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【書籍化決定】万年課長の異世界マーケティング ―まったり開いた異世界広告代理店は、貴族も冒険者も商会も手玉に取る【第六回一二三書房WEB小説大賞 大賞受賞!】  作者: ぱげ
5章:放浪者(フローターズ)始動編

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◆53話◆依頼物色

 手早く食事を終えた二人は、冒険者装備に着替えてギルドへと向かった。

 太一は、ソーラーパネルをモバイルバッテリーに繋ぐと、日当たりの良いベッドの上に置いておくことも忘れない。


 二の鐘で起きて朝食を摂ってから出て来ているので、地球基準にすると9:30頃になるだろうか。

 朝のピーク時間を過ぎているからか、昨日より冒険街の道は空いている気がする。

 道すがら店の商品を横目に見ながら冒険者ギルドへ辿り着くと、そこも昨日の昼に来た時よりも空いていた。

 

「この時間は空いてるわね。やっぱりピークはもっと前なんでしょうね」

「だなぁ。依頼が貼られるタイミングとか含めてちょっと聞いてみるか」

 太一はそう言いながら依頼カウンターにいる知り合いの所へ歩いていく。


「おはようカミラさん。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」

「あ、タイチさん。おはようございます! はい、今は手も空いてますし大丈夫ですよ」

「ありがとう。その手が空いてるってのにも絡む話なんだけどさ、ギルドが混む時間っていつ頃なのかな? 何となく朝一が一番混んでそうな気はしてるんだけど」

「そうですね。日帰りの方はやはり早めに出られる方が多いので、一の鐘の少し後くらいから混み始めますね。で、二の鐘が鳴る頃にはピークは過ぎている感じです」


「やっぱりか。その日の依頼っていつ頃張り出されるのかな?」

「一の鐘が鳴ったら、貼り出し作業を開始しますね。日にもよりますけど、半刻くらいで貼り終わります」

「そうなると、その時間帯は依頼の取り合いになるのかい?」

「いえ、今は取り合いにはならないですね。昔は、仰る通り早い者勝ちだったので取り合いだったんですが、質の悪いのが、新人とかソロの冒険者を脅して、割の良い依頼を独占するようになってしまって……。それ以来、朝一の依頼だけはクジ引きで選ぶようになったんです」

 

「クジ!?」

「はい。一の鐘が鳴ってから先着200パーティーまで、パーティ単位でクジを引いてもらいます。クジには1~50までの数字が書かれたアタリと、何も書いてないハズレがあります。で、アタリを引いたパーティーが数字の順に依頼を選ぶんです」


 アタリを引いたパーティーが選び終わったら、そこからは早い者勝ちとなるが、取り合いになるような依頼は、多くて精々20というところなので、早い者勝ちと言っても割と落ち着いたものらしい。


「はー、なるほどねぇ……。ドラクエかiPhoneか?」

「ドラクエ?? って何ですか?」

「あー、ごめん。何でもない」

 地球でも時折あった大人気商品のお祭り騒ぎを思い出した太一が思わず呟く。

 

「今日はもう人気の依頼は貼られてないから、明日は早起きしてどんな依頼があるかだけでも確認したいわね」

「確かに。受ける受けないは別にして、確認はしたいね。さて、じゃあ現時点でどんな依頼があるか見てみようか。この時間に残ってる依頼でも、俺らにとって良いのがあればそんな早起きしなくてもいいことになるし。 カミラさん、ありがとね」

「いえいえ。あ、ついでなので簡単に掲示板の説明しましょうか? 初めてですよね?」

「あ、じゃあお願いしてもいい?」

 掲示板の説明をお願いすることにして、2人はカミラと共に掲示板へ向かう。

 

 依頼が貼られているのは、1面が横5mx高さ2mほど、それが三角柱状に組み合わさった巨大な掲示板だ。


「この掲示板は3面に分かれています。分かりやすくするために、1面ごとにざっくりとした内容別に分けて張り出してるんです。一つは討伐系とか護衛系なんかをまとめたものです。戦闘を伴う物って感じですね。通称“戦闘系”って言われてます。二つ目が、採取とか採掘、輸送なんかをまとめたもので、“調達系”って言われてるものです。モンスターの素材調達は戦闘系と微妙だったりしますが……。で、最後がそれ以外の調査とか手伝い系をまとめた“特殊系”って呼ばれるものです」

 掲示板をゆっくり一周しながらカミラが説明してくれる。


「基本的に、1依頼が1枚の紙になっていて、引き受けたい依頼があったらその紙を持って受付に来てください。1つの依頼が1パーティでは難しいと判断されたものは、必要パーティー分だけ紙が発行されますので、重ねて掲示されています。大規模な討伐依頼とか護衛依頼なんかで良くあるパターンですね」


「ありがとう。じゃあちょっと依頼を物色させてもらうよ」

「はい、ごゆっくり!」

 良い笑顔を残してカウンターへ戻っていくカミラに礼を言い、太一達はあらためて依頼張り出しの掲示板へ目を向けた。

 

 ピークを過ぎたとは言えまだ午前中の早い時間なので、結構な人が集っている。

 掲示板を見てみると、横10cm縦20cmくらいの紙がびっしりと貼られており、新しそうな白い紙に書かれた依頼から、何時からあるのか色褪せたものまでが無秩序に並ぶ様は圧巻だが非常にカオスだ。


「これだけ数があると、何があるか把握するだけで1日終わるなぁ」

「そうね……面ごとに大まかなジャンルは決まってると言ってたけど、掲示板内は混沌としてるわね……。せめて古いのから詰めたりしてればいいんだけど、剥がして空いたとこから貼ってる感じよね、これ」

「なんか独自ルールと言うか暗黙のルールがあるような気もするけど、すぐには分からんな」


「ま、慌てる必要も無いんだし、ひとまず見てみましょうか。えーーっと、ここは戦闘系ね」

「どれどれ。んー、古い紙は殆どないし、消化率高そう。やっぱ冒険者は血の気が多いのかねぇ……。あー、底なし沼でヒュドラ退治とかキラースパイダーの群れとか、ヤバそうなのが塩漬けになってるのか」

「この時間だと、討伐系の目ぼしいのは期待薄ってことかしらね」


「討伐対象だけなら、ゴブリンとかコボルトとか小物も結構あるけど、残ってるってことは報酬が釣り合わないのかねぇ……。村とか農園とかからの依頼だけが残ってるし」

「そんな感じね。これ、討伐対象が常設依頼と被ってるのって、報酬も両方貰えるのかしら?」

「どうなんだろ? さくっと聞いてくるから、文乃さんは引き続き依頼見てて」

「分かったわ」

 

 カウンターへ聞きに行った太一が、ものの数分で戻ってくる。


「この報酬額に含まれてるみたい。正確な流れは、依頼者は常設報酬を除く費用を前金として用意して依頼を出す。で、依頼完了の証として冒険者が依頼者に討伐部位を納めて、冒険者は完了証明を受け取る。冒険者はそれをギルドに納めて報酬を受け取る。で、依頼者は期日以内にギルドに討伐部位を納める。期日以内に討伐部位を納めないと、常設報酬も依頼者が支払うことになる、って感じ。ただ、最後の討伐部位の納入は、依頼達成した冒険者にそのままお願いするのがほとんどみたいだね。ほら、この紙に〇納ってスタンプがあるじゃない? これが付いてるのは、冒険者が納める必要があるって目印だってさ。いやぁ、聞いといてよかったよ。知らなかったら常設報酬を引いた金額になるとこだった」


「なるほどねぇ……。こういう細かいルールはいっぱいありそうだから、気をつけないと駄目ね」

「うん。どの世界も契約書はしっかり読まないと駄目ってことだ」

 神妙な顔で頷き合う二人。


「で、そっちはどう? よさげな依頼あった?」

「微妙なとこね。そもそもゴブリンとキラーラビット以外は、見たことすらないから難易度も分からないし……。あ、楽そうなのに残ってるやつ、あれは多分報酬が安いか現地までの移動が手間なやつが大半ね。距離とか地形的に大変とか、そんなのが多そうよ」

「移動かぁ。まぁ徒歩が基本で、使えても馬か馬車なんだから、移動が大変なのが敬遠されるのは当たり前か。のんびりやるなら別に悪手って訳でも無いし、ひとまずやってみるだけなら問題無いか」


「そう思うわ。移動にも慣れる必要があるし、移動に関する課題は商機に繋がるヒントにもなりそうだし。少なくとも最初のうちは、食わず嫌いせずに候補に入れておくべきね」

「おっけー。日帰りできそうなのが残ってないか、あとでカミラさんに聞いてみよう。この時間に残ってるんだからそうそう無くならないでしょ。保留しておいて、他の依頼も確認してみよう」

「分かったわ。じゃあ次は調達系を見てみましょうか」


 ひとまず戦闘系は保留しておき、2人は調達系の掲示板へと移動することにした。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ソーラパネルとモバイルバッテリーをベッドの上に置いてますが、掃除とかこの宿屋はしないのでしょうか?するとしたら、異世界の見慣れない物がベッドの上にあるのは不味いと感じました。
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