソフィーリアは体の震えが止まらなかった。平和そうに見えていた王宮に得体の知れない何かがうごめいているようで怖かった。
その後身体検査をされ、事情聴取も王国騎士団の捜査部の主導で行われた。その間も王妃殿下の居室の側の王太子殿下の居室からは怒声やたくさんの足音が聞こえていた。そしてその音が静かになる頃、ソフィーリアの帰宅が許されたのは夕方だった。
アレンディードに会いたい。昼間起きたことを話したい。そう思ったが、兄である王太子殿下が狙われたかもしれない現状で会うことはできないだろうと諦めて帰宅した。狙われたのはアリーチェかもしれないが、もしかしたら、ソフィーリアかもしれない。
あのお茶会が開かれることを知っていた誰かが私たち三人の誰かを狙ったのは間違いないだろう。
でもどうやって?医師はカップの匂いを嗅いで毒だと判断した。捜査している間、その場にいた全員が立ったままその場から一歩も出られなかった。出ていけたのはフェリクスを運んだ近衛騎士とアリーチェ。近衛騎士も直ぐに戻ってきて、フェリクスの護衛はこの場にいなかった近衛騎士が付いたそうだ。
部屋の中をうろうろとしながら思考を巡らせる。誰がそんなことができたのか。お茶を運んできた侍女が一番怪しいが怪しすぎて、私です、と言っているようなものだ。そんな簡単なことだろうか?それとも紅茶ではなかった?いや、そんなことはない。フェリクスが口にしたものは紅茶だけ。
「お嬢様。お客様がお見えになりました」
モルガンの声で我に返った。
「こんな時間にお客様?」
時計の針は9時を示していた。
「はい、急ぎの用事だそうです」
「今行くわ!」
急ぎの用事と言えば、昼間のことに違いない。慌ててソフィーリアは応接室へ向かった。
「夜遅くにごめんね」
そこにいたのはアレンディードだった。両親と兄もいる。
「アレンディード殿下!王太子殿下の容体は?」
「ソフィーリア、落ち着いて。今の所少し落ち着いたらしい。大量の水を飲ませてから吐かせて、を繰り返して、腹の中を洗浄したらしい。それでも予断は許されない状況だそうだ。今、毒の種類の特定をしている。珍しい毒の様だ。
入手経路も一緒に調べている。あとはどうやって王宮内に持ち込み飲ませたか。かなりあの状況では特定が難しい。お茶を運んだ侍女の衣服からも部屋の荷物からも毒物は出ていない」
アレンディードは執務室にいたらしく、聞かされて直ぐに大急ぎで王太子殿下の部屋に行ったが会うことはできなかったらしい。それでも少し状況を聞いてきたのだと語った。
「そうですか。アリーチェ様はいかがですか?」
「うん。かなりの心労だろうけど、気丈に看病を続けているらしいよ」
応接室に静けさが流れた。
「アレンディード殿下。このような状況では来週の裁判は延期にした方がいいのでしょうか?」
父が家族の代表と言う形で聞いたようだ。
「それはない。王太子殿下が毒で倒れたのはあの場にいた者と捜査している者、それから陛下と王妃殿下しか知らない。王太子殿下は体調不良で休んでいる、ということになっている。毒、などと知られれば城内も貴族たちも庶民たちも大騒ぎになるからね。
ちなみに僕は直前まであの場にいたから教えてもらえたけど、カリーヌ妃とかは知らない。明日になれば、王太子殿下は体調不良でしばらく仕事を休むことが知れ渡るようになるが、あくまでも体調不良だ。だから裁判もやる。これは陛下からも言われていることだから。違うことをすれば不安になる者もいるだろうし、あらぬ疑いをかける者もいるだろうからね」
「不測の事態を防ぐためにも予定通りということですね。かしこまりました」
「アリーチェ様と王太子殿下の縁を結んだのはステートだからお二人のことは特に気になるだろう。でも大丈夫。回復されるよ。僕たちは色々な毒に慣らされているから、と言っても心配はかけると思うが、僕たちはこれまで通り過ごすしか今はないと理解して欲しい」
じゃあもう夜も遅いからとアレンディードが帰るのを全員で見送りに出た。ソフィーリアの不安気な雰囲気に気づいたのかアレンディードがそっとソフィーリアの手を唇に当てた。
「驚いただろうし、怖かっただろう。でも心配することは何もない。ソフィーリアは裁判で勝つことに全力を注いでくれ。そうしている間にひょっこり回復するから」
「わかりました。アレンディード様も気をつけてください」
「こうやってソフィーリアに心配されるのって良いね。不謹慎だけど。距離が縮まった気がする」
アレンディードの言葉にソフィーリアは真っ赤になって
「不謹慎です!アレンディード殿下は私に心配をかけないでください!」
と言うとそのまま俯くことしかできなかった。
「じゃあ、来週の裁判で。それまでに王太子殿下が回復しなくても、必ず回復すると信じて裁判で勝訴して欲しい。これはもう、ソフィーリアだけの問題じゃないんだ。怯えさせるようなことを言うけど、多くの人間がこのことに関わっていて、多くの人間の今後が決まってくる。僕たちは最大限やることをやって、必ず勝たなければならない。頼んだよ。ソフィーリア」
確かにもう自分だけのことではない。メルディレン侯爵家、ルシールやレティシア。フルールとシルヴィ。そしてアレンディード殿下との今後。それから相手側。
様々な人間が関わりそれぞれの今後がこの裁判で変わってくるのだ。前を向いて、しっかり為すべきことをやり、裁判でしっかり勝つこと。
それで涙を流す人間が出てきても、自分は勝たなければならない。自分の大切な人たちを守るには流されてはいけないし弱みも見せない。それが今自分ができることだとソフィーリアは決意も新たにアレンディードの目を見つめ返した。