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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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青い夢

圭君視点です。

 朝の5時を少し過ぎたところで目が覚めた。

 目覚ましは一応6時にセットしたけど、全然意味なかった。

 あまり寝れた感じもしないな……

 でも寝直す気にはならないので、このまま起きて行動を開始する。


 布団から出ると僕は無意識にベランダの戸を半分くらい開け、網戸をしていた。

 昨日と変わらず寒い風が入ってくる。

 時間が早いからか、昨日よりも冷たい風が入ってきた。

 寒いし、もう開ける必要はないって昨日も思ったのに、どうして開けてしまったんだろう……


 ベランダの戸を閉めると、やっぱり昨日と同じで胸が痛いような感じがした。

 冷たい風で体が冷えたのかもしれないな……


 朝食を適当に作り、食べる。

 今日はお昼過ぎくらい、山の神社の土地神様に、焼きトウモロコシをお供えに行く予定だ。

 早く起きた事もあって、お供えに行くにはまだ時間がたくさんあるので、勉強を始める。

 今までなら寝ていた時間に勉強をしているというのは、少し変な感じだ。


ピンポーン


 9時頃、玄関のチャイムがなった。

 こんな時間になんだろう?

 母さん達からの野菜は夕方くらいにくるし、そもそも昨日来たばかりだ。

 多分セールスか何かかと思いながらも、一応ドアスコープを確認する。

 宅配便の人が箱を持って立っていた。


「瑞樹圭さんにお届けものです」

「ありがとうございます」


 大きいとも小さいともいえないくらいの大きさの箱だ。

 開けてみると、


ご当選おめでとうございます。

この度はクロスワードにご応募頂きありがとうございました。

厳正な抽選の結果ご当選されましたので"ドレッシング5本詰め合わせセット"をお送り致します。

これからもクロスワードをご愛顧頂きますよう、お願い申し上げます。


 そう書いてあった。

 中には色んなドレッシングが入ってる。

 というか僕、そんなのに応募してたかな?

 箱の宛先を確認しても僕で間違いないし……

 全然覚えてないけど、応募してたんだろうか?


 そういえば、結構前にクロスワードの雑誌を買った覚えがあるな。

 暇潰し用に買ったんだ。

 でも、やったんだったかな?


 家の中を探してみると、全てやり終わってあるクロスワードの雑誌が出てきた。

 家にあったって事は僕がやったんだろう。

 もう何ヵ月も前の事だし、覚えてないのも無理ないか。


 ん? でもこれ、僕の字かな?

 そのクロスワードにかかれている文字が、凄く綺麗な字に見えるけど、カタカナなんて誰が書いても似たようなものだよな。

 大体、誰も家に来てないのに僕以外がやるわけないんだから。


 また勉強に戻り、昼食を食べてから焼きトウモロコシを作った。

 時間は昼過ぎくらい。

 ずっと勉強ばかりしていたから、神社へ行くのは気分転換にもなって丁度いいだろう。


 外へ出て、少し歩いたところで、大きめ鳥が空を飛んでいった。

 あの鳥、もしかしたら……?

 ん? もしかしたら? なんだろう? 僕は今、何を思ったんだろう?

 まあ、いいか。


 山の神社に到着して、台座に焼きトウモロコシをお供えする。

 特に御利益とかを期待している訳じゃないけど、僕もこの土地にに住んでる一員として、土地神様に感謝してる。

 だからトウモロコシが多い時はお供えに来てる。

 もう習慣みたいなものだ。


「おやおや、お若いのに……お供えですかな?」


 お供えをしていたから、後ろから稲を持ったお婆さんに声をかけられた。

 今までも何度かお供えに来たことは会ったけど、人に会ったのは初めてだ。

 今日はいつもと違う時間に来たからかな?


「はい。トウモロコシが余ってたので。ここの土地神様、トウモロコシお好きですよね」

「お若いのに詳しいね」


 あれ? そういえば誰に聞いたんだっけ?

 覚えてないな……

 あぁ、ここの石碑読んだんだ。


「トウモロコシに限らず、穀物がお好きなんだよ、ここの神様はね」

「え? でも1番好きなのがトウモロコシなんじゃ?」

「はて? そんな話はあったかの?」


 石碑を読み返して見ても、好物は穀物って書いてあるだけだった。


「僕が勝手にそう思っていただけかもしれないです」

「そうか、そうか。でもトウモロコシも好きだろうさ。最近は私ん等しかお供えに来とらんかったから、若い子が来てくれるのは嬉しいよ」


 お婆さんと少し話をして、神社を後にした。

 優しい感じのお婆さんだったな。

 若い人もお供えしてるってことを喜んでくれた。

 そういえば前に、最近の若い人は伝承を知らないみたいで、お供え物は減ってる……みたいな事を話をしてたな……

 ん? 誰がだ? お祭りの時にすれ違った人とかだったかな?


 昨日もそうだったけど、何かと引っ掛かる事が多いな……

 なんだろう?

 夜勤がなくなったことで時間が変わって、今までと違う行動ばかりしているから違和感を感じるのかもしれないな。

 早く慣れていかないと……


 少し買い物をしてから帰り、夕食を作って食べ、お風呂に入る。

 それでもまだ寝るのには少し早いと思い、勉強をしていたけど、何故かやけに眠気が襲ってくる……

 今日はもう寝よう。

 こんなに早く寝たら、明日も目覚ましの時間には起きれないだろうなと思いつつ、僕は勉強を切り上げて寝た。


「夢の中でこーんにーちはー☆……うーん? 違うかな……あなたの夢にお邪魔しまーす☆……これも違いますね……あなたの夢をジャックしたぞっ☆……うん、これですね! と、まぁ、下らない挨拶は置いといて、本題に入りますね」


 なんだろう……これは……夢?

 僕は今寝ていて、これが夢なんだということははっきりと理解できている。


「私はあなたの事、応援してるんですよ。だから、もっと頑張って下さい! 確かに私達の力は強いし、記憶を消されたら逆らえませんよ。でも頭から思い出は消せても、体に染み付いた習慣までは消せません。いや、まぁ、消そうと思えば消せるんですけどね……でもそれは、"記憶を消す力"じゃなくて、"体ごと作り替える力"になりますからね……」


 なんか、知らない女の人がたくさん喋ってる。

 僕に話しかけてるというのは分かるけど、僕からは声が出せない。


「しかも残念な事にチャンスは一度しかないんですよ。頑固ですからねー、ホントに……だから私はあなたを応援します。特に協力とかは致しませんが、応援だけなら安いもんですからね!」


 大きなキラキラと光るイヤリングをした、青色の髪の女の人だ。

 見覚えもないし、本当に誰なんだろう?


「結局の所、私が何を言いたくて来たのかといいますと"()()()()()()()()()()()()()()()()()()"って事です。結構難しい事だとは思いますが、頑張って下さい。きっと、あなたなら出来ますから! 勝手に夢に出てきてごめんなさい。でも応援していますよ!」


 それだけ言って、消えていった。

 青い髪の女の人がただ1人で喋ってるだけの、変な夢だった。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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