第6話 幼年期編
4歳になった。今まで通り両親に内緒でこっそりスキル上げをしてきた。
しかしバレた。
父アルスと森に狩りに行ったときに、森に入らないように念を入れて注意された為、索敵魔法を使い、父の目を掻い潜り、こっそり狩りを行っていた。
念には念を入れて、絶対隠蔽を使いバレないようにしていた。そのはずだった・・・
敗因・・・時間切れ。
思いのほか早くアルスが狩りを終え、入り口に戻ってきたときに、シオンはその場にいなかったのである。
獲物を狩るのに夢中で、索敵範囲から父の場所が外れてしまった。頭は大人のはずだったが、集中するとのめりこんでしまう性格までは変わらなかった。
「シオン・・・どこにいっていたのかな?」
普段怒らないアルスが怒っていた。これは下手な言い訳は出来ないと思い、素直に謝った。
「約束を破って森で狩りをしていました。ごめんなさい、父さん」
そう言われても簡単には信じることが、父アルスにはできなかった。その為、空間魔法の中に入れていた魔物を何匹か取り出した。それを見てアルスが驚いた顔をした。
「これは・・・ブルーラビットの他にグレーウルフ?まさか・・・」
ブルーラビットは最下級のFランク冒険者でも簡単に狩ることが出来る。
角の突進攻撃さえ避ければいいのだから。ただしグレーウルフはそうはいかない。
Eランクの魔物とはいえ、群れで行動する時もあるため、うっかりするとDランクの冒険者でも手こずる場合がある。
動きも俊敏で匂いや聴覚も優れているため、下級者殺しとも言われているぐらいである。しかもそれが2体である。
これはおかしいとアルスは思った。それに先程どこからこれを出したのかと。
その辺りも答えないといけないようだったので、的確に答えた。さすがに自動防御と絶対隠蔽、索敵魔法のことは黙っておいた。
「さっき取り出したのが収納魔法・・・空間魔法です。あとはこっそり近づいて僕の風魔法で倒しました」
アルス優秀な冒険者だ。魔物の倒された切り口などを見れば、どう倒されたのかは大体わかる。それでも納得できなかったようで、風魔法を見せてほしいを言ってきた。
シオンは威力を落として風魔法を近くの木に向かって放った。
そしてシオンは失敗した。威力を抑えたのは確かだが、3歳の当時の風魔法スキルLVは2だった。
今はLV5になっている。抑えて放ったとはいえ・・・LV3で放ってしまった。
その結果・・・前の木が真っ二つに切れ、音を立てて倒れてしまった。
アルスは茫然としていた。それもそのはず、Dランクの冒険者で風を操る魔法職並みの魔法をわずか4歳の子供が放ったのである。
それを見てアレスは、すぐに家に帰る為に馬にシオンをのせ、家に向かっていった。勿論収納魔法から出した魔物は持ち帰った。
名前:シオン
職業:???
爵位:無し
年齢:4
LV:12
HP:20(70)
MP:30(910)
腕力:8(28)
防御:6(25+90)
俊敏:6(25)
知力:15(270)
幸運:5(20)
固有スキル:自動防御LV3、空間魔法LV4
固有スキル:絶対隠蔽LV2
スキル:初級魔法(火)LV3、初級魔法(水)LV3
スキル:初級魔法(風)LV5、初級魔法(土)LV3
スキル:★索敵魔法LV10
スキル:中級魔法(風)LV1
帰りの道中スキルについて考えていた。自動防御は30の倍数で上昇するようだな。ただ自動防御のヘルプには強度が上がるとしか書いていない・・・
これは途中で上昇率が変化するんだろうか?それと耐性90ってどんなもんなんだろうな。グレイウルフ5体の攻撃を3分ぐらい防いでたんだが・・・
後は、時空魔法は収納が800キロまで可能になった。大きさに今のところ制限はない。ただし、生き物は入れることが出来ない。
家につき、アルスはシオンを降ろし、すぐにリディアに相談するために走っていった。
類まれなる才能があると説明し、それを発揮させる為に学園に入れようという話になった。
母であるリディアも最初は信じられないと話していたが、試しに放った風魔法と、収納魔法から出したグレイウルフを2体見て納得してくれた。
学園へ通う資金になればと思い、貯めておいたグレイウルフとブルーラビットを纏めて数十匹を取り出したところ、母が倒れた。
父も唖然としていた。アルスは正気に戻ると、リディアを家に運んで寝かせた。
その後、取り合えず数回に分けてから、冒険者ギルドに持っていくことになった。
おかしい・・・親孝行したはずなんだけどな・・・