10 吾輩、逆ドッキリを仕掛ける
下ネタが苦手な方は飛ばしてください。読まなくてもストーリー上、何も問題はありません。
日曜日は動画の撮影日ということで、タカカズが朝から張り切っていた。撮影場所は、いつものように吾輩の自室兼撮影スタジオである。
前にも説明したが、部屋の中にはタカカズが段ボールで自作した寝床と中古のソファしかない。
まさにオス猫の一人暮らしといった佇まいであるが、あまりにも殺風景なので、吾輩も留守にすることが多かった。
最近は長男長女が自分の部屋に引きこもることが多いので、ママさんが寂しくならないように、吾輩が傍にいてあげるようにしている。
話が逸れたので戻すとしよう。
今回の撮影は、どうやら吾輩に「かりんとうドッキリ」を仕掛けるようである。
かりんとうドッキリとは、猫動画の定番のネタで、飼い主がウンチに似たかりんとうを食べることで、猫が不思議そうな顔をするという、騙し企画のことだ。
吾輩は他の猫と違って、ぷにまる動画の視聴者でもあるので、タカカズがかりんとうを用意した時点で、企画の意図を見抜いてしまった。
これではドッキリにならない。
そこでチャンネルを盛り上げるために、タカカズに逆ドッキリを仕掛けることにした。
いつもカメラのセッティングに時間が掛かるので、その間に、皿に盛られた、かりんとうの中に、吾輩のウンチを混ぜてやった。
うん
準備ができた。
タカカズの方もスタンバイができたようである。
大丈夫、気付かれていない。
床に座った状態で、撮影スタート。
「今日はトラにドッキリを仕掛けてみたいと思います」
吾輩を撮るのに夢中だ。
「かりんとうを用意しました」
と言いつつ、中身を空けた袋をカメラに映すのだった。
「かりんとうを食べると、飼い主がウンチを食べてると思って、猫が驚くみたいなんですよね」
カメラを回しながら、皿を引き寄せる。
「早速、食べてみたいと思います」
興味津々といった感じの芝居をすることにした。
「あっ、うまっ」
食べたのは普通のかりんとうだ。
そろそろ気づくか?
「久し振りに食べたけど、メチャクチャうまい」
勢いよく、つまんでいく。
そのまま、吾輩のウンチも口に放り込むのだった。
「うん?」
手が止まり、袋を確認する。
「なんか、違うの入ってた」
それは吾輩のウンチだ。
「あっ、見てください」
タカカズがカメラを回し続ける。
「トラが引いてますよ。ドン引きしてます」
お前がウンチを食ったのだから当たり前だ。
「ドッキリ成功ですね」
いや、大成功である。




