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吾輩は猫のYouTuberである  作者: 灰庭論
現代猫 編
2/18

2 ママさん

 吾輩のご飯を用意してくれるのはタカカズではなく、ママさんである。ママさんがいなければ、不幸な一生を送っていたことだろう。


 毎日欠かさず用意してくれるので、そのご褒美として、キッチンで立っている間、すねの辺りをスリスリしてあげることにしている。それが孝行というものだからだ。


 タカカズもママさんにご飯を用意してもらってるくせに、ご褒美を与えるということが一切なかった。感謝もしなければ、ありがとうの一言もないのである。


 吾輩の方がよっぽど近藤家の跡継ぎに相応しかった。


 ママさんは家の仕事を終わらせると、リビングでドラマや映画を観るので、吾輩もソファで一緒に寛ぐのが日課であった。


 その際に、日頃の感謝を込めて、ママさんにだけモフモフさせてあげることにしている。ご褒美を得るに相応しい働きをしてくれているからだ。


「よし、トラ、撮影するぞ」


 そんな幸せな日常をぶち壊しにするのがタカカズであった。両脇をロックして拉致されると、吾輩としては何もできなくなる。


 連れ去られた場所は、三階の撮影スタジオであった。監禁されるので、脱出は不可能だ。


「では今日も、ちゅーるを食べさせてみたいと思います」


 唯一の再生数三桁動画ということもあり、タカカズはネタに困ると、ちゅーるに逃げる癖があった。


「欲しがってますね」


 バカめ。食いつき良く見せて、好物だと思わせるためではないか。


「今日は、ささみです」


 は? 今日は、まぐろのはず。


「僕も魚よりカラアゲの方が好きですからね」


 またしても致命的ミス。自分の好き嫌いで、吾輩のローテンションを崩しやがった。


「おお、今日もスゴイ食べっぷり」


 それはバカな飼育者に飽きたと思わせてはならないからだ。


「あっ」


 床に溢しやがった。


「やっべ」


 へたっぴめ。


「ハハッ、床を舐めてますよ、意地汚いですね」


 なんたる言い草。


 なんたる恥辱。


 己の失敗を反省せず、リカバリーした吾輩を笑いやがった。


「食いしん坊ですね」


 やはり殺すしかないようである。


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