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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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盗聴

少し前の話の善勝さん視点です。

 石黒の行動がどうもおかしいと思って見張っていたら、逆に捕まっちまった。

 我ながら情けねぇ。

 だか、何故か急に現れたキツネが解決して消えていった。


「熊さん、押収品の中にこれが……」

「盗聴器か……」


 これは使えるかも知れねぇな……

 こんなものを使うのは警察としてどうなんだとも思うが、あの兄ちゃんは事情聴取したところで、なにも知らないというだろう。

 確かに嘘を言っている感じはしなかったが、あの石黒の話が間違っていたとも思えない。

 兄ちゃんは間違いなく何かをかくしている。


 だが、素直には教えてくれないだろう。

 どういう事情かは知らんが、警察を信用していないのかもしれない。

 まぁ、石黒みたいなのも警察にいたんだから、信用出来ないのはしょうがない。


 これも何かの巡り合わせだと思うことにするか。


「これは俺が預かっておく。お前は引き続き調査をしろ」

「はいっ!」


 部下を調査に戻らせてから、休んでいた兄ちゃんに近づいた。


「今日は災難だったな。まぁもう遅いし、事情聴取は明日でいいから、帰っていいぞ」

「はい、ありがとうございます」


 あんな事があったってぇのに、特に動揺している様子もない。

 元々感情があまり出ない子のようだが、無関係の人間があんなことに巻き込まれていた時に、こんなに落ち着けるわけはないだろう。

 少し鎌をかけてみるか……


「にしても、動物とはよく考えたもんだな。普通は人質捕られてたら、こっちも慎重に動かないといけないもんだけどな。いくら動物に動いたら撃つぞーなんつってもわかんねぇからな。だから石黒もどっかで見てる側に声をかけるしかなかったと……いやぁ、本当によく考えたな」


 兄ちゃんの肩を叩きながら、フランクな感じでそう言ってみた。

 ついでに兄ちゃんの服には盗聴器を仕掛けておく。


「僕は何も知りませんよ。あのキツネも僕のペットとかではないですし……」

「俺には君が嘘を言っているようには見えない。だから本当に()()()()知らないんだろうな」


 連絡先はを強調していうと、少し驚いた顔をした。

 やっぱりそうだ。

 あの時この兄ちゃんは、頑なに連絡先なんて知らないといっていた。

 あの姉ちゃんを知らないとは言っていない。


 石黒の中ではもう既に、この兄ちゃんとあの姉ちゃんが知り合いなのは確定事項だったから聞く必要がなかったんだろうが、あの姉ちゃんと知り合いかともし聞いていたら、答えは変わったのかもしれないな。

 この兄ちゃんは嘘はつかないようだし……


 何か事情があるにしろ、話さないならこっちが勝手に調べるまでだ。

 この盗聴器に何か聞こえてくるといいんだけどな。

 聞こえなくとも、明日の事情聴取が楽しみだ。


「また、事情聴取ん時よろしくな。おーいっ、そこのお前」

「はい!」

「この兄ちゃんを家まで送ってってやれ」

「分かりました」


 俺が兄ちゃんの送りを頼んでいる時も、ずっと黙って俺を見ていた。

 おそらくは、明日の事情聴取が憂鬱だとでも思っているんだろう。


「じゃあな、兄ちゃん」


 とりあえず兄ちゃんが送られていったのを確認してから、もう一度現場に戻り確認する。

 どうも石黒は相当上の幹部だったようで、ここから芋づる式に捕まえれるだろう。

 これから忙しくなるな……


 それから盗聴器からの音も聞きながら、現場を調べていた。

 しばらくすると、兄ちゃんが家に着いたみたいだ。

 そういえば石黒達は兄ちゃんの家を調べたとか言ってたが、その辺は大丈夫か?


ガサガサ


 なかなか家の中では聞かない音が聞こえるな……

 やっぱり家を荒らされているのか?

と、思っていると急に……


「ハルさん、良かったです。どこも怪我はありませんか?」

「私は大丈夫です」


という会話が聞こえた。

 ハルさんって呼ばれた今の声……

 間違いない! いつもの女だ!


 どういう事だ?

 兄ちゃんの家の中にいたのか?

 石黒達が調べた時は、隠れてたのか?

 兄ちゃんの家はただのボロアパートだと思っていたが、もしかして秘密の隠し部屋が……?


「あぁ、これは片付けないといけませんね……」

「私があとで"復元の力"で直しておきますよ」


 今、なんて言ったんだ?

 あくまでも盗聴しているだけだし、聞き間違いかも知れねぇが、復元して直すみたいな事を言わなかった?

 って、家を荒らされてるならそのままにしといてもらわねぇと、俺等も困るんだが……


「ハルさんは復元もできるんですね。でも一応刑事さん達が調べに来たりするかもしれないので、このままにしておこうかと思ったんですけど……」


 そうだ、その通りだ、兄ちゃん。

 そのままにしといてくれ。


「大丈夫ですよ。刑事さんは来ませんから」

「え?」


「いや、ハル! 何勝手な事を言ってやがる!」

「え? 熊さん? どうしました?」

「あぁ悪い、何でもない」


 思わず声に出してハルに突っ込みを入れてしまっていた。

 人の会話を勝手に聞いておいて何だが、俺も大分動揺しているんだろう。

 急にハルとかいうのが現れるわ、復元がどうたら……


 ……なんか正直意味分かんねぇな。

 俺も結構な場数を踏んでると思っていたが、まだまだのようだ。

 とりあえず一旦落ち着いて、冷静になろう。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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