第2話 神界編
ルシフェルは剛を送り出した後、一息ついていた。
「何とか無事に異世界に転生していってくれて助かった。スキルもたった3つだしね・・・まぁ最後に揉めてすこし付け足したけども・・・」
なぜあんなに異世界に早く飛ばそうとしていたかというと、ルシフェルが手続きを間違えたせいだった。
本来弱っていたとは言え、死なない予定だったものをうっかり殺してしまったのだ。無理もないといえば無理もない。
上司である神ゼウスに報告せず、こっそりと証拠を隠滅したのだ。まさに命のマネーロンダリング状態である。
「さて・・・いつものお仕事にもどりますか・・・ね?」
振り向くとそこにはいるのがあり得ない人物が立っていた。まさに噂の人こと神ゼウス。
「ずいぶんおかしなことを話していたが・・・当然説明があるんだろうな?」
神ゼウスがあまり見せないような顔で睨んできた。普段怒らない分恐ろしい。
「これは・・・その・・・手違いというか・・・」
ルシフェルは慌てて言い訳を考えようとするが、見られていた為どうにもできなかった。
「お前は減給だ。それと・・・スキルを与えたと思うが、絶対隠蔽だと?お前はあれがどれだけまずいスキルかわかっていないのか!最大値まで鍛え上げられたら使用時には神の目すら欺けるものだぞ。私ですら大まかの場所しか掴めん。全く厄介なことをしてくれたものだ」
神ゼウスはルシフェルを怒鳴りつけた。
「あともう1つある。ルシフェルよ・・・先程の転生者にLVのリミッターを掛け忘れたな?」
それを聞いてルシフェルは確認する。
「いえ確かにリミッターは掛けたはずです!・・・掛けた・・・ああああ!」
ルシフェルが悲鳴をあげる。なぜならスキルにはリミッターが掛けられていたが、LV上限にはリミッターを掛け忘れていたのだ。
「お前はしばらく休みなしで働け。当然残業代も休日出勤の手当ても出さんからな」
部屋を出た後、ルシフェルの悲痛の叫びが木霊した。
神ゼウスは自室に戻りながら独り言を呟く。
「既に送ってしまった現状では、あの転生者のスキルをはく奪などはできない。すでに授けてしまったスキルだからな・・・さてどうしたものか・・・ならば取り合えずこちらの監視のしやすい場所に送るしかないな」
ルシフェルが送った魂の送り先を変更するのだった。