表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜色のネコ  作者: 猫人鳥


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/331

事件解決

圭君視点です。

 キツネが石黒さんの後頭部に尻尾を打ち付けたことで、石黒さんは倒れた。

 石黒さんに部下の人が駆け寄ってる。


「あ、兄貴ーっ! 兄貴、しっかりして下さいっ!」


 完全に気絶しているようで、動かない石黒さん。

 流石に死んではいないと思うけど、大丈夫かな?


「こんのっ、クソキツネがっ!」


 部下の人は怒って、拳銃をキツネに向かって撃ちはじめた。

 キツネは冷静に弾を避けて、部下の人の方へ走り、石黒さんの時と同様にジャンプしながら後頭部に尻尾を当てた。


「うっ」


 ずっと石黒さんの近くにいた、部下の人も倒れた。

 さっきまであんなに騒がしかったのに、急に静になった倉庫。

 キツネは石黒さんの部下が気絶したのを確認すると、僕達の方を見た。

 やっぱり間違いなく、ハルさんだ。


 さっき倉庫から出ていった、ジョギングで足を鍛えたっていう人も帰って来ないし、他にもいたと思われる石黒さんの部下は誰も来ない。

 つまり、ハルさんが全員を今みたいな尻尾攻撃で倒したということなんだろう。

 相手が気絶するような、結構な強さで尻尾を当てているみたいだし、尻尾が電気を纏っているように見えたけど、あれはハルさんは痛くないのかな?


 たくさん撃たれてたけど、弾は全部避けてたみたいで、遠目からみた感じは怪我もなさそうだ。

 全部避けながら全員倒すとか、ハルさんって強いんだな……

 声をかけたいけど、刑事さんも一緒に捕まっているので何も言えない。


ゥーゥーウーウー


 パトカーのサイレンのような音が近付いて来る。

 ハルさんはキツネの姿のままで外に出ていった。

 それから少しするとサイレンの音も止まって、


「なんだこれ? もう倒れてるぞ」

「誰にやられたんだ?」


と、倉庫の外の方から声が聞こえ始めた。

 声はどんどん近くなってきて、僕達の捕まってる倉庫にも人が入ってきた。


「あっ! 熊さんっ!? 大丈夫ですか!?」


 倉庫に入ってきたのは刑事さん達だった。

 多分ハルさんが呼んだんだろう。

 刑事さん達は、僕達の手を縛ってあったロープをとってくれた。


「お前達はどうやってここに来た?」

「通報があったんです、いつもの女の声で」

「どんな通報だった?」

「この場所に大至急向かうように……それだけです。何があるとか何も言わなかったので自分達も何が何やら……」

「来てみたらコイツら全員倒れてますし、熊さんが捕まってるわで……」

「これは……いったいどういう状況ですか?」


 駆けつけてくれた刑事さん達は混乱気味だ。

 キツネに助けられたなんて言ったら、余計に混乱してしまうだろうな。


「細けぇ事は後で話す。とりあえずコイツ等全員連れていけ」

「あ、あの……石黒も倒れてますが……」

「そいつが主犯だ。連れていけ」

「……分かりました」


 助けに来てくれた刑事さん達と少し話したあと、熊さんと呼ばれていた、さっきまで僕と一緒に捕まっていた刑事さんは、僕の方にきた。


「今日は災難だったな。まぁもう遅いし、事情聴取は明日でいいから、帰っていいぞ」

「はい、ありがとうございます」


 時計がないから時間が分からないけど、今は何時位なんだろう?

 ハルさんが無事に帰れてるといいんだけど……


「にしても、動物とはよく考えたもんだな。普通は人質捕られてたら、こっちも慎重に動かないといけないもんだけどな。いくら動物に動いたら撃つぞーなんつってもわかんねぇからな。だから石黒もどっかで見てる側に声をかけるしかなかったと……いやぁ、本当によく考えたな」


 帰っていいと言った割には僕にキツネの事を言ってくる。

 僕の肩を叩きながら、僕を褒めてくる。

 この刑事さんもさっきの石黒さんの話を聞いていたんだから、僕が動物を使って情報を得ている女の人と、繋がりがあると思っているんだろう。


「僕は何も知りませんよ。あのキツネも僕のペットとかではないですし……」

「俺には君が嘘を言っているようには見えない。だから本当に()()()()知らないんだろうな」


 "連絡先は"を強調されて言われた。

 この刑事さんは気づいているのかも知れないな。


 僕はハルさんの連絡先は知らないけど、ハルさんの事を知らない訳じゃない。

 石黒さんは連絡しろとかしか言わなかったから、知りませんって言っても嘘にはならなかったけど、ハルさんの事を知っているかと聞かれたら、それは知っている。

 全部を知ってる訳じゃないけど、少なくともさっき助けてくれたキツネがハルさん本人だってことも知ってる。

 ハルさんとも約束したし、嘘はつきたくないけど、ハルさんの事を警察に話したくはない。


「また、事情聴取ん時よろしくな。おーいっ、そこのお前」

「はい!」

「この兄ちゃんを家まで送ってってやれ」

「分かりました」


 僕がそんな事を考えていると、刑事さんは他の刑事さんを呼んで、僕を送って行くように頼んでくれた。

 明日の事情聴取は凄い憂鬱だ……


「じゃあな、兄ちゃん」


 刑事さんはそれだけ言って、さっきの倉庫の方に戻って行った。

 刑事さんも一緒に捕まってた被害者な訳だし、疲れてるだろうけど大丈夫かな?


「それじゃあ、行きましょうか」

「すみません、お願いします」


 僕は送ってもらって、家に帰ることができるけど、あの刑事さんはまだ調べたりとかするんだろうか?

 やっぱり刑事さんって、大変なんだな……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ