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万年課長の異世界マーケティング ―まったり開いた異世界広告代理店は、貴族も冒険者も商会も手玉に取る  作者: ぱげ


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◆72話◆フォロワー対策

商売、特に新ジャンルの場合、フォロワー問題は悩ましいですね。

完全に単独・独占だと、認知が低すぎて消滅する可能性があるし、増え過ぎたら埋没するし。。。

何事も「そこそこ」が一番難しいと言う

「ギャンブルの場合のフォロワーって、どんな形で模倣されるのかしら?完コピしてくるかしら?」

「ちょっと読めないよなぁ・・・頭の悪い奴は完コピするだろうし、少し気が利く奴は絵柄を替えたりサイコロじゃない物使うとか?」

「全く別の賭け事、例えばカードゲームみたいなので対抗してくるってことは?」

「ゼロじゃないけど、まぁ当面は無いと思う。それで出てくるくらいなら、もうあるだろうし」

「だとすると、類似なのが溢れたら別のに切り替える、というのが基本路線かしら?」

「うん。巨大資本投入して市場丸ごと独占、参入障壁を上げない限りいたちごっこだから、それしかないと思う」


「ただ、今後デカい商売やりたくなった時に、ギャンブルによる資金調達は切り札になる可能性があるから、あまり手の内は晒したくないんだよね。

 だから、よほど資金に困らない限り、別のギャンブルの投入は極力避けて、今の絵合わせのマイナーチェンジで凌ごうと思ってる」

「マイナーチェンジって言うと?」

「いくつかあるけど、簡単なのは2つ。

 一つは単純にサイコロの数を増やして賞金倍率を上げること。これで簡単に射幸心を煽れる。

 もう一つは、いわゆる「役」の概念を導入する事だね。同じ3つ揃いでも、ドラゴンは高倍率でユニコーンは低い、とかね。

 一つ目の数を増やすのと組み合わせれば、それだけでもしばらく戦えるんじゃないかな」

「確かにそれならすぐにでも出来るし、効果も見込めるわね」

「うん。しかもこの方法って、フォロワーの連中が万一先取りできたとしても、きっとあまり上手く行かないはずなんだ」


「どういうこと?事例を知らないから??」

「事例を知らないってのも大きな理由だけど、もう一つあって。

 まだこの世界って、数学はあまり発展していないでしょ?だから確率論とか統計学も体系化されてないんだ。

 地球でさえ、確率論をまともに考え始めたのは17世紀くらいからだし。ギャンブル自体はずっと昔からあったのに」

「なるほどね。確率とか期待値を計算しないとギャンブルの設計は出来ないから、適当にやっても大損するか客が離れるかになるってことね」

「うん。だから様子を見ながら少しずつ変えて、時間稼ぎ出来れば十分じゃないかな」

「分かったわ。ギャンブル部門はそれで行きましょ」


「じゃあ次はコンビニ部門ね。

 こっちはギャンブルと違ってパイが小さいから、早めに手を打たないとマズいわよね?」

「そうなんだよなぁ・・・。日本でもコンビニがものすごい数出来たことを考えれば、参入障壁が低いのは明白だもん。極論ただの小売りでしかないし・・・」

「オリジナル商品で差別化を図れるほど資本も無いし、品揃えを変えるのも限界があるわよね?

 ましてや早々に価格競争に持ち込むのは馬鹿馬鹿しいし」

「うん。だから、ちょっと嫌らしいやり方だけど、仕入を押さえようと思ってる」

「仕入?あぁ、独占契約を結ぶのね?」

「そそ。ポーションとか魔法具って供給元が少ないから、先行者メリットを活かして仕入数量担保による独占契約を結ぼうかと。

 供給元が多いものはやりようが無いから、供給元が少ない奴を確実に押さえる。

 まぁそれでも完全に独占は出来ないし、仕入元同士がライバル関係の場合もあるから、ある程度の競合は仕方が無いね」

「それはそうね。じゃあ、後で条件の叩きを作るからそれベースで話を進めましょうか」

「了解。で、最後が買取部門だな」


「買取なんだけど、規模拡大の話と合わせて解決するなら、自前で素材採集部門を立ち上げたらどうかしら?

 確実に儲けが出るモデルだけど、やっぱり採集に対する忌避感が強いから、売ってくれる人は少しずつしか増えそうにないでしょ?

 まぁその分競合もいないブルーオーシャンでもあるんだけど・・・。

 だったら、素材採集をメインにするグループを作って採集場所の新規開拓と情報共有をしたら、採集量も増やせるし、ソロより戦闘能力も上がるからより幅広い素材に手が出せるんじゃない?

 今の常連さんに声を掛けてみて、リーダーとかコア人材になってもらえないか頼んで、後は戦闘が苦手な冒険者をスカウトしていけば・・・」

「あー、それいいかも。戦闘苦手な層も一定数絶対いるだろうし。

 近い将来店を構えた時にも人手は欲しいから、戦闘だけに固執しない人材を今から囲っておくのはいいね。

 本当に戦えない人ばかりになる場合は、少人数の護衛役と組んでも良いし」

「でしょ?給与プラス歩合制にするか、上りの一部を貰う形にするかはちょっと悩むけど・・・」

「今後のことも考えると、給与制が理想ではあるかな。

 自分で採集して依頼達成するより実入りは減るけど、数を気にしなくて良いし、

 何より情報共有して効率上げられるのと、採集のためにパーティー組める利点は大きいと思う。

 ポイントの配分どうするかとかもう少し詰める必要はあるけど、採集部門の立ち上げは決定だね。早速明日から声かけてみるよ」

「細かい所は今日明日くらいで叩き台作るから、スカウトよろしくね」

「ほいほい。んで後は外部からの干渉についてか・・・」


「まず、直接的かつ物理的・攻撃的な嫌がらせに関しては、そうそう後れを取ることは無さそうだし、文乃さんはカウンタースキルがあるからまぁ大丈夫か。

 俺たちより強い冒険者が、わざわざ絡んでくるようなことは無いだろうし・・・

 念を押すなら、早めにもう1ランク上げて抑止力にするくらいか。今何ポイントくらいだっけ?」

「650くらいね。特別推奨が無くなったのと、討伐系を控え目にし始めたから伸びは鈍化してるわね」

「ふむ。一時的に強化期間みたいなのを設けて、一気に上げるのも検討しようか。

 でまぁ目立つのはもうどうしようもないから、諦めて早めにコネ作りだな」

「何かあってからじゃ遅いから、情報収集だけでもすぐ始めたいわね」

「貴族がどれくらいいるかも分からないし、統治の制度がそもそも分からんからなぁ。やっぱギルマスに話を聞くしかないか」

「そうね。あ、貴族と話をするなら、手土産も必要になりそうよね?」

「まぁ誰とも知らないヤツと手ぶらじゃ会ってはくれんわなぁ・・・

 美味しい情報か儲け話、珍しい品物、この辺がセオリーだけど、何が一番効果的かは、調べてみないと分からんな」

「品物は何か作れないか考えた方がいいわね。手土産目的だけじゃなくて、独自商品が作れれば商売も楽になるし」

「ちょっと俺の方で考えてみるわ。文乃さんは独占契約の条件詰めと採集部隊の素案作りがあるでしょ。

 俺の方は独自商品含めた交渉のカード作りと、コア人材のスカウトを進めてくよ。貴族・有力者に関する情報収集は二人でやろうか」

「分かったわ。もうお昼近いし、お昼を食べたら私は夜の部まで叩き台作るわね」

「了解。俺は午後からギルマスのご機嫌伺いにでも行ってくるよ」

「じゃあ、また夜の部で」

当面の課題とその解決案をまとめた二人は、午後から早速それぞれに行動を開始するのだった。


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