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【書籍化決定】万年課長の異世界マーケティング ―まったり開いた異世界広告代理店は、貴族も冒険者も商会も手玉に取る【第六回一二三書房WEB小説大賞 大賞受賞!】  作者: ぱげ
8章:新体制稼働編

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◆95話◆ゴールドベリー

 再び馬車に乗り10分ほど街道を進むと、右手に森が見えてきた。

 街道は森を迂回するように、大きく左手にカーブを描き、南西方向へ続いている。

 太一達は、街道沿いにある馬車の休憩所へと馬車を停めた。


「へぇ、簡易なキャンプ地みたいになってるのね」

「ああ。こっから先の道は、しばらく森に沿う形で続いてっから危険度が一段上がるんだ。だから、こんな感じの休憩所が所々にあってな。なるべく大人数で休めるようにしてあんのさ」

「なるほど。確かにその方が合理的だな。全員がキャラバン組める訳でも無いし」

 馬を繋ぎ再び簡易結界を作動させると、いよいよゴールドベリーが生えるという森へと足を向けた。

 

 太一も文乃も、採集のため森自体には何度も足を運んではいるが、レンベックの西にあるこの森へ来たのは初めてだ。

 また、シルバーベリーも癒し草も森の浅い所にも自生しているため、森の奥へ足を踏み入れたことも無かった。

 幸い、ワルターとモルガンは、討伐依頼で何度か西側の森へ入ったことがあったため、ワルターを先頭に森を進んでいた。

 

「この森はどんな魔物が居るんですか?」

 隊列の真ん中を歩くレイアが、隣のモルガンに声をかける。

「浅いところは他の森とあまり変わらぬ。ウルフやボアといった獣系やゴブリンやオークといった亜人系、キラービーなどの虫系などだ。奥の方へ行くと、それらの個体の上位種やレッドベアが混ざるようになる故、注意が必要だ。しかし一番気をつけねばならぬは、レッドベアの上位種クリムゾンベアだ。この森の最上位に君臨する凶暴な熊の魔物で、C級の強敵だ」


「レッドベアのさらに上位種なんですね……。そんなヤバいのがいるんですか」

「最奥から出てくることはめったにない故、ゴールドベリーを採るだけならまず遭遇しないとは思うがな」

 泣きそうになっているレイアを慰めるためか、モルガンはそうフォローする。

 

 それを後ろで聞いていた太一が文乃に話しかける。

「聞いた? 文乃さん。C級の熊が出るんだってさ」

「確か前戦ったゴブリンウォリアーがD級下位だったわね? それよりさらに上だから、相当強そうね」


「あー、あれより上かぁ。あれは相手が舐めてくれたおかげでどうにかなっただけだもんなぁ。会わないことを祈るか」

「知ってる? そういうのフラグって言うのよ?」

「そりゃ知ってるけど、流石に大丈夫でしょ……? いや、大丈夫だよね??」

 太一がジト目で文乃に見られて慌てていると、先頭のワルターから声が掛かった。

 

「リーダー! あれを見てくれ」

「えっ? ホントに!? 熊出ちゃった!?」

「は? 何言ってんだリーダー。熊じゃねぇよ。ゴールドベリーってあれじゃねぇか?」

 そう言ってワルターが指差した先は、森の中でありながら光が差し込むちょっとした広場だった。

 そこに、キラキラと光を反射する赤い実がいくつも生っていた。


「よかった。熊じゃないのか……。えーっと、森の奥の方で、かつ光の当たる場所に自生してるって話だったから、間違いなさそうだな。ちょっと摘んで確認してみよう」

「了解」

 言うが早いか、ワルターが一番手前にある赤い実を一つナイフで刈り取ると、光にかざしてみる。


「お、表面に薄っすら金色の毛が生えてるし、果物屋で見たのと同じだからこれで間違いなさそうだ」

「よし、幸先良いな。100個くらいは成ってそうだから、2/3くらい収穫していこう。ワルターさん、地図にポイントよろしく」

「はいよ」

 

 最初のポイントで60個ほどゴールドベリーを採集した一行は、そこからあまり奥へは行かず、主に横方向に探索しながら引き続きポイントを探す。

 途中、数匹のフォレストウルフやゴブリンの群れに遭遇するが、危なげなく退け、二時間でポイントを3箇所、ゴールドベリーを120個ほど採集していた。

 割と群生するようで、これでも全体の半分も採集していない。


「上々だな。もう少しすると陽も傾き始めるだろうから、今日はここまでにして帰還しよう」

「はーい。120個だと6セットだから、1500ですね! 馬車代はもう稼いでるから、丸々利益ですよね?」

 ゴールドベリーの籠を抱え、レイアが嬉しそうに言う。


「ああ。月の最低保証が一人1500だから、これを3回繰り返せば、そこから先は採っただけ給料が増えるぞ」

「そうか、そう考えると僅か1日で、最低保証の1/3稼いじゃったんですね……」

「まぁ今日が特に運が良かったのかそうじゃないのか分からないから何とも言えない所だけど……。少なくとも大分残して採集してるから、これくらいが平均なのかね?」


「あらためて本腰入れて採集してみると分かるけど、これが平均だとしたら今まで本腰入れなかったのが勿体ねぇなぁ……。まぁそのおかげで、こうして美味い話にありつけてるわけなんだが……」

 ワルターが少し遠い目で感想を漏らす。

「今日は5人だったけど、今後は3人だからな。敵を倒すのももう少し手こずるだろうし、ま、無理せずボチボチやっていこう」

 

 そんな話をしながら、森を引き返していた時だった。

 

「っ!!?」

 ワルターが突然厳しい顔で森の奥を睨みつける。

「……なんだ? 足音か、これ? それにしては数が多すぎるが……」

「どうした、ワルターさん?」

「奥から、かなりの数の足音が近づいてきてる。結構な速さだ。あと少しすりゃあ、追いつかれる」

「何が来てるか分かるか?」

「数が多くてはっきりしねぇが、フォレストボアが10匹以上いるのは間違いねぇな」


「さすがにその数は無理だ。どっちから来てる!?」

「こっちだ、右斜め前から真っすぐ来てる!」

「じゃあ俺たちは距離をなるべく離すため、右後方へ全力で退避だ! 先頭はモルガンさんとレイアちゃん、中に文乃さん、殿は俺とワルターさんで! よし、撤収!!!」

「「「「了解!」」」」


 太一の掛け声と共に、一行は一斉に駆け出した。


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