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吾輩は猫のYouTuberである  作者: 灰庭論
現代猫 編
6/18

6 人気猫動画の研究

 ある日の夜、タカカズが吾輩の自室兼撮影スタジオにノートパソコンを持ち込んで、人気の猫動画を観て勉強を始めた。


 タカカズのお気に入りは、「ぷにまる日記」という、独身男がホワイトにグレーが混ざったスコティッシュフォールドの猫と共同生活をしている動画であった。


 登録者だけで三十万人を超えており、動画をアップすると、すぐに万越えの再生数を記録するという、お化け動画である。


 可愛らしいアイコンもることながら、やはり強みは毎日更新していることであった。多い時で日に二回も更新する時がある。


 また、投稿した動画の本数が三百本を超えているのに、ぷにまるは常に新鮮な表情や、やんちゃな仕草で、見る者を楽しませるのであった。


 正直、勝てないと思った。


 同じ猫のユーチューバーとして、負けを認めざるを得なかった。吾輩でもカワイイと思うのだから、人間ならばイチコロだ。


 吾輩の場合、どうしてもカメラを意識してしまい、緊張で硬くなってしまうのである。


 レンズの向こうに見ず知らずの視聴者がいると思うと、単純に恥ずかしくなってしまうのだ。


 その点、人気ユーチューバーのぷにまるは、始めからカメラがないように、素を見せることができているのである。


 つまり演者としての、格の違いを見せつけられているというわけだ


 キャットタワーのハンモックで休んでいるところ、急にカメラを向けられても、動じないどころか、面倒くさがらずに飼い主の相手をしてやるのが、ぷにまるである。


 吾輩と、ぜんっぜん、違うのだ。


 飼い主が出掛けようとすると、玄関までついてきて寂しそうな視線を送るのだが、それが演技ではなく、自然なのである。


 吾輩には、それができぬのだ。


 また、飼い主の帰りを出迎える時も、本当に嬉しそうで、誰が見ても相思相愛であることが分かるのである。


 正直、吾輩には、無い感情だ。


「すんげぇ、プレゼントもらってるよ」


 タカカズが観ているのは、視聴者から送られてきたプレゼントの開封動画であった。


「人気が出ると、こういうことがあるんだなぁ」


 それを不人気ユーチューバーの吾輩に当てつけるように漏らすのだった。


 こんな飼育係と、信頼関係が結べるだろうか?


 答えは、いなである。


「ちゅーる、五百本?」


 !


 カニ味?


 なんだ、カニ味って?


 ちゅーるにカニ味なるものがあるのか?


 ちゅーるにササミとマグロ以外の味があったとは知らなかった。人気者になると、そんなものまで食べられるようになるということか。


 ……。


 ……、……。


 うむ。


 吾輩もユーチューバーとしてデビューした以上、いつまでも照れてる場合じゃないのかもしれない。


「よしっ」


 そこで吾輩に呼応するように、タカカズが気合を入れた。


「次はこれをパクるか」


 頑張ろうと思ったが、これが吾輩の相方であることを忘れていた。

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