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異世界で好きに生きていいと言われたので、3つの願いをした  作者: 猫丸ストレート
第1章 3つの願い編
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第7話 幼年期編

7歳になった。学園は春から始まる為、家で過ごす最後の冬である。


4歳のあの日から、父アルスと共に狩りに出かけるようになった。父に認められ、父の判断に任せるように魔物を狩っていった。


当然そこで大活躍なのが時空魔法の収納である。いくら重たい魔物で入れられる上限はあるにしても、1日の狩りで満タンになることはあり得なかった。その為、アルスと共に狩りに行く時間は増えていった。


「父さん。今日のお目当ては?」


シオンが父に尋ねる。


「そうだなぁ・・・今日はレイクタートルを狙ってみようかなと思っている」


レイクタートルはその名の通り森の湖に生息する亀形のモンスターである。その甲羅は固く、鋼の剣でも切り裂くのは難しい。鉄の剣に至ってはまず折れる。


冬の間だけ水辺に出てきて卵を産み、そして帰っていくのである。



その水辺に出てきたときのみ討伐するチャンスがある。水の中に潜られてしまうと討伐はほぼ不可能になってしまう。


冬の水の中である。物理攻撃はおろか魔法でも難しい。


アルスについて水辺に行く。


「足跡はあるようだ。出てくる季節になったのは間違いない。少し待ってみよう」


結局この日は午前中待ってみたものの、見つけることはできなかった。


その為、他の魔物を狩って持ち帰った。イノシシ種のレッドボアである。アレスがおびき寄せたところをシオンが横からウインドカッターで倒した。


レッドボアはDランクのモンスターであるが、アレスはあっさりと捌いていた。


後で聞いた話だとBランクの冒険者らしい。一時Aランクの推薦もあったらしいが、リディアと結婚を控えていた為、断ったらしい。


それって勿体なかったのでは?と思いアルスに聞いてみたところ、


「Aランクになると色々しがらみがあるからね」


とあっさりした答えが返ってきた。確かに給料より休みがいいよね。



後日同じ湖にレイクタートルを探しに行ったところ、ついに発見した。


アレスが攻める前にレイクタートルが逃げると思われる水辺に対して、ファイアの魔法で逃げ道を塞ぐ。逃げ道を封じられたレイクタートルはアレスに突進していった。剣でいなすが衝撃が酷く、


「さすがにこの重量と硬さはきついな。シオン手伝ってくれ!」


それを聞いて完全に陸に上がったレイクタートル目掛けて土魔法を使う。


「アースニードル!」


地面から石でできた槍がレイクタートルを襲う。さすがに弱点である腹を攻撃されてダメージを受けているようだが、倒れない。そこに回り込んできたアルスが首元に一太刀入れ・・・ついに力尽きた。


「シオン助かったぞ。今日はこいつを使った鍋にしよう」


これでしばらく良い食事ができる。


4歳になる前に妹が生まれ、5歳になる前にも弟が生まれた。妹はリースといい弟はレインという。家にいると構ってほしいのか、背中に乗っかってくる。


リースはかなりお転婆で走り回り、レインはそれに振り回されて良く泣いている。


そんな妹弟の為に今日はいい魔物が取れた。




その帰り道、父であるアルスにこう言われた。


「お前は来年から学院に入学する。しっかりしているが、無茶だけはするなよ」


そう言って頭を撫ででくれた。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



時期は春。シオンは8歳になり、学園に出発することとなった。


寮に入ることになるため、着替えのみ多めに持ち準備を整えた。


収納魔法があるため、偽装したカバン1つ程度なのだが。


馬車が来るまでに母リディアには何度も持ち物を確認され、妹弟には行っちゃやだと泣かれ・・・何とかお土産を買ってくると物で釣り・・・


そして父からは・・・


「これをお前に譲る。きっとお前を守ってくれるはずだ」


アルスが渡してきたのはミスリルのショートソードで、よく見ると柄の部分に家紋が入っていた。アルスの家で受け継がれてきたものだろう。


中古とはいえ刀身は磨かれていて、これ1本で家族が数年は働かずに済むものだった。とんでもない物を譲られた為、アルスの顔を見ると笑っていた。そしてこう言った。


「シオン。お前ならそれを使ってもっと大きなことが出来る。期待しているぞ」


そうこうしているうちに馬車が到着し、惜しまれながら大きな町であるエウリーにシオンは旅立っていった。


後で荷物を確認したところ、金貨が3枚分かるところに入れられていた。これは母さんだろう。



これは・・・好きに学園生活をおくるつもりではいるが、やることはやらないとな。そう心に決めるのだった。





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