表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】万年課長の異世界マーケティング ―まったり開いた異世界広告代理店は、貴族も冒険者も商会も手玉に取る【第六回一二三書房WEB小説大賞 大賞受賞!】  作者: ぱげ
6章:異世界での起業編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/173

◆77話◆ダレッキオ辺境伯

フィオレンティーナパパ登場

「アルベルト、急ぎますよ。皆さま、お先に失礼いたします」

「はっ」

 狼藉を働いているのが、まさかの辺境伯であることが分かると、フィオレンティーナがアルベルトを伴い急いで階段を下りていく。

 驚きで固まっていた太一とクロエも、我に返ると慌ててその後をついて行った。

 

「だからワシは関係者だと言っておるだろう! 娘に会いに来て何が悪いっ!!」

「お身内の方であろうとも、お約束のある方か許可がある方以外、ここから先は入れません」

「ぐぬぬ、まだ分からぬのか。そもそもワシは貴族――」

「お父様お止めください」

「閣下、そのあたりでご自重を」


 階下を見ると、軍服のような仕立ての良い服を着た屈強な壮年男性が、職員になおも食い下がっていた。

 そこにフィオレンティーナとアルベルトから制止の声がかかる。

 辺境伯は声がした階上を見上げる。そこにフィオレンティーナを見つけると、立派な髭を蓄えた口元がわなわなと震え始めた。

「おおおぉぉぉ、フィオレンティーナ! 無事であったか……」

 そして震える声で無事を喜ぶ。

 

「無事に決まっております。そう書簡に書いたではありませんか……。そもそも無事であるから書簡をしたためたのですよ?」

 対するフィオレンティーナは、はぁ、と溜め息を吐きながら父である辺境伯を諫める。


「ギルドの皆様も申し訳ございません。父が我儘を申してご迷惑をお掛けしました。ほら、お父様も皆様に謝罪を」

 さらには、深くお辞儀をしながら迷惑をかけたギルド職員への謝罪を促す。

「ぐぬぬ、ワシはただ心配でだな……」

「ぐぬぬ、ではありません。心配していただいたことは嬉しく思いますが、だからと言って市井の方に迷惑をかけて良い訳ではありません。全く……。いつもお父様が仰っているではありませんか、貴族だろうが迷惑を掛けたら謝罪をするものだと」


「く……、皆の者すまぬ。娘が襲われたと聞き、取り乱して迷惑を掛けた」

 完全に言い負かされてぐぅの音も出ない辺境伯は、そう言って謝罪する。謝られた職員の方が困惑する始末だ。

 太一は(うわぁ、ぐぬぬ、とか本当に言う人初めて見た)と関係無い所で感心していた。

 

 流石に辺境伯とそのまま立ち話をする訳にもいかず、太一達は改めて会議室を借りて辺境伯と共にそちらに移動する。

「――そこへタイチ様が通り掛かり、アルベルトと共にオークを撃退しました。そして、怪我をしていたクラウスにご自分のポーションを使って応急処置をしていただいた上、治療のためこちらのギルドまで案内していただきました。ここまでは先ほどの書簡に書いた通りですが、さらにその後、先ほどまでギルドマスターに直接面会し、事の顛末のご報告までしていただいたのです」

 そこではあらためて、フィオレンティーナがダレッキオ辺境伯に事の次第を説明していた。

 

「そうか。タイチと言ったか、そなたは娘の命の恩人だ。本当にありがとう」

「いえ、たまたま運良く通り掛かっただけですから。頭をお上げください」

「そうはいかん。ダレッキオ辺境伯としてではなく、フィオレンティーナの父ロマーノとして、感謝してもしきれんくらいだ」

「しかし……。いえ、分かりました。ありがたく感謝のお気持ちを頂戴します」


「ああ、そうしてもらえると助かる。それとな、そんなにかしこまる必要も無い。ワシも元々冒険者だ」

「え!? そうなのですか??」

「うむ。ワシは次男でな。家督は兄が継ぐ事になっておったし、ワシには領主など向いておらんかったからな。腕っぷしには自信があったのと、領都の周りは魔物が多くてな。それで騎士ではなく冒険者になったのだ。だが、今から20年ほど前、冒険者になって10年くらいの時かな。兄が若くして病で命を落としてな……。急遽ワシが後を継ぐことになったのだ。周りに助けられて何とかやってはおるが、今でも冒険者に戻りたいと思う時があるくらいだ」

 そう言ってロマーノはガハハと笑う。

 

「ふふ、タイチよ、ロマーノはそう謙遜しておるがの、優秀じゃぞ? 冒険者としても優秀じゃったが、領主としても辺境伯としても立派に務めておるよ。領民からも愛されておるし、王家からの信任も厚い。むしろそうでなければ、敵国との国境を守る辺境伯など務まるはずもないのじゃ」

 それに対してツェツェーリエが突っ込みを入れる。旧知のロマーノが来ていると聞きつけ、混ざりに来たらしい。

 初めて太一達が会った時と同じように、いつの間にか会議室に登場して周りを驚かせていた。


「もちろん分かっています。優秀ではない方に20年も領主が務まる訳が無いですから……。ダレッキオ閣下は、どちらでツェツェーリエさんと知り合ったのですか?」

「だから固いと言っておる。ロマーノで良い。ワシがツェーリ様と知己を得たのは、冒険者時代だな。と言っても、冒険者になったのは王都ではなくダレッカ支部だったし、活動もダレッカの周辺が殆どだったから、その頃はお名前しか知らなんだ。冒険者になって5年くらい経った頃、兄上の家督相続が正式に決まってな。夏の大会議に出席する兄上の護衛として、王都まで来たのだ。ああ、ちょうど今くらいの時期だな。その時だな、ツェーリ様に初めて会ったのは」


 楽しい思い出を懐かしむかのように、ロマーノがツェツェーリエと会った時の事を語り始めた。


評価、ブックマークありがとうございます!

とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ