第28話 卒業試験編
まずシオンは収納の中にあるもので、換金できるものを処分しようと考えた。これからは路銀も収納のスペース管理も重要になる。
一度冒険者ギルドを出たが、食料などを買い込んだ後に、シオン達は戻ってきた。
中に入ると、先程までごった返していたのとは打って変わって、閑散としていた。
これ幸いとばかりに、ギルドのカウンターに行き、素材を買い取ってもらいたいとシンディに相談する。
そうすると、ギルドの素材専用の買取り場があるから、案内してあげると連れて行ってくれた。
場所はギルドの裏手にあるので、中から繋がっている。
「ここだよ。ちょっと待っててね。今責任者のレジーナさんを呼んでくるから」
そう言って、シンディは責任者を呼びに行ってくれた。少しすると戻ってきて、シオン達のことを紹介してくれた。
ギルドマスターからも、目を掛けられているということも添えて。
レジーナは顔に傷があるウェアウルフの獣人だった。シオン達を見て、ついてこいと促し、買取りカウンターの方に入っていった。
シンディもシオン達が何を持ってきたのか気になったのか、ついて来た。
「この辺りに狩ってきた魔物を出せ。買取りできるか確認してやる」
そう言うので、収納魔法の中にいる魔物を取り出した。
「ドサドサドサドサー!」
「おいちょっとま・・・うわぁぁぁぁ!!」
「キャー!!!」
最初のはシオンが収納から取り出した魔物の音である。次にレジーナの静止を求める声?が上がり、
最後にシンディの悲鳴が上がった。
リシアは知っていたので、声は上げなかった。
「どれだけ持ってきたんだお前はぁぁぁぁ!」
出せと言ったから出したのに、なぜか怒られた。
取り合えず落ち着いて来たのか、鑑定を始めた。さすがプロである。シンディは端の方に行って座って休んでいる。刺激が強かったようだ。
「取り合えず・・・シルバーフォックスの毛皮と、レッドボアの肉、あとは・・・グレイトベアーだと!?しかも丸々が9体!?・・・ちょっと待て・・・お前これをどこから出した!?」
特に秘密にもしていなかったので、空間魔法が使えることを説明する。そして収納している間は時が止まり、劣化しないという事も伝えた。
「確かに状態はいい。倒してからすぐ血抜きもしている。これなら買い取れる」
そう言って、再び勘定を始めた。量が量なので、1時間ほど待たされた。
その間にシンディは少し気分が良くなったのか、フラフラとギルド本館の方に戻っていった。
「待たせたな。まずシルバーフォックスの毛皮だが、1匹に付き銀貨20枚だ。次にレッドボアの肉だが、これは1頭に付き金貨1枚。最後にグレイトベアーだが、これだけ状態が良ければ、1頭金貨5枚で買い取らせて欲しい」
以前グランが話していた買い取り価格は、爪が1本銀貨10枚。毛皮が金貨3枚。肉が銀貨50枚と話していた。そう考えると妥当な金額だろう。それでお願いしますと言うと、換金したお金を持ってきた。
「シルバーフォックスが48匹で銀貨960枚分で金貨9枚と銀貨60枚。レッドボアが7頭で金貨7枚。最後にグレイトベアーが9頭で金貨45枚だ。金貨61枚と銀貨60枚だが・・・今回は質も状態も良いものを持ってきてくれたからな・・・サービスで金貨62枚だ」
そう言って少し買取り金額を上乗せしてくれた。おそらくこれからも持ってきてくれよ!といった打算も少しは含まれているだろう。
シオンは換金したお金を金貨10枚のみ残し、収納魔法でしまい込んだ。
リシアもシルバーフォックス討伐には参加していたので、金貨を5枚リシアに渡す。
そんなに活躍できていなかったからと、辞退しようとしたが、一緒に戦ったのだからと説得すると、ありがとうと受け取ってくれた。
収納の中のスペースがほとんど空いたため、シオンの準備は整った。
リシアもさすがは伯爵令嬢・・・いい装備をしている。一応リシアに準備は良いかと確認すると、準備は万端よ!といい返事が戻ってきた。
シオンは馬車を探し、馬主に料金を支払って荷馬車に2人で乗り込み、リシアと共にサラキアの森に出発するのであった。
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荷馬車に揺られながら1日経ち、サラキアの森の途中の街道で、馬車から降りる。ここからは半日ほど徒歩である。
シオンは一応リシアの体調が大丈夫か確認する。すると、
「私は大丈夫。昨日もシオンが火の番をしてくれたし、ぐっすり眠れたから!」
それなら良かったと返答するが、シオンは思案する。
自分に対して警戒心が無さすぎではないだろうか・・・?と。いくら好きな相手でも、少しぐらいは・・・と考えてしまうシオンであった。
半日ほど歩き、サラキアの森が見えてきた。ただ前回と同じように日が暮れて来た為、森から離れた所で野営の準備をする。
テントを2つ作ろうとしたところ、1つでいいとリシアが言い張り、何かあったらラディスすまないと思いつつ、リシアの言う通りにした。
夕食の前に簡易風呂も作成する。今度は不満げのリシアを何とか説得し、別々に入るようにお願いした。
さすがに美少女と一緒の風呂はまずい。違った意味でまずい。最近違った意味で、リシアが積極的過ぎて辛い。
無事に風呂事変を突破し、夕食にする。リシアはすぐ傍に座り、2人で夕食を食べる。食べ終わって雑談をしていると、また頭を寄せて寄りかかってきたので、頭を撫でてあげる。
しばらくそうしていると、寝息が聞こえてきたので、テントに運び、そっと寝かせる。今回は自動防御をリシア本人とテントに4重に展開する。
シオンも疲れていたので、リシアの隣で横になりつつ、明日の事を考える。
貢献クエストは、確かに大事であるが、リシアを守ることを優先しなければならない。そうなると、MPは最低3割から4割程度は残しておきたい。魔法の連射はMP消費が激しい為、難しい。
ではどうするか?時間はある。ならばやることは持久戦しかない。一気に100匹などではなく、一回で20匹などの安全策だ。この森にいるのはグリーンワームだけではない。
素材を回収しつつ、安全マージンを取る。そして・・・リシアにも強くなってもらう。このプランが最善だろう。そう予定を立て、シオンは眠りにつくのだった。
それから1か月後・・・
「リシア!1時の方向にマダラスパイダーがいる!高さ3メートルの枝の陰に隠れてる!回り込んで倒してくれ!」
そう言うと3時方向に駆け出し、射程に入ったところで魔法を放つ。
「ウォーターカッター!」
高速の水の刃がマダラスパイダーに襲い掛かる。枝ごとマダラスパイダーは真っ二つにされて、地面に落ちてくる。シオンは周りの罠を解除してから、マダラスパイダーを回収する。そしてリシアに近寄る。
「お疲れ様。今日も調子がよさそうだね」
そう声を掛けると、
「シオンにばかり無理させられないからね!」
そう心強い返答が来た。頼もしい限りである。
そう話していると、索敵にグリーンワームが引っかかった。
「リシア今度は10時方向にグリーンワーム!距離200メートル」
リシアは今度は正面から突っ込んでいき20メートルの地点で魔法を放つ。
「ファイアーランス!」
グリーンワームの腹に直撃する。腹に穴が開きのたうち回る。さらにもう一発魔法を打ち込むと、絶命したのか動かなくなった。
リシアを基本的に前衛に配置し、シオンが指示を出し、魔物を次々に倒していく。シオンはMP管理だけを徹底し、索敵を切らさないように立ち回る。
このようにして、シオン達は冒険者としての経験を積んでいくのであった。
貢献クエスト
グリーンワーム討伐数・・・387/1000体




