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好きだからこそ…。  作者: 楼飴
1/1

1話

 


『好きだからこそ、私はあなたの前から姿を消しましょう…。』








 好きになった方が負けだ。なんて誰の言った言葉だっただろうか…?

 今目の前で起きている事態に対して冷静とは言いきれないけれどそんなことを考えるくらいにはまだ心に余裕があるのだろう。

 今生きているこの世界に転生したのだときちんと理解したのは6歳の時、きっかけは婚約者となるであろう御方とお会いすると父に言われてお会いしに行った時にふとそれまで何となく違和感を感じていた理由を思い出した時だ。

 そう、私には前世の記憶がある。前世で私はフリーターでいろんな所で働きながら趣味でネットで小説を書いたり友人に頼まれて絵を描いたりしつつそれなりに夢を探し求めながら充実した生活をしていた。

 まあ、フリーターってだけでだらしない様に見えるかもしれないがニートとはまた違ってまだマシだとは思うけどね(笑)

 そんなことは置いておいて、そんなそれなりに充実した生活を送っていたある日…昔からずっとみんなが言うような恋愛感情を誰かに持ったことが無く一時期その事に悩んでいた時にボーッとしながら歩いていたら居眠り運転のトラックに轢かれて呆気なく死んだ。まだ23歳でまだまだやりたい事や会いたい人達も沢山いたのになと思いながらもうそれもできないことに記憶が戻った当初は哀しく思ったりもしたが、それ以上に自分の現在の状況に絶望した。

 何故ならこの世界は前世でやったことのある乙女ゲームにとても酷似していたから、そしてその乙女ゲームの中で唯一の悪役である令嬢に転生したから。


まあ、いわゆる悪役令嬢というやつだ。


感情は無くてもその役になりきる事で感情を手にすることは昔からできていた…まあ、だからどっぷりとオタクの道に進んだとも言えるが…(笑)

話を戻そう…。そういう訳で転生したとわかった時にその悪役令嬢の役になりきることは容易にできた。っと言っても虐めたり裏でコソコソしたりするのは嫌いだったからそういうのは一切しなかったが、婚約者様に会った時には普通に恋をした。

この感情が役としての感情なのか自分自身の感情なのかは一切判断がつきはしなかったが、それでも好きになってしまったのは事実だった…。

幼少期は婚約者様の気を引きたくてとにかく必死だった。相手の予定を聞いて暇な日には遊びに行ったり稀に来てもらったりしながらとにかく一緒に居れる日はずっと傍に居たくらいもう本当にしつこいくらいベタベタしまくってた。

それである程度歳を重ねて13歳くらいの時にこのままでは嫌われると思い、それまでも勉強を頑張ってはいたがそれまで以上に彼の隣に相応しくあるようにと努力を重ねた。彼が訪ねてこなければ会わないほどに。まあ、訪ねてきた時も昔のようにベッタリついていた訳では無いがさり気なく傍に居るということはした。

そして15歳になって学園に通う事になった日そう、それは乙女ゲームの始まる時期でもあった。その日の朝、彼とヒロインは出会ったのだ。本当にベタな展開を繰り広げていたよ。道に迷ったヒロインをさり気なくエスコートしながら講堂まで連れて行きサッと直ぐにそばを離れ彼は生徒会長であった為、入学祝いの挨拶をしその日はフェードアウト。

ヒロインは惚けた顔で彼を見ていたし、彼もヒロインの方を見てニコッと笑ったりしていた。ヒロインのすぐ近くに居た私は当然無視されましたが、気にしません。それからしばらく経ってのこと、ヒロインと彼の仲が良さげだという噂も聞き流した。だって束縛して嫌われたくはなかったから…。


それが正解だったのか、或いは間違いだったのか…今はもうどうにもならない過去のことだから気にしても仕方が無い。

それでもその結果が今目の前で起きている出来事なのだと言うのは理解出来た。

今目の前でって言っても距離は結構離れているが、中庭にある東屋で彼らは抱き合っていた。いや、角度的にハッキリとはわからないが恐らくキスをしているのだろう…。

普通なら直ぐにでも引き剥がしてどういう事かと問い詰めるところなのだろうが、それを見てたっぷり1分近く固まって私はその場から去ることにした。


もう全てどうでも良くなってしまったのだ…恋心さえ元から無かったかのようにね。

だって普通なら嫉妬するだろうし怒りだって出てくるはずだ。というか普通ならそうなのだろうけれどそれよりも哀しみの感情が押し寄せてきて怒りを感じなかった。哀しいということは好きだという感情が無くなったわけではないのだろうけど…自分を見てくれない好きな人を見続けるのは辛いし、何より好きな人には幸せで居て欲しいから…。


午後の授業は担任に体調が悪くなったと言って早退させてもらい昼休みが終わる前に寮の自室に戻ってきた。

そこからはとにかく早かった。

哀しむのは後からいくらでも出来る。そう自分を押さえ込んでとりあえず、父に婚約解消の手続きをして欲しいことと暫く姿を消すことを書いた手紙を送り、引き出しに閉まっていた日記の最後のページに『好きだからこそ、私はあなたの前から姿を消しましょう…。』と書き残し元の場所へ戻し、身支度を整え、記憶が完全に戻った時から練習していたテレポートを使い国境付近のそれなりに発展している街に飛んだ。そこで冒険者登録をし、身分証としてギルドカードを手に入れた後すぐに国境まで行き検問を通って国境を越え、2日ほどで隣国の1番最初の街に着いた。




まだ登場人物の名前を考えていなくて、ネーミングセンスのない自分で何とかなるのかと試行錯誤中です(; - ω - `A)フゥ...

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